遠からずアナタも使う『Slack』とは何か?【Slack Frontiers Tokyo レポート1】
- 2019年09月18日
日本法人立ち上げからたった2年で開催された600人規模のイベント
『Slack』というサービスをご存じだろうか? 主にビジネスシーンで使われるし、個人で導入できるものでもないので、使ったことがない人は「何それ、関係ない」と思っているかもしれないが、遠からずもっと多くの場面で使われるようになり、そのうち誰もが使うツールになるはずだ。
ほんの2年ほど前には我々の多くだって「あ、Slackってギークなエンジニアが使ってるチャットツールね!」という扱いで、自分で使うことになるとも思っていなかったし、使ってみても個人で試してみても、その意味もメリットも分からなかった。
Slackがローンチされたのはたったの6年前。にも関わらず、現在世界での日間アクティブユーザー数は1,000万人。1週間に送られるメッセージの数は10億件にも及ぶという。
今回は、9月17日に東京・虎ノ門ヒルズで開催された『Slack Frontiers Tokyo』の公演を元に、Slackについてご紹介しよう。『Frontiers』は年に1度サンフランシスコで行われるSlackのイベントの名称だが、今年はロンドンと日本でも行われるという。
登壇された「日本法人の最初のスタッフ」の方がおっしゃっていたが、「2年前にはスタッフはひとり、オフィスもなく自宅で仕事をしていた」というところから、虎ノ門ヒルズで600人規模のイベントを主催して、大盛況、参加は抽選……というところまで急成長を遂げたのだから、本当に驚かされる。
今回のイベントの最大のサプライズはCEO兼共同創業者のスチュワート・バターフィールドが来日し、Keynoteを行ったことだろう。
もっと効率的なコミュニケーションを
バターフィールドの説明はEメールについての話から始まった。
あなたは1日に何件のだろうか? 1件につき何分を消費して、1日の何分をEメールの対応に費やすだろうか? 会社全体ではその総計は何分になるだろうか?
そもそも、Eメールの効率はよくない。
もし、致命的な間違いがあっても、『送信』ボタンを押したら取り消せないし、いろんな案件が混ざりがちだし、セキュリティ的にもいろいろな問題がある。
また、前略から時候の挨拶、署名欄名……などなどいろいろなマナーも面倒だ。
Slackはメッセンジャーなので、そんな心配はない。要件だけでいいし、相手は誰かはっきり分かるし、ご送信をしてしまったら取り消せばいい(相手が見てしまう前なら)。
Slackのメッセージは、部署や案件ごとに #で始まる名前がつけられたチャンネルに分けられる。
仕事では、よくむやみやたらとCCがつけられたEメールが送られてくるが、Slackの場合、必要な人が必要なチャンネルを見ていればいい。
共有チャンネルでさらに多くの人と、いつでもどこでも
多くの人が関わり、互いの情報を持ち寄ることもできるし、自分に関係なければ退出することもできる。
Slackが14万人の規模を持つOracleに導入された時も、SlackとOracleの導入プロジェクトチームは、Slackベースで運用され、効率的に推進されたという。
こういった場合に有効なのが、現在ベータとして徐々に導入されつつある『共有チャンネル』で、異なる会社のスタッフ同士が共有チャンネルにおいて作業を進めることができる。この場合でいえば、SlackとOracle両方のメンバーが参加することができるのだ。
メールのスレッドごとに「誰をCCに入れたか?」なんてことを気にする必要はなく、常に必要な人がアサインされた会議室が開いているようなものだ。特に、関係者が世界各国に分散しているような場合。物理的な距離に関係なくリアルタイムコミュニケーションが取れるSlackはもはや不可欠だ。
『コラボレーションハブ』と呼ばれるワケ
しかし、Slackは単なる『チャットツール』ではない。同社は、『コラボレーションハブ』と呼ぶ。
すべての仕事のコミュニケーション、実際のタスクの進行における『ハブ』になっていくというわけだ。
Slackには現在我々が使っている多くのクラウドサービス、ウェブツールを連携させることができる。たとえば、GoogleドキュメントをSlack上に置かれているように扱うこともできるし、経理アプリの申請ボタンを配することもできる。
現在Slackと連携しているサービスは1800以上もあり、日々増えている。またオープンなアーキテクチャなので自社独自開発のウェブサービスと連携させることもできる。もちろん、セキュリティについてはEメールなどよりはるかに担保される。
つまり、Slackで他社のスタッフとコミュニケーションして、Slack経由でタスク管理をし、スケジュールを調整し、予算を管理し、成果物を納品し、経費を精算し……と、Slackがすべての仕事のハブになる感じだ。
会社ごとにしか普及していかないので、使ったことがない人は実感がないかもしれないが、スムーズで効率的な働き方を追求する上で、Slackはもはや避けては通れないサービスになっている。
あなたの会社に導入された時のために、予備知識はもっておこう。
次の記事では、イベントで聞いたSlackの活用方法、Slackをスムーズに導入する方法などをレポートする。
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年9月号 Vol.95』)
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。