アップルMacBook Air/Pro新製品の3つの意味

アップルが発表会なしで、突如MacBook系の新製品を発表……というか、ラインナップの整備を行った。

一番大きな変更はMacBook Pro 13インチの下位モデルのパワーアップと値下げ。次にMacBook Airの値下げ。そして、MacBook(12インチ)と旧MacBook Air(非Retinaモデル)の廃番だ。

安価な方のMacBook Pro 13インチが化けた

もう少し細かく説明すると、従来『Touch Barなし』などと呼ばれていた『2 Thunderbolt 3ポート』が、大幅に性能アップされた(先日発表されたばかりの『4 Thunderbolt 3ポート』モデルには変更はない)。

CPUは第7世代の2.3GHzデュアルコアIntel Core i5だったのものが、第8世代の1.4GHzクアッドコアIntel Core i5となった。コア数が倍になってクロックは60%に……という微妙なモデルチェンジ。おそらくこのボディのTDPが15Wなので、クアッドコアにした分熱量を下げるためにクロックを下げざるを得なかったのだろう。

ただし、Turbo Boost時は3.5GHzから3.9GHzにむしろクロックが上がってるので、ピーク時の性能はかなり上がっている可能性もある。このあたりは実際に使ってみないとわからない。

さらに、Touch BarとTouch IDも設けられ、T2セキュリティチップも登載された。

ただし、Thunderbolt 3ポートはふたつのままだし、おそらく内蔵ファンも(上位モデルのふたつと違って)ひとつしか登載されていないだろう。つまり、装備は増えたが、MacBook Pro 13インチの、TDP(クルマにたとえれば排気量のようなものだ)は半分強しかないモデルであることに違いはない。

とはいえ以前のモデルが、MacBook Airと大差ない性能しか発揮できなかったのに対し、今回のモデルは、Airと4 Thunderbolt 3ポートのMacBook Pro 13の間ぐらいの性能になっていることが期待できる。

また、MacBook Airと同様にT2チップを登載するにしてもTouch Barなしの、Touch IDのみ……という選択肢もあったのに、Touch Barを登載してきたということは、アップルはまだまだTouch Barを活用していく路線を捨ててはいないということが感じられる。

さらに再安モデルで2万5000円安くなっているのだから、これはかなりのお買い得モデルだ。

MacBook Airはほとんど変更なく、1万5000円安くなっている。これによって、10万円を切る唯一のモデルとして生き長らえていた旧MacBook Airを廃することができるようになった。

USの新学期に、1,000ドルを切るMacBook Airを

この改変の意味は、3つある。

ひとつは、9月からのアメリカの新学期に向けて、競争力のある価格帯のモデルを揃えるということだ。USのサイトには『Students Can Purchase MacBook Air for $999 and the 13-inch MacBook Pro for $1,199(学生はMacBook Airを999ドルで、Proを1,199ドルで買える)』とある。

日本円では10万9800円、12万9800円(税別)だ。円安のおかげでいまひとつインパクトはないが、RetinaのMacBook Airが10万9800円で買えるようになったのだから、たいしたものだと思う。

全MacBookシリーズにT2チップ登載完了!

ふたつ目は、MacBookシリーズを新世代のスペックで揃えることだ。

最大のポイントはT2セキュリティチップ登載とすること。これにより、すべてのMacBookシリーズのセキュリティ性能を同じラインに揃えられるし、指紋認証のセキュリティ下に置き、SSDの内容などを完全に守ることができる。

Retinaディスプレイにして、Thunderbolt 3ポートで統一できたことの意味も大きい。すべてのモニターのクオリティを担保し、接続できるデバイスも統一することができる。

この統一性は、macOSを次のステップに進める時に、必要になってくるのだと思う。

そのためにMacBook(12インチモデル)はいったんラインナップから外しれたが、T2セキュリティチップを登載したモデルがそのうち登場するのではないかと思っている。もしくはMacBook Airとの差別化が難しかったので、T2を積んで、より小さな11インチや11.5インチのモデルとして登場するか、12インチのままでもボディサイズを小さくするか、何がしかの大幅なアップデートをして戻ってくるのではないかと思う。

『そのクラスのデバイスは、今後iPadに任せるのだ』という見解もあるが。

安価、軽量、コンパクトモデルをAirのみに整理

3つ目は商品ラインナップの整理。

つまり、もっとも高価で高性能なPro 15インチ、コンパクト高性能な Pro 13インチ(4 Thunderbolt 3ポート)と、スタンダードな(2 Thunderbolt 3ポート)、そして安価でコンパクトなAirに整理されたということだ。

旧MacBook Airを廃せたのは、MacBook Airを1万5000円値下げできるようになったというところが大きいだろう。これにより、MacBookよりも安いモデルにもなれている。Airの画面/ボディサイズと、MacBookの画面/ボディサイズがあまりに近い。そしてMacBookの性能が上げにくい……というところがあったのかもしれないが、『1kgを切るMac』がなくなったのは残念なことではある。

全モデルにT2を積むと、OSが次のステップに進める

これでいよいよ、T2セキュリティチップを積んでいないのは、iMacだけになった。

次のモデルチェンジ(おそらく来年のWWDCぐらいか)では、HDDを廃してT2セキュリティチップを登載したiMacが登場するのではないだろうか? すべてのMacがT2を積んだところで、あらためてMacのセキュリティレベルが一段高いところに上げられるのではないだろうか?

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年7月号 Vol.93』

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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