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教育を変革するために、アップルストアが夏休み中に専用Today at Appleを多数開催

『ノートと鉛筆』も大事だが、これからはテクノロジーも活用したい

将来、子供たちが漕ぎ出して行く社会では、テクノロジーを使って課題を解決するのに、その子供たちを育てる学校だけがいつまでも『ノートと鉛筆』でいいのだろうか? 「でも、自分には知識も予算もない……」。そんな悩みを抱えている先生も多いことと思う。

今、全国のアップルストアでは、8月5日(月)からの4週間、月曜日から木曜日まで『教師向けサマーセッション』( https://www.apple.com/jp/today/collection/teachers-summer-camp-jp/ )を開催している。

アップルは教育にiPadなどを活用するためのプロジェクトガイド『Everyone Can Create』を公開している。それを活用すれば、ICT教育に詳しくない先生でも、テキストに基づいて、スケッチ、写真、音楽、ビデオの4つのスキルを学んだり、その技術を使って他の教科の勉強を効果的にしたりすることができる。

この施策をさらに加速するために、アップル京都では8月9日(金)から4回にわたって、毎週金曜日17:30〜19:00にスペシャルセッションが開催されている。実際に教育の場でiPadを活用しているApple Distinguished Educators(Apple選出の教育界の変革に務める教育者)の先生がレクチャーを行うのだ。

その1回目である、8月9日の東京成徳大学中学・高等学校、和田一将先生のセッションに参加取材させていただいた。

まずはフォーラムスペースで先生のレクチャーを聞く

和田先生は英語の先生。iPadをどのように英語の授業に活用していくのかを、軽妙な語り口でレクチャーして下さった。

「『歴史上の人物に、インタビューしたつもりでレポートしてみよう!』とか、『Keynoteを使って教科書を作ってみよう!』とかはよくやりますね!」と和田先生。

また、GarageBandを使って音楽を作らせるというのもお勧めとのこと。ご存じのようにGarageBandがあれば、誰しも音楽を作れるが、一度音楽が作れると子供たちは、休み時間に作曲したり、自分の演奏できる楽器を取り込んで組合せたりと、大人が驚くほどのクリエイティビティを発揮するという。

GarageBandで曲が使えるようになると、ムービーを作った時にBGMを作れるし、プレゼン時に音楽を付ける生徒まででてくるという。

さて、そんな中で、和田先生が特にお勧めなのが写真とそこに絵を書き込む手法。たとえば、ご覧のように回転寿司の上にハンバーガーやタコスを描き込むだけで。「各国のファーストフードはなぜこんなに違うのだろう?」「それぞれの価格はどうだろう?」などと、いろんなテーマが湧いてきて、それを説明するための言葉が必要になってくる。「それを英語で説明してみて」と言えば英語が苦手だった生徒でも、テーマが自分ごとになって一所懸命話すようになるのだという。

その延長線上でさらにお勧めなのが『テーマを決めて、写真を撮って、それをキャラクター化しメッセージを語らせる』というもの。

英語という教科が嫌いでも、その担当の先生が嫌いでも、写真を撮るのは面白いし、それに落書きしてキャラクター化して行くのはもっと面白い。そして、その面白さにはまっているウチに、「このキャラクターにこういう言葉を話させたい!」という思いで英語に対する探求心が自然と膨れ上がって行くのだそうだ。

錦市場でフォトウォーク

ということで参加している先生(と我々取材メディア)も、実際にやってみることになった。本日のテーマは『環境問題』。アップルストア京都を出て、すぐ近くにある『京の台所』と言われる錦市場を舞台にフォトウォークして、その写真にセリフを描き込んで環境問題をアピールする。ちなみに、今日は英語の授業ではないということで、日本語のセリフでOKとのこと。

まずは、iPadを持ってない人のためにiPad Proがアップルストアのスタッフから配布される(ちなみに、アップルストアで行われているセッションの多くは、こうやって機材を借りられる。無料セッションなのに太っ腹!)。

そして、参加者全員で、錦市場を練り歩いて撮影。iPad Proを持った大集団に、錦市場を観光する外国人観光客も驚くほどだった。

そして、戻ってアップル京都のフォーラムスペースで描き込みを始める。気がついたら、大の大人も熱心に自分のクリエイティブを良いものにしようと必死になるのだから、子供たちが夢中になるのも納得だ。

