BRAND

  • Lightning
  • 2nd(セカンド)
  • CLUTCH Magazine
  • EVEN
  • BiCYCLE CLUB
  • RUNNING style
  • NALU
  • BLADES(ブレード)
  • RIDERS CLUB
  • CLUB HARLEY
  • DUCATI Magazine
  • flick!
  • じゆけんTV
  • 湘南スタイルmagazine
  • ハワイスタイル
  • buono
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • Kyoto in Tokyo

Mac Pro新デザインは、メルセデスAMG GT Rのグリルで、ヴィトンのモノグラムだ

『静かで洗練』された前Mac Proの性能では不足だった

最近のAppleは、本当に手加減をしない。

以前なら「アップルはそうじゃないから」と、お高く止まって自らの引いた境界線を越えないようなところがあったのに、今はなりふり構わずユーザーが欲しい製品を出してくる。

一世代前のMac Pro(いわゆる黒いゴミ箱)は、大人気を博した……とはいえない製品だった。

『クレバーに』優れた冷却性と、静音性を追求した結果、上昇気流を利用した円筒形となり、垂直に基盤を立てるという非常に緻密ながら特殊な設計で、『プロユーザー』が必要とする性能と拡張性を確保できなかったからだ。

世界には『性能を得るためならコストをかけられる』ニーズがある。たとえば、8K映像の編集をする人。超プロレベルのトラック数の多い音楽を編集する人。映画レベルの複雑で精緻な3Dグラフィックスを動かす人。巨大なアプリをビルドする人……。数千万、数億のお金が動いているなら、数百万円のマシンは高くないはずだ。

従来のMac Proはその分野のニーズに応えられてなかった。

そうなると、『超々高性能を必要とする世界』の人たちは自作Windowsマシンに頼るしかなかった。そもそもハイエンドのプロフェッショナルにとって必要なアプリさえ動けば、OSの使い勝手は大きく影響しない。

大きな電源を確保できて、必要なCPU、グラフィックボードなどを、ガンガン積める自作Windowsマシンの方が便利だ。

そんな作業をする人、そこまでのコストをかけられる人はそれほど多くない。しかし、頂点のユーザーが自作Windowsマシンを使ったら、それを見習う人はやはり(規模こそ小さくなっても)自作Windowsマシンを使うことになる。

ならば、プロユースの頂点で使える『Mac Pro』が必要だ。ニーズに応じて、性能をどんどん拡張できる『Mac Pro』が必要だ。そのために、この新しい『Mac Pro』は作られたのだ。

拡張性と超々高性能に徹した設計

『高性能なのに静かに動いてコンパクト』な性能を求めた全モデルのMac Proから、『なりふりかまわず高性能』で『拡張性がある』新モデルは、ある意味初代(Power Mac G5と同じボディ形状だったモデル)に近いコンセプトではあるが、その上限ははるかに高い領域に設定されている。

これまでの、ボディにパーツを組み込んで行く考え方ではなく、まずは頑強なフレームが用意された。まずは頑強なステンレスのパイプが本体を上下に貫通している。

そこにアルミのサブフレームを組み込み、各パーツを差し込んで行くような構造だ。

これまでの多くのアップル製品と異なり、ニーズに応じてパーツを追加したり、交換したりできるカスタマイズ性が重視されている。

ちなみに、新しいMac ProのCPU以外のパーツ。つまりストレージやメモリー、グラフィックカードなどは、最初からコンフィグレーションをオーダーすることもできるし、ユーザーが差し替えたり、追加したりすることもできる。

簡単にスロットインして、スクリューで止めることができるようになっている。

ユーザーによるCPUの交換は推奨されないし、アップルからはパーツとして供給されない。

(※以上3ブロックを追記。2019/06/05 09:52)

ちなみに、このページ( https://www.apple.com/mac-pro/ )にあるリンクをiPhoneやiPadで開くことで、アクチュアルなサイズのMac ProをARで体感することができる。

(原稿を書いているホテルの部屋に出現させてみた……けっこう大きい)

(結局のところ、処理能力とは『熱』なので、前モデルの『静かに、効率的に』は諦めて、大きな熱を3連のファンでじゃんじゃん排熱することにしたらしい。)

超々高級な物には、超々高級なデザインを

拡張性は非常に大きく、CPUコアは28コアまで、メモリーも、グラフィックカードも、コストさえかければ、拡張できる。

価格は5999ドル(約65万円)〜とのことで、それでも十分洗練されたマシンとして使えるが、本機の性能を十全に発揮するカスタマイズを施すと、すぐに2〜300万円のオーダーに達するだろう。

我々普通のユーザーからすれば高価だが、その位の負荷のかかる作業がサクサクできることに、お金を支払えるニーズはたしかにあるのだ。

奇妙だと物議を醸している、前後パネルの冷却穴はアップルなりの『ド派手な性能』を表現したデザインだと思う。

『機能を表した、極力抑制されたシンプルなデザイン』が、アップル的なデザインの美点だと考えると、ずいぶんとToo Muchな押しつけがましい『無駄なデザイン』だとは思う。

前後から球状のミルで、ハニカム状に切削して立体的なメッシュを作っている。強いて言えばメッシュを形作りながら、比較的軽く、高剛性にできる構造ではあるが、こんなカタチにする必要は別にない。初代Mac Proのようなパンチングプレートで十分だ。

アルミニウムは切削で加工されているが、ユニボディの生産過程とは違うようだ。

素材は50%が、MacBook Airと同じ再生アルミニウムで構成されている。

(※以上2ブロックを追記。2019/06/05 09:52)

にもかかわらず、フラッグシップモデルの前面にこんなデザインを配したのは『ゴージャスな性能には、ゴージャスなデザインを』ということなのだろう。

自作パソコンのケースのような性能本位の安っぽいデザインも可能だろうが、ハイファッションの文脈で、高い性能に、ゴージャスなデザインを合わせて来たのだ。

ルイヴィトンのモノグラムとか、メルセデスAMG GT Rの巨大なフロントグリルとか、超々高級なモノには、トンがったド派手なデザインが必要なのである。

このあたり、ジーンズに黒のタートルネックしか着なかったジョブズが率いていた時代と違って、世界中の高価なブランドを知るエクゼクティブをVPとして擁する今のアップルならではの判断ともいえるだろう。

なかなか、我々庶民には縁遠い話ではあるが、このマシンが買われる市場と言うのはたしかにあるのである。

マシン自体の性能と価格は、旧来の時代より上に上がったが、その従来、標準的なスペックのMac Proがカバーしていた領域は、MacBook Pro 15インチのトップエンドモデルや、iMac、iMac Pro、それにMac miniの上位モデルや、並列化で十分にカバーできるようになっているから、心配は要らない。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年6月号 Vol.92』

(村上タクタ)

SHARE

PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

村上 タクタの記事一覧

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

村上 タクタの記事一覧

No more pages to load