最新iPhoneの充電制御は超複雑! バッテリー愛に満ちた急速充電!
- 2020年01月16日
充電の制御を行うのはデバイス側
またしても、オウルテックの川本武志さんにお話を聞いてきた。
今度は、最新のiPhoneシリーズがいかに、高精度な充電制御をしているかというお話。
充電というのは、充電器が行うことのようだが、昨今のデバイスの場合、制御を行うのはデバイス側だ。もちろん、充電器とケーブルは、そのデバイスが要求する電圧、電流を供給できるキャパシティがなければならないが、基本的には制御自体はデバイス側が行う。
そして昔のiPhoneやAndroidデバイスは割と単純な制御をしていた。これはとあるAndroidデバイスの充電時の電圧と電流の制御。
まだ、5V充電の時代のものだから電圧はずっと5V。電流は1時間20分ぐらいまで1.6〜7Aを維持してそこから、暫減する制御に入る。そして2時間15分ぐらいで充電をほぼ終了する。
非常に複雑な制御を行うiPhone 11シリーズ
次に、最新のiPhone 11 Proの高度な制御を見てみよう。
ちなみに、このデータは、パソコンに接続できるタイプの電圧・電流計を使えば誰でも取得できる。ちなみに、使った充電器は前回も紹介したオウルテックの新型充電器、 OWL-ACPDU4S60W(USB PD 30W Type-C× 1+USB Type-A×4の充電アダプター)。PD-PPS制御ができる充電器だが、まだiPhoneはこの機能を使っていないことも分かる。
USB-CポートはPDで最大で30W供給できる。
詳細はグラフの中に書き込んだが、注目すべきはiPhoneが、まず5Vで起動してからリセットし、PDの領域である9Vに切り換え、電流量を最初は規定値いっぱいの18Wで20分間充電することだろう。
そこから徐々に段階を追って電流量を下げていき一度0.5Aあたりまで下げ、9V→5V電圧を切り換えてからまた電流量を1Aまで上げ1時間強まで充電。そして、1時間強のところから徐々にまた電流量を下げていくという制御を行っていく。
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バッテリーをいたわりながら急速充電
つまりは、iPhoneはとてもバッテリーをいたわる制御をしながら、可能な限りの急速充電を行っているということだ。かなり複雑な制御だが、バッテリーの性質を深く理解した制御だ。
電圧や電流の細かい数字に興味のない人に分かりやすく説明しておこう。
空のiPhoneを十分な性能のUSB-C経由の十分な性能の充電器に繋いだ場合、20分まではフルの性能で、そこから徐々に電力下げ、50分ぐらいまでは高電圧で充電する。そこからは電圧を通常の充電器と同じに下げてゆるゆると充電する。だいたい1時間45分ぐらいで満充電になっているとみて良さそうだ。
川本さんによると、こういう複雑な制御を行うようになったのはiPhone 8とX以降の世代からなのだそうだ。
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(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。