今年のアップルの最大の新製品は『カタチがないモノ』だった【flick!】
FUNQ
- 2016年12月29日
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アップルの2016年度一番の新製品は何?
フリック!編集長の村上タクタです。
さて、アップルの今年一番の新製品は何だっただろうか?
iPhone 7やiPhone 7 Plus? それとも、ちょっと詳しい人ならMacBook Proとお答えになるだろうか?
私はフリック!編集長として、そしてアップル製品の愛好家として、『カタチのないモノ』が今年のアップルの新製品だったと思う。
それを象徴するのが新しいiPhone 7であり、AirPodsであり、Apple Payであり、MacBook Proに搭載されたmacOS SierraというOSであり、それらが提供する体験すべてなのだが、使っていない人に言葉で説明するのはけっこう難しいかもしれない。
いつの間にか日常になっている特別な体験
朝起きて、食事をして家を出る。家を出たら、AirPodsをダブルタップして『Wham!の曲をかけて』というと、AirPodsでWham!の曲が再生される。
電車の時刻表が必要なら『会社へのルートを表示』と言えば、電車の乗り継ぎまで含めたルートがiPhoneに表示されるし、案内を開始させるとApple Watchの画面とAirPodsの音声案内で、乗り継ぎをガイドでしてくれる。
もちろん、電車にはiPhoneかApple Watchに入れたSuicaで乗る。もう使い慣れてきて無意識に時計をかざして乗るようになっている。
自販機もボタンを押してから、腕をかざせばジュースが出てくるという感覚になっている。コンビニの支払いもApple PayでQUICPayやiDを使って払うし、飲食もそう。気がつけば、サイフをポケットから出すこともあまりなくなっている。
AirPodsを耳に入れていれば、いつでも音楽を聴けるし、電話がなればそのまま着信を受けることができる。知りたいことがあれば、そのままダブルタップして音声で検索できる。
『安井君の携帯に電話して』
『13時から大会議室で、販売部とミーティングの予定を入れて』
『明日の天気は?』
『3分のタイマーをセットして』
『次の雑誌の新企画の内容について、●●ってアイデアを思いついたからメモして』
使えるキーワードが身に付いてくればSiriはけっこう使える。まだひと前では恥ずかしいれど、自宅や、ひと気のないオフィスや、街中をひとりで歩きながらならけっこう使うようになってきた。
僕は慣れてしまっているけれどApple Watchを使って自販機でジュースを買っていたり、AirPodsでSiriに話かけていると、まだ周囲の人が驚いたりする。昔、携帯が普及してないころ、歩きながら電話をしていると驚かれていたが、ちょうどあんな感じなのかもしれない。
もちろん、僕だって自分が変わり者だということには気がついている。でも、いつも世の中は変わり者から変わっていくのだ。
変化を恐れる人は、いつも他人を『変わり者』と呼んで自分を安心させようとするが、そうやって『効率の悪さ』を正当化するのはあまり良いようには思わない。
ひとつの商品を買っているだけでは体験できない、同期の快感
もはや当たり前のことだが、Macでも、iPhoneでも、iPadでも同じメールを開けるし、原稿の続きを書けるし、同じスケジュールを見ることができる。
Handsoffという機能で、Macで書いていたメールの続きをiPhoneで書くこともできるし、iPadで見ていたウェブサイトをMacで開くこともできる。Macを開いてポケットの中にあるiPhoneを操作せずにテザリングを起動してインターネットを繋ぐことができる。
iPhoneを置いて、AirPodsとApple Watchだけで出かけたって、音楽を聴くことができるし、Apple Payで買い物ができる。
ここしばらくサイフの中のお金の量を気にしたことがないし、もつれたヘッドフォンのケーブルを解いたこともないし、Bluetoothのペアリングのためにイライラしたこともない。
そういえば、多くのパスワードの入力がiPhoneやiPad、それにMacBook Pro 13 Touch Barの指紋認証でOKになってしまっている。Macを開いた時にもパスワードを入れずに、Touch IDに指を置くクセができている。
名前のない『快適さ』という『体験』の価値
いつの間にか、こんなシームレスで快適な体験が提供されているのに、その『体験』という商品には名前がない。おそらく別々のメーカーが別々の商品を提供しているAndroid、Windowsの世界で、こういう体験を得るのは不可能だろう。そして、体験しない限り、この便利さを感じることはできない。ガラケーを使っていた人が、スマホの便利さを知ることがないように。
原稿も書き終えた。そろそろ寝よう。2017年がみなさんにとって、素晴らしい年でありますように。
『Hey Siri ! 明日の朝は7時半に起こして!』
(Hey Siri ! というと、iPhoneに触れなくても音声認識が動作する。自宅で目覚ましを設定したりするにはとても便利な機能だ。)
おやすみなさい。よいお年を。
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