フリック! 第3のステップ。有料記事と読み放題プランをスタートする理由
- 2020年06月01日
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330円(税込)/月で、140冊以上のフリック!を読めるプラン
ようこそ! フリック!の第3のステップへ。
編集長の村上タクタです。
新しい試みとして、ウェブでの有料記事と、読み放題のプランをスタートします。
FUNQに新しい仕組みを追加して、有償の記事を配信できるようにしました。この[FUNQ/flick!]の有償記事を2週に1本提供します。お値段は個別に設定しますが、だいたい50〜100円/本を想定しています。
2週に1本の記事と、最新の電子書籍のフリック!、そして過去の104号のフリック!、そして40冊以上のフリック!特別編集のムックの電子版を、すべて月額330円(税込)で読めるプランをご提供します(リーダーアプリはmeclibを使用)。そのための会員システムも構築してもらいました。
しかし、なかなか有料のウェブ記事を書くのって悩ましいですね。
もちろん、28年も前から雑誌に記事を書いているので、ずっと記事を書いてお金をいただいているのですが、『タダで読めるのがあたり前』のウェブの世界で、記事に値札を付けて売るのはなかなか難しい。
では、なぜ、そんなことを始めるのかを、第1回のテーマとして扱いたいと思います。
まず、出版社がどんな収益構造かの話
みなさんは、我々が作る紙の雑誌がどういう収益構造を持っているかご存じだろうか?
(以下、あまりリアルな数字にするといろいろ問題があるので、多分にぼかしてあります。だいたいの雰囲気と思ってご理解を。またあくまで趣味の雑誌領域での話。小説やマンガ、雑誌でも週刊誌などの部数の多い本はまたビジネスモデルが違う)。
非常に大ざっぱに言うと、たとえば、1000円の本を2万部印刷したとするトータルで言うと、1000円×2万部=2000万円の売上となる。しかし、だいたい一般に我々が作る雑誌の場合、50%ぐらいは返本として返ってくる。
これは、本という文化の財は、日本中どこでも、同じ価格で買えなければならない……という再販制度というルールがあり、東京の都心でも北海道の片田舎でも同じ価格で買えて、あるていど日本中に流通しなければならないからだ。
細かい本の流通の差配は、『取次』という一種の問屋が行い、我々が細かく行うことはできない。
本の売上は、その返本を差し引いて、だいたい半年後ぐらいに取次から出版社に支払われれる(この期間は出版社の取次に対する強さで決まる。大手出版社はもっと短いスパンだとも聞く)。
さて? 手元にお金は残るのか?
つまり、先の例でいえば、1000万円ぐらいが売上となるわけだ。
ちなみに、昨今の出版不況で、この返本率は50%を超えることが多くなっており、60%、70%が戻ってくることもある。年末や3月などの期末には、大量の本が流通するため、取次から書店に本は行くものの、棚に並べるスペースがなく、倉庫に置かれたままで最終的に返本される……ということさえあるという。酷い話だ。
ちなみに私の28年の編集者人生の中では返本率が不本意にも90%を越えた(つまりヒトケタ%しか売れなかった)こともあるし、単価1800円で、5万部以上売れた(つまり広告費を入れて1億円近い収益があった)本もある。こう書くとギャンブルのように見えるが、この状況の中で
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。