
iPod Touchは、なぜ今モデルチェンジされたのか?

村上 タクタ
- 2019年05月30日
WWDCの1週間前、A12でなくA8→A10というヒント
WWDCの1週間前、唐突にiPod Touchの第7世代が発表された。
初代の発売は2007年9月なので、もう12年の歴史を持つモデル。前モデルの第6世代の発売は2015年7月17日だったので3年と10カ月ぶりのモデルチェンジということになる。
基本的な仕様……ボディサイズも、画面サイズも、重さも同じ。800万画素と120万画素のカメラのスペックも同じ。ボディカラーさえも変更なし。
違いは、2点。
チップセットがA8から、A10 Fusionになったこと。
ストレージが、16GB(2万4800円)/32GB(2万9800円)/64GB(3万6800円)/128GB(4万4800円)だったのが、32GBモデル(2万1800円)、128GB(3万2800円)、256GBモデル(4万3800円)となった。
つまり、チップセットが早くなって、一番安く買えるモデルでも価格が3000円下がってストレージは2倍。一番高いモデルでも従来より安いのにストレージが倍。同じ128GBモデルで1万2000円安くなった。お買い得だ。
A10はiPad 9.7インチ(第6世代)と同等
スペックから考えるに『最低限の価格で作れる、現行iOS端末』というのが、iPod Touchに課せられた役割のようだ。
2万1800円は、一番安いiPhoneの5万800円(iPhone 7 32GB)の半額以下で、一番安いiPadの3万7800円(iPad 9.7インチ 32GB)より1万6000円安い(容量は同じく32GB)。
用途としてフォーカスできるのは主に3つ。
●Apple Musicで音楽を楽しむ
●Apple Arcadeでゲームを楽しむ
●注文受付などの業務用端末
そういった用途にピッタリだ。
今回のアップデートでは、カメラは800万画素/120万画素のまま(だから出っ張らなくて助かるが)、チップセットもiPad mini 第5世代や、iPad Air 10.5インチと違って、A10 Fusionを登載。
iPhoneのようなカメラ端末には向かないし、Neural Engineもないから、機械学習を駆使するような処理にも向かない。それでも、2万1800円で買えるiOSデバイスがあるということに、意味はあるはずだ。
事実、私の知人でも、「音楽用に」「アプリ開発時のテスト用に」といった目的で購入した人は多い。
WWDCが始まってみると、また違った意味も見えてくるかもしれない。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年6月号 Vol.92』)
(村上タクタ)
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PROFILE

flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。