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山と里をつなぐ身近な歩き旅を楽しもう。茨城県北ロングトレイルが誕生

茨城の山といえば、まず思い浮かぶのは県南部の名峰・筑波山。だが、茨城県最高峰であり標高1,022mの八溝山(やみぞさん)をはじめ、茨城の県北エリアには個性あふれる多くの山々が連なっており、豊かな自然が残っている。昨年3月、その県北各地をめぐる、全長320㎞におよぶロングトレイルの一部が開通した。

山と里の魅力を両方味わえるトレイル

標高1000m以下の低山が多く連なる茨城県北エリア。県外から多くの人が集まるような目立った山こそないが、地元の人々が足を運ぶハイキングコース、名所が多数存在している。いま、この県北に320㎞という長大なロングトレイルを張りめぐらせる計画が進行しており、その一部、12㎞が2021年3月28日に開通した。

よく整備されたトレイル(今回の開通区間)。新緑、紅葉など季節ごとの変化も楽しい。写真右)和田幾久郎さん 茨城・水戸のアウトドアショップ「ナムチェバザール」代表であり、茨城県北ロングトレイルプロジェクトの代表も務める。県北は小さいころから慣れ親しんだ遊び場。写真左)かほさん 日々の登山レポートや愛用道具の紹介などが人気のYouTubeチャンネル「かほの登山日記」を主宰。地元の岐阜をはじめ、各地のさまざまな山を歩き続けている

「茨城県北エリアって自然豊かな里山、田舎の原風景がそのまま残っているんですよね。その山と里をつなぐロングトレイルを作ったら、県北各地の自然と文化を体感してもらえるんじゃないかなと思ったんです」

そう語るのは、県北ロングトレイルプロジェクトの代表を務める和田幾久郎さん。小さいころから県北に足を運んでおり、その魅力を広めたいという思いからこのトレイルの開設に携わってきた。

「山は高くないですが、森歩きや展望の良い稜線、岩場などトレイルはバリエーション豊かです。トレイルと交差するように流れる穏やかな久慈川、さまざまな表情を見せる滝が点在していて、さらに里に下りると、その地域の食や温泉が堪能できます。あと、地元の方とのふれあいも魅力のひとつですね。どこでトレイルに入って、どこで出るかは自由なので、ペースや予定に合わせて好きなように歩いてほしいです」

首都圏から行きやすいので、週末ちょこっと歩きに行けるのも県北ロングトレイルならではの魅力。子どものころのように身近な場所を探検してみれば、思わぬ出会いがあるかもしれない。

茨城県北ロングトレイル紹介ムービー

2021年3月、一部のコースが開通

2021年3月28日、第一弾として12㎞のトレイルが開通した。大子町の月待の滝がトレイルヘッドとなっており、反対側は袋田の滝。月待の滝はJR水郡線の下野宮駅、袋田の滝も水郡線の袋田駅からアクセスできるので、鉄道を使ったワンウェイでのハイクが楽しめる(トレイルを歩く方向は自由)。

この区間は大子アルプスとも呼ばれる20以上のピークが連なる稜線となっており、そのハイライトは展望が開けた生瀬富士付近だ(右ページの写真参照)。この区間はアップダウンが多く、全部歩くと8時間半程度かかる健脚向き。普段山歩きをあまりしていないという人であれば、生瀬富士だけ往復するようなルート取りでもトレイルの雰囲気を十分に味わえる。

トレイルの途中、高さ120mを誇り日本三名瀑にも数えられる袋田の滝を上から望める貴重なスポットもある。

トレイルヘッドとなる月待の滝。風情がある二筋の夫婦滝だ
県北の山々、久慈川などを眺めながら歩ける
上から望む袋田の滝。全4段の滝が一望できる
大迫力の袋田の滝
アプローチで使えるJR水郡線袋田駅

各地の見どころ

十石堀(北茨城市)

2019年、世界かんがい施設遺産に登録された約15㎞の用水施設。用水路が建設されたのは、なんと1669年。写真の十石堀親水公園を起点にハイキングを楽しむことができる。

花貫渓谷(高萩市)

花貫ダムから名馬里ヶ淵(なめりがふち)へ続く自然豊かな渓谷。数々の滝や淵、さらには川沿いに生い茂る木々の新緑や紅葉なども楽しめる。近くには小滝沢キャンプ場がある。

男体山・籠岩(大子町)

男体山はトレイルに含まれる予定(現在は未開通)。現在でも男体山の登山自体は問題なく楽しめる。稜線でつながっている籠岩も人気のスポット。麓からの眺めも雄大だ。

西金砂神社(常陸太田市)

西金砂山の頂上に立つ西金砂神社は、806年に創建された歴史ある神社。西金砂神社もトレイルに含まれる予定(現在は未開通)で、山の上から望む景色もすばらしい。

朝房の棚田(常陸大宮市)

茨城県内には県北を中心に40程度の棚田があるが、そのなかでも有名なのがこの朝房の棚田。他にも県北では「常陸秋そば」という品種のそばが作られており、そば処も多い。

茨城県北ロングトレイルマップ

A)十石堀 / B)花貫渓谷 / C)月待の滝 / D)生瀬富士 / E)袋田の滝 / F)男体山 / G)籠岩 / H)西金砂神社 / I)朝房の棚田

茨城県北ロングトレイルとは

 

日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町という茨城県北の6つの市町をつなぐ320㎞のロングトレイル。トレイルは山が中心だが里歩きもあり、自然や地元の文化、食などがトータルで楽しめるようになっている。各地にキャンプ場が点在しており、一部の区間はテント泊で楽しむことも可能(現在は未開通)。

今回開通した12 ㎞以外のルートは、順次オープンを目指して現在整備中。整備を行なう協力隊も募集しており、ロングトレイルを作るという貴重な体験を味わうこともできる。協力隊についての詳細は公式HPに掲載中。

公式HPをチェックしよう

茨城県北ロングトレイルの概要、コース、アクセス、推奨装備、利用時のマナーなどをまとめた公式HPが登場。トレイルを紹介するムービーも公開されているのでぜひチェックを!

茨城県北ロングトレイル公式HP

 

問い合わせ先:茨城県政策企画部県北振興局 TEL.029-301-2715

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PROFILE

フィールドライフ 編集部

フィールドライフ 編集部

2003年創刊のアウトドアフリーマガジン。アウトドアアクティビティを始めたいと思っている初心者層から、その魅力を知り尽くしたコア層まで、 あらゆるフィールドでの遊び方を紹介。

フィールドライフ 編集部の記事一覧

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