参加者の方の作品も傑作ぞろい

さて、最後に和田先生は、授業でするように、参加した人の作品を紹介してイベントを締め括られた。そこで紹介された作品のいくつかを紹介しよう。

前述したが、課題は『アップル京都から錦市場をフォトウォークして、撮った写真に描き込んで環境問題について考える』である。

ゴミ袋が「もっと小さくなりたいよ! どうすればいい?」と言っている。

省資源、ゴミの削減などを訴えかける作品だが、普通だと写真を撮ろうなんて思わないゴミ袋を撮影しているところがユニークだ。さりげなくフィルターをかけて印象的な色味にしているのもいい感じ。作者は英語の先生で「日付が入っているのも、時制の問題などを作れるからいいですね!」と和田先生。

こちらは京都らしい町屋風店舗の看板に描き込みを入れ、狛犬のようにして伝統的な風景が破壊されて行くことに意義を唱える絵としたもの。モノクロのフィルターの使い方が印象的だ。

最後にもうひとつ。

実はこののれん、銭湯のもので、実際には赤と青に染め分けられていたのだが、それをあえてモノトーンにして、セクシャリティの問題としたもの。伝統的な『男湯』『女湯』に対して、『それでいいの?』と疑問を訴えかけている。使う色を、あえて黄色や紫、緑にしたことで、日本で伝統的に使われる「男は黒や青」、「女性は赤」というシンボライズにも疑問を呈している。

詳しくは無償公開されているEveryone Can Createを

これらの、iPadを教育に使う方法論については、アップルが無料で公開している『Everyone Can Create』にいろいろと紹介されているので、関心のある方はこちらもご覧いただきたい。きっとあなたの生徒を生き生きとさせる方法論が乗っているはずだ。

イベント後に和田先生とお話する機会があったので、実際の導入の方法論についていろいろ聞いてみた。

まず筆者が感じるのは予算感の問題。「iPadを買い与えて下さい」「学校で人数分用意します」と言って用意できるような環境の学校は少ないと思う。iPadを導入できたりするのは一部の裕福な私学だけではないかと思うのだが、その点について聞いてみた。

「実は、ご存じない先生方も多いのですがICT教育促進のために補助金が出ています。調べて申請すれば、多くの場合問題は解決するはずです」と和田先生。

受験勉強などでただでさえ授業の時間数が足りないという話も聞く。ICT教育をやる時間はどうして捻出するのだろうか?

「ICTによる効率化で、時間はいくらでも作れます。たとえば、さっきお話したように、歴史上の人物について英語でプレゼンテーションさせることで、英語と歴史の授業を両方やることもできます。また、課題などは授業中にせずに、自宅学習させ、授業では学校でないとできないことをやります。コミュニケーションの方法も増えるし、課題の提出などもネットを使えますから効率的になります」とのこと。なるほど納得だ。

参加した同志社国際学院の荒谷達彦先生は、「写真を撮って、子供に書かせるというのは、とてもやりやすいですね」とおっしゃっていた。

この夏、教職員向けのセッションがまだまだ開催される

このあと、アップル京都では、16日に関西大学の堀力斗先生による『音楽を取り入れた国語の授業での実践発表』、23日には近畿大学附属高等学校の小谷隆行先生による『スケッチを取り入れた化学の授業での実践発表』、30日には三田国際学園中学校・高等学校の芥隆司先生による『ビデオを取り入れた数学の授業での実践発表』が行われる。いずれもハンズオンワークショップが開催されるので、興味のある方はぜひ参加してみていただきたい。

Today at Apple 教職員向け
https://www.apple.com/jp/today/collection/teachers-summer-camp-jp/kyoto/

最後に、筆者も取材しながら、和田先生のワークショップに参加してみたので、その成果物を掲載しておこう。

錦市場で販売されていたイイダコを、温暖化で滅んだ星から来た宇宙人になぞらえて、CO2削減を訴えてみた。それにしてもこの夏は暑い。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年8月号 Vol.94』

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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