カメラ好きの桃源郷が下丸子にあった(ただし、一般非公開)
FUNQ
- 2018年12月12日
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巨大企業キヤノンの本社にある非公開の展示場に行った!
キヤノンがどれほど巨大な企業かお分かりの方は少ないかもしれない。社員数は本体だけで2万6000人以上。連結では20万人を越える。経団連名誉会長に御手洗氏が就いていることからも分かるように、日本の製造業のトップ企業のひとつだ。東芝やNECなど電機関連企業が中国や韓国に圧倒されて苦しくなっているのに対して、カメラメーカーとして今でも世界の圧倒的トップに君臨している。
それは生産機械を導入すればあるていど真似できる電子機器に対して、カメラ、特にレンズの生産には一朝一夕では獲得不可能な高度な技術が必要だからなのだそうだ。
キヤノンの本社は大田区の下丸子にある。そこにあるキヤノン・ギャラリーに入る機会があったので、その中身をレポートしよう。
同名の『キヤノン・ギャラリー』という写真の展示場は品川や銀座など全国4箇所にあるが、今回拝見したのはそれと違って下丸子の本社内にあるキヤノン製品の展示場。残念ながら一般公開されていない場所である。ビジネスでキヤノン本社を訪れた人が見ることができるのだという。
さまざまな実働する最新カメラ、レンズを試せる!
ビルの2〜3階を使った広大な設備だが、その3階中央に位置するのが、このキヤノンのカメラやレンズを試すことができる試写設備。EOS 1D XやEOS Rはもちろん、さまざまな最新機種、レンズに触れることができる。
中央には鉄道模型が走っていて、流し撮りなどを試すこともできる。
驚いたのは、それほど日々多くの人が訪れる場所ではないにも関わらず、すべての展示品が完全に充電されていて、電源を入れたらすぐに使えたことだ。おそらく、毎日、すべての展示品の充電とチェックが行われているのだろう。いつでも試せるようにか、鉄道模型も走り続けていた。
レンズの高価さが納得できる分解展示
これは、EF200-400mm F4 の100万円以上する高性能な望遠レンズの分解展示。非常に複雑で精密な部品の集合体であることがよく分かる。驚くほど多くのレンズが組み合わされて、それぞれの役割を果たしている。これを見れば、望遠レンズが高価になるのもやむを得ないと納得できる展示である。
ケースの中に入っているので、きれいに写真が撮れなくて申しわけないが、これはEOS 1DにEF400mm F4 DO IS USMを組み合わせたもののカットモデル。イラストではなくカメラとレンズを真っ二つに切ったものが展示されている。いったいどうやって作ったのだろうか?
イメージとしては斬鉄剣で真っ二つに切ったような感じだが、そんなことができるハズもない。おそらくひとつひとつ部品を切断して、それを組み立てたのだろう。横にEOS M5や、コンデジをのカットモデルもあったので、一眼レフ、ミラーレス、コンデジの内部構造が非常によく分かる展示となっていた。
キヤノンの歴代カメラが一同に
こちらの円筒の展示台には、キヤノンの歴代のカメラが順番に並んでいる。
これは戦前、1936年に、試作機である「カンノン」に続いて作られたキヤノンのカメラ第1号機、『ハンザキヤノン=標準型』。歴史的な製品だ。
筆者が父から譲り受けて、使ったフルマニュアルのフィルムカメラFtbも展示されていて思わず見入ってしまった。1971年の製品だったのか……。ISO感度、絞り、シャッター速度、ピント……など、すべてマニュアルで操作しなければならず、カメラの基本を使うだけで学ぶことができたものだ。
カメラ好きなら、この円筒状の展示に、自分が触れたカメラ、憧れたカメラを見つけることができるはずで、当日も飽きることなく多くの人がこの円筒状の展示に張り付いていた。
980万円の1200mm F5.6はじめ、すべての現行EFレンズがある
ここは現行のEFレンズがすべて並んでいる場所。980万円するEF1200mm F5.6L USMまでもが展示されていて驚いた。
我々にとってはコンシュマー向けのカメラを製造しているのがキヤノンだが、実はコンシュマー向けのカメラは総売り上げの1/4に過ぎず、事務機器や、工業機械などもキヤノンのビジネスの大きな部分である。
天体望遠鏡や、宇宙空間で使われる計測機器まで作っているのだそうだ。
残念ながら見学時間は非常に限られていたので、全体を細かく見ることはできなかったが、カメラ好きなら何時間、いや何日いても決して飽きることのない場所だった。
残念なのは、この場所が本社内にあり一般の人が入れないこと。
限定公開でもいいから、我々一般のユーザーが見学できる機会をもっと作ってもらえると嬉しいのだが……。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2018年12月号 Vol.86』)
(村上タクタ)
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