耐水、Suica対応、ヘッドフォン端子廃止、新カメラ。SFで触ったiPhone 7は、凄まじい完成度だった
FUNQ
- 2016年09月09日
INDEX
新しいiPhoneで、日常がさらに変わる
ジョギングの時はiPhoneを持たない。
Apple Watch Series 2があれば十分だから。Apple Watch Series 2からワイヤレス接続したAir Podsで音楽を聴き、GPS付きなのでジョギングコースのログを残し、Suicaの機能で自販機からスポーツドリンクを買い、ランチの支払いもクレジットカードのiDもしくはQuick Payの機能でOK。なんなら、プールで泳いでも問題ない。
iPhone 7を持って歩けば、もちろんそこに内蔵されたApple Payの機能で支払いはOKだし、急な雨で濡れたり、ドリンクをこぼしたりしても問題ない。新しいiPhone 7は耐水性能を持ってるから。
電話がかかってきた。ポケットに入ったAir Podsを片側だけ耳に入れればそのまま通話ができる。Air Podsは耳に入ったことを感知してiPhoneとの接続を始めるからだ。もちろん、両耳に入れて音楽を聴くこともできる。トトンとタップすれば、Siriを呼び出していろいろと質問することだってできる。
写真を撮るのが好きなら、iPhoneの写真の美しさはご存知のことと思う。新しいiPhoneは非常に高精細で美しい写真を撮ることができるし、デュアルレンズを持ったiPhone 7 Plusなら、iPhoneカメラの唯一の弱点であった望遠性能も向上している。
7 Plusは2枚のレンズを持ち、片側は標準レンズ、もう片側は2倍の焦点距離を持つ。そして、画面上のコントロールでその焦点距離をシームレスに操作できるばかりか、10倍にズームすることさえできるのだ。また、『被写界深度エフェクト』という12月頃に追加される機能を使えば、ボケの追加さえできる。
あなたの撮ったポートレートの背景を、まるで大きなレンズの一眼レフで絞りを開いて撮ったように、大きくボカすことができる。人物の印象はクッキリと浮き上がり、とっても印象的な写真になるはずだ。もはや、大きなカメラを持って歩く必要もない。
どれもちょっと前には夢だったような機能だが、iPhone 7または、iPhone 7 Plusを持っていれば簡単に実現してしまう。
iPhoneは常に我々の生活を変化させてきた。iPhoneが現れる前は、駅のホームでウェブブラウジングすることもなければ、撮った写真を高精細なまま世界中の友人に見せることもできなかった。歩いてる先、ビルの向こうがどうなってるかだって常に分からなかった。常に自分のいる位置の地図が見られるなんて夢物語だった。ほんの10年前……iPhoneが登場する前までは。
実際に触れて、詳細な話を聞いてきた
本日、2016年9月8日にサンフランシスコのビル・グラハム記念講堂で、iPhone 7が発表され、その発表会に参加した。日本から参加を許されていたのは十数人。CEOのティム・クックやVPのフィル・シラーらが話した後、別室には数多くの実物と、その説明員が用意され、詳しく取材することができた。その概要をお話しよう。
新しいiPhoneの外観は、iPhone 6s/6s Plusとそう大きくは変わらない。外寸はほぼ同一といってもいいだろう。ただ、従来Dラインと呼ばれていた、裏面のストライプ部分がなくなり、レンズの出っ張りが大きくなり、下に下がった。ボディサイズだけの問題なら多くのiPhoneケースは使えただろうけれど、カメラ部分の開口の問題で、大半のiPhoneケースは新しく専用のものが必要になるだろう。
ボディはついに『Splash and Water Resistant』となった。『防水』という表記をする人が多いけど、『飛沫と水に耐性がある』ぐらいのニュアンス。壊れると保障しなければならないから、ここの表記はかなりシビアなポイント。細かく聞いたが、水がかかっても大丈夫、短時間浅い水にそっと浸けても大丈夫。でもわざわざ浸けないで……ぐらいの感じ。
正確にはIP67で、防塵耐水の性能がある……というぐらいのニュアンス。プールで泳ぐのはNG。お風呂については明確な回答がなかったので、避けた方が良さそうだ。
それと、当然のことだが、ガラスが割れていたり、強い衝撃を受けてボディが微妙に歪んでいても耐水性能は維持されないだろうから、『防水!』という表記は、早計だ。
