Series 5登場までのApple Watchのディスプレイは、ファッションとして暗黒だった

ディスプレイが真っ黒でなくなるというのは、すごいことだ

本日発売されるApple Watch Series 5を、発売前に数日間先行試用したのだが、一番強く感じたのはApple Watchが再びファッションの文脈から受け入れられていくだろうという予感だ。

Series 4までのApple Watchは、使用者が見ている時以外は消灯していた。つまり、スケジュールを詰め込んだビジネスマンだろうが、ジョギングのラップを計るアスリートだろうが、Hermesのドゥブルトゥールのレザーストラップを使っていようが、外側から見る他の人にとってはディスプレイは真っ黒。暗黒の宝石だった。

それがどうだ! Series 5は、本人が見ていない時でも、その人のセンスを主張している。電車のつり革を握る細腕に輝くHermesの文字盤、心拍トレーニングするあ逞しいなたの腕にナイキの文字盤。バリバリとビジネスするあなたの腕にはモジュラーやインフォグラフィックなど情報量の多い文字盤。それが常に存在を主張するようになるのだ。

元来、時計とはファッションの文脈を大きく含む製品だ。初代のApple Watchがステンレスモデルのミラネーゼループや、ゴールドのエイディションをアピールしたのはそのファッションの文脈に入ろうとしていたからだ。

しかしそれは成功せず、Apple Watchはアルミモデルを中核に据え、ヘルスケア、アクティビティの記録を行うデバイスとして成長した。

しかし、文字盤が常時点灯するようになれば、スポーツだけでなくファッションの文脈でもアピールできるのではないだろうか? チョイスされた文字盤で、どんなセンスを持つ人なのかアピールできる。新しいApple Watch Series 5はそんなApple Watchだ。

常時点灯にするための多くの工夫

ちなみに、常時点灯(Always-On)を実現するために、Apple Watchは涙ぐましい努力をしている。まずディスプレイにはLTPO(低温ポリシリコン酸化物)を採用。その他に超停電力ディスプレイドライバの採用、電力管理ICのチューニング、環境光センサーのデータを利用した明るさのコントロールを行っている。

ちなみに、今のところ『電池の持ちが悪いのではないか?』という疑義が上げられているが、使いはじめて最初のうちはバッテリーもなじんでいないかもしれないし、初期設定に続く内部処理を行っている場合もあるので、現時点でバッテリーの持ちを云々するべきではないだろう。せめて1〜2週間待ってから感触を語りたい。

興味深いのはディスプレイの表示だ。LCDの場合はバックライトは全面均質に光っているが、LTPSはそうではない。黒い部分が増した方が電力を節約できる。そこで、ディスプレイを見ていない時には、全体的に暗く、暗部の多いデザインに切り替わる。

また、リフレッシュレートが1Hzになるので、秒針など1秒以下の動作が必要な針は表示されない。下はグラデーション2態。

常時点灯になると個人情報もダダ漏れになってしまうのではないかと心配になるが、暗い方のモードになると、スケジュールや、メッセージの通知、アクティビティ、心拍など個人情報に類することは暗いモードでは表示されない。

下の写真を見ればお分かりいただけることと思う。左の明るい状態の時には表示されている『9:00iPhone発売』という表記が、右側では『カレンダー』になっている。

その他、高度センサーが設けられ、いまどの位の高度にいるかが表示できるようになった。また、コンパスが内蔵され、LTEなどの通信なしに、しっかりと方位を感知できるようになった。

従来からのアルミと、ステンレスの他に、チタンが新設され、エディション(セラミック)も復活した。特にチタンの地色を活かしたモデルは美しい。

ネットのアップルストアと、リアルのアップルストアにおいて『Apple Watchスタジオ』の名で、本体とベルトを自由に組み合わせて購入できることになった。これもApple Watchのファッショナブルな側面を強化するだろう。

とっても高機能なのはもちろん、ちょっぴりファッショナブルになったApple Watch。今日(9月20日)から発売される。

出典

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PROFILE

村上 タクタ

flick!編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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