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iPhone発表会のはずが……実録! めざせ、成田への道!

IT系のメディアにとって、1年で一番大切なイベントのひとつ……9月10日午前10時(日本時間11日午前2時)にカリフォルニアのApple本社で開催される『iPhone発表会』に向けて、筆者はフリック!の編集者として訪れる予定だった。

そう、9月9日に我々は日本を成田から旅立つはず……はずだった。

しかし、それはそう簡単なことではなかった。

午後には回復するはず

ご存じのように9日未明に台風15号が関東を通過した。筆者の家は横浜の内陸の方にあるのだが、めずらしく台風が頭上を通る体験をした。夜中、窓ガラスが割れるのではないかというほどの風が吹いた。

しかし、サンフランシスコ空港に向かう飛行機は夕方の17:00発。いつも昼前に出て、余裕で着いて空港でのんびりと仕事をするのが定番になっていた。

世間では各所交通にトラブルが出ているというニュースが多かったが、通勤時には大変なことになっていても、昼を過ぎれば、平穏になっているというのが通例……だと思っていた。

筆者は、某横浜の内陸の駅からバスで行こうと思っていた。ネットで検索すると132分かかるという表示だったが、運行しているようだった。

波乱の幕開け

実はそれが、大間違いだった。写真にあるように書き出されたバスは運休。以降も運行の予定は分からないということだった。

「なぜ、バス会社のサイトには平常運航のように書いてあるのか!」と憤慨したが、窓口のアルバイトに怒っても仕方がない。

同様に、T-CATからのバスも動いているのか、ネットからではよくわからない。田園都市線に飛び乗って、移動しながら必死で検索するが動いてるルートが分からない。

どうやら、京葉道路がダメで、バスはことごとく壊滅状態らしい。一般道を走って行ってくれるかと思ったのだが、走ってないのでは、話にならない。

では、鉄道で向かうかと思い、大手町で降りて、スーツケースを引きずって、東京駅へ。東京駅の改札で、どのルートなら行けるのか聞いて見た。

バスも鉄道も全滅!?

「成田行きは全線不通です。京急も動いてないらしいです」東京駅改札の駅員さんは無情にも、そう言った。

えええ! 日本において、そんなことがあるのか? ここに来て、ようやく筆者はピンチを悟りはじめた。しかし、貧乏性なので、まだタクシーで行くという決断ができていなかった。

この頃には、他のメディアの編集者さんや、ライターさんの間でメッセージが行き交っており、日暮里からスカイライナーという手が可能らしいという情報があった。そこで、とにかく上野に向かうかと、JRに飛び乗った。

しかし、そこで不幸な知らせが。

スカイライナーは予約が取れるだけで、実際には動いていないのだ。実際に切符を買っていて、日暮里に行ったライターさんが乗れなかったと。

そこの情報によると、どうも路線に15mぐらいの倒木があり、完全不通になっていて、復旧の目処が立たないと。

万事休す。

この時点で13時頃だったろうか。あと4時間で空港まで行くのは無理っぽい。

神の声が!

しかし、ここで神の助けが。先にアメリカに行っていたA社広報のTさんから、「旅行代理店に問い合せたところ、『柏からタクシーが一番可能性が高い』とのことです」とメッセージが入った。

そのまま、電車で柏に向かう。

結局、成田に向かうルートはことごとくダメなのだが、ちょっと方向違いの柏に行って、そこから下道というルートが一番混んでないのだそうだ。

ところが、柏に着いてライターのH氏とウェブメディアS氏と合流。他の人と会って少し安心した。しかし、それもつかの間、そこで絶望。

タクシーの長い待ち行列が。

いや、正確には待ち行列は長くないのだが、10〜15分経っても1台やっと来たぐらい。これでは、とても間に合わない。

神の声2

この頃には、別動のM氏が全員の連絡先を集めて、メッセンジャーの板を立ててくれていたのだが、そこに見慣れぬ女性から『私、今柏に向かってて、レンタカー押えました!』と。

しかも、その女性は免許を持ってないという(笑)

詳しく聞くと、その女性、今回初参加のYouTuberさん。我々3人もタクシーを待っていてはらちがあかないので、彼女とレンタカー屋で合流することに。クルマを借り、あわてて、スーツケースを積み込み走り出す。ハンドルは元バイク雑誌編集者として借り物のクルマを運転するのに慣れている筆者が握った。クルマはエクストレイル。

