プレミアムパター「ベティナルディ」が評価される理由(後編)
EVEN 編集部
- 2020年06月15日
パターブランド「ベティナルディ」のデザイナー、ロバート.J.ベティナルディが自身の名を冠したパターが、初めて一般ユーザーでも手が届くようになったのは1998年。しかもそれは本国アメリカではなく、海を隔てた日本のゴルフマーケットだった。そこにはある選手とそのサポートを務めた人物の存在があった。
日本との出会いがベティナルディを生んだ
〝メイドインUSA〞を貫くブランド、ベティナルディ。だが、意外にもその名が刻まれたパターが本格的に市場に投入されたのは、’98年の日本市場が初めてだった。そこにおいて、重要な役割を担っていたのが、現在「ベティナルディ ジャパン」の代表を務める宮原圭史氏だった。
「国内ツアーで海外メーカーのトーナメントサービスを8年経験した後、英国での語学留学を経てトーナメントサービスの専門会社に転職しました。留学直後というタイミングと、ひと通りクラブの知識や組立ての技術があったことも評価してもらったのだと思います」と宮原氏。
一方、当時ベティナルディは「タイトリスト」入りしたスコッティ・キャメロンや、削り出しの先駆者であるタッド・モアからも注文を受けるなど、OEMパターの製造で工場はフル稼働。事業自体は順調そのものだったが、自身の名を冠したオリジナルパター製造に向け、タイミングを見計らっている時期だった。海外メーカーに明るい日本人のツアースタッフと稀代のパターエンジニア。二つの点を様々な縁が結び付けていった。
「ベティナルディの自社工場のミルドマシンのほどんどが、実は日本製。それもあって、彼は日本に良い印象をもっていたようです。そのタイミングで、ベティナルディの下へ米ツアーに進出する丸山茂樹プロの関係者からオリジナルパター製作の依頼が入りました。品質には世界一厳しいと言われる日本市場での挑戦にも繋がるこのプロジェクトは彼にとっても賭けだったでしょう。そして日本ツアーの現場ではメーカー色のない私もチームに加わりました。そうして出来上がったモデルが『MARU23』でした」
500本限定が即完売の『MARU23』
当時、国内ツアーで敵なしだった丸山プロが手にしたこの目新しいパターは、日本市場へのテスト販売も兼ねて限定500本が投入され、即完売し一躍話題となった。その流れを受け、宮原氏による日本市場での商品企画とツアープロモー
ションがスタート、結果が出るまでに時間はかからなかった。いきなり『MC‐2』を手にした宮本勝昌プロが日本シリーズで優勝するのである。
「当時米ツアーではすでにミルドパターが人気を集めていましたが、日本ツアーではまだまだ、打感の硬い鋳造パターが全盛。上質のブロックメタルからワンピースで削り出す事で生まれるソフトな打感と距離感がプロに評価されたのだと思います」
その後ベティナルディは国内ツアーでチーム芹澤のメンバーや、宮瀬博文プロ、田中秀道プロらが次々と勝利を積み重ねた。その理由を宮原氏は次のように分析する。
「まずミルドパターは鋳造のように型を必要とせず、CADのプログラムだけで重量やコンマミリ単位のサイズ調整が可能。これは大きな強みです。さらにブロックメタルからのワンピース製法はネックのベンディングが容易。つまり破損の心配をせずに選手の好みのフェース向きやライ角に合わせる事ができる。私は前職時代にステンレスやチタンウッドのネックを散々曲げて選手に合わせてきた経験があり、その調整の重要性も理解していました。この技術を生かせたのは幸運でした。もちろんベティナルディが自社で削り出しできるいうことも大きかったです」
こうして’99年には米ツアーでもJ・パーネビックが初優勝。日本市場参入のきっかけとなった丸山プロも’02年に伊澤利光プロとのチームでEMCワールドカップで優勝、ベティナルディの名を世界に響かせた。
現在、世界中で販売されているベティナルディ。唯一日本のみ専用モデルがある理由には、ブランド誕生のきっかけとなった国への敬意があるのだ。
(問)ベティナルディジャパン
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- 写真〇六本木泰彦、ベティナルディジャパン 文〇藤井順一(EVEN編集部) (問)ベティナルディゴルフ▲03-3250-3339、http://wwww.betinardi.jp
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EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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