いわゆるSuicaに対応して、『iPhoneでお金を支払う』ということが日本でもできるようになったというのもとっても嬉しい。もう、お財布を持たずに外出することもできなくはない。
ただ、厳密な話を書くと、いくつかただし書きがつく。まず現時点では、対応を公式に発表しているのはSuicaと、クレジットカードのiDとQuickPay。それに対応している場所なら使える。つまり電車に乗って、対応自販機でジュースを買って、コンビニで買い物もできる。
しかし、FeliCaの中で現状公式に対応を表明しているのはSuicaだけ。海外仕様のiPhoneでは使えない(リージョンが国内ものものでないとダメ)。クレジットカードはiDとQuickPayのみ、対応カードの中にJCBはあるけどVisaはない。Apple Watchの第2世代でも使えるが、同一のSuicaは、iPhoneかApple Watchのどちらかにしか入らない。iPhoneで使っているものをApple Watchで使うにはムーブが必要……など細かいチェック点はある。
が、とっても便利になることに変わりはない。その気になれば、ついにお財布レスの世界到来だ。
Air Podsは、実際に触れると2度と手放せない
ヘッドフォン端子がなくなったのも衝撃的だ。
一部には誤解を持って広がっているが、これも便利になる変更。
まず、アナログ端子があったことが、さまざまな回路へのノイズの原因になっていた。これをLightning端子を使うことでノイズを減らせる。
付属のヘッドセットはLightningケーブル仕様。加えて従来型の3.5mmピンジャックへの短い変換コネクターも付属する。
が、本当にお勧めなのは、新製品のAir Podsというワイヤレスヘッドセット。
左右を繋ぐケーブルさえない本当のワイヤレスで、付属のケースから出すと、iPhoneにダイヤログが出て、OKをタップすると接続される。
非常によく出来ていて、軽くて、一度耳に入れると、ストレスはまったくない。とても軽いので落とすような感じもしない。ダブルタップするとSiriを呼び出せるし、耳から外すと自動的に切れる。片耳だけ使ってヘッドセットとしても使える。
バッテリー持続時間は5時間だが、ケースには24時間分のバッテリーが内蔵されているので、使わない時間にケースに入れておけば、ストレスなく使い続けられそうだ。
初めて望遠側のレンズが付いたが
カメラもすごい。
iPhoneのカメラって、驚くほどキレイに撮れるけど、唯一の欠点が、ちょっとレンズがワイド寄りだったことだ。広角だから、すっきり見せたいような時には向かない。
たとえば、自転車やバイクやクルマなどを、近くから撮ると、端の方が圧縮されるのでちょっとカッコよくない。
それが、iPhone 7 Plusのカメラでは2倍の焦点距離のレンズとの2連装になるので、ぐっとスタイリッシュな写真が撮れる。
しかも、高度なコンピュータの処理で、シームレスにその1倍の画角と、2倍の画角が操作できて、さらにデジタルズームで、10倍までの撮影が可能だ。
さらにさらに、12月頃に追加される機能として2つのレンズで距離を測って、ピントが来ている部分以外をボカかすことができるようにもなる。まるで、一眼レフで撮ったような対象をクッキリと浮き立たせるボケ味の写真がiPhone 7 Plusでは可能になるのだ。
もちろん、iPhone 7のカメラも非常に優れたものになっていて、デュアルレンズが提供する以外の機能はすべて同じになっている。今回はiPhone 7の方にも光学手ブレ補正の機能があるし、1200万画素のCMOSも新設計の高性能のものだ。
もちろん、それだけではなく数多くの機能がパワーアップされており、ディスプレイの発色がよくなったり、CPU/GPUのクロックが上がったり……と性能向上は枚挙にいとまがない。
間違いなく、『究極のiPhone』
しかし、そういう詳細はさておき、iPhoneがまた我々の『あたり前』のレベルを大きく上げたのは確かだし、耐水性能、あらゆる支払いをする能力、ケーブルのないヘッドフォン、普通のカメラを不要にするような写真性能……もすぐに慣れて、我々の生活の一部になりそうだ。
外形も変わっていないし、一見大きな変更に見えないが、カタチを変えて勢い込まなくても、実質的な製品力は『究極』の域に近づいてきている。
買って損はない、最新の『iPhone』になっていると思う。
ちなみにも私もiPhone 7 Plusを購入するつもりだ。カタチを変えなかったのは、紛れもなく10億台のiPhoneを売った自信の結果だと思う。
(村上タクタ)
SHARE