この時点で15時ぐらいだたっと思う。距離は40km。1時間ちょいかけて走っても、なんとか、ゲートに込めそう。

他のライターさん達も、各方面から、タクシーや、レンタカー、知人に拾ってもらったりと様々な手段で向かっている。

停電と渋滞と倒木

しかし、そんなに事態は甘くなかった。

20kmほど走った時点で渋滞が激しくなってきた。原因は停電で信号が消えているから。信号が消えると交差点が大混乱になり、進めないのだ。

まったく動かない。

そこで、助手席のH氏がGoogleのナビを活用。Googleのナビはスマホの位置から渋滞を割り出すので、このような突発的な渋滞も表示できる。普段は、脇道に案内しすぎる……と不評のGoogleのナビだが、こういう時には役に立つ。

脇道に入り、住宅地を抜け、あぜ道を抜け、なぜか小山の中の林道のような道を通る。そこここに木の枝が落ちていたり、小さな倒木があったりして、クルマがエクストレイルで良かった! と感謝するほど激しい道になっていた。H氏のナビを聞きながら、もはやラリーかと思うような走りになる。

そして、残り1時間を切った頃(国際線なのでそれでもギリギリ)、レンタカーショップにクルマを投げ込み、店のクルマで(正確には今まで乗っていたクルマにレンタカーの人が乗って運転したのだが)。この頃のは1時間ほど、飛行機がディレイするらしいと分かっていたので、少し余裕は出ていた。

が、そこからまた大渋滞。呑ん気なレンタカー屋の運転手は、のんびり渋滞に入っているので、僕らは気が気じゃない。ふと歩道を見たら、ライターのI氏と、M氏がスーツケースを押して、走っている。

我々も、もう諦めて、走ることにした。残り1.5kmほど。

4人で、クルマを降りて、スーツケースを押して走る。

走る、走る! この頃には得体のしれない楽しさが湧き上がって来た。

メッセンジャーには早くも到着して、ラウンジでビールを呑むA氏、N氏、 I氏の写真が届く。我々はラウンジどころではない。

それでも、Wi-Fiルーターを借り、荷物を預け、ゲートに飛び込む。

我々はなんとか間に合ったようだ。しかしまだ、著名ライターのN氏が、空港に飛び込むレベル。

キャビンアテンダントが空港に来れないという理由でさらに遅延していたのだが、それでもギリギリ。

そしてついにゲートクローズ。

何人かの人が間に合わなかった。他の便を手配してなんとか来られような話ではあった。

機内、キャビンアテンダントの人数もとても少なく、空席もちらほらある。さらに、食事も簡素なものしか提供されないという。ともかくそれを食べて寝る。

サンノゼに着いたら、さらに驚きのニュースが待っていた。

乗れなかった人が、乗り換えた便は、結局キャビンアテンダントが定数揃わず、フライトがキャンセルされたのだ。

それとは別にANA便(我々はUAだった)もキャンセル。日本の携帯電話会社の方々とか多くの人がアメリカに来られなかった。

乗り遅れた人は案外早く都心を出た人だった。早く出たがゆえに、タクシーの渋滞や、動かないバス乗り場に行って、先にハマってしまった感がある。我々はそういう人からの情報も得つつ、ギリギリのラインで間に合ったことになる。ある意味、そういう方々からの情報で我々は間に合ったのかもしれない。

今にして思えば、バスや鉄道のネットの情報が、まったくリアルタイムでネットに出ていないことに翻弄された感がある。ネットに詳しいメンバーだったから、余計にというのもあるが、あらゆる手を尽くしてもダメだった。旅行代理店の方の『柏へ』という指示が正しかったのには驚かされる。

しかし、日本語が使える我々でさえこうなのだから、来年のオリンピックの時までに、交通機関のネットへの情報配信を整備しないと、オリンピック時に台風でも来たら、この比ではない大混乱になるのではないか?

というわけで、明日(日本時間的にはもう今夜ですが)、iPhoneの発表会をレポートすることができそうです。お楽しみに!

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年9月号 Vol.95』

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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