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スーパーストラタ(Superstrata)多くの産業に革命を起すユニボディカーボン製バイク

これまでにない製法のカーボン成形品

しばらく前から、『世界初のユニボディ・カーボンファイバー製スポーツバイク』というキャッチフレーズでネットを騒がせている謎の自転車『Superstrata(スーパーストラタ)』の製造方法を聞きに取材にうかがってきた。

Superstrataのフレームはどうやって作られているのか?

その前にまず、カーボンファイバーについてのおさらい。

カーボンファイバーとは炭素繊維。樹脂に浸して、バキュームして繊維の隙間を樹脂で埋めるようにして、高温で焼成することによって強度を確保するのが一般的な手法。炭素繊維自体は引っ張り強度に優れており、同じ重量だと鉄の10倍の引っ張り強度を持つ。この引っ張り強度を生かして成形して剛性するのが一般的なドライカーボンの作り方だ。

ちなみに、F1のモノコックなどはケブラーなども織り交ぜてガッチリと作るし、軽さが必要な自転車のフレームの場合は、薄く成形したパーツを組合せ、接着してして構成する。

しかし、Superstrataの成形方法はまったく違う。

簡単に言えば、スーパーストラタは3Dプリンターで作られるカーボン成形品なのだ。

このフレームを作るのが、SuperstrataのメーカーであるArevoというメーカー。カリフォルニアシリコンバレーを拠点とするスタートアップだ。

Arevoのカーボンファイバーを出力できる3Dプリンターが、横浜市鶴見区にあると聞いたので、見に行って来た。

6軸アームでの3Dプリント出力

件の3Dプリンターは、横浜市鶴見区のAGCテクニカルセンターに設置されていた。AGCとは旧・旭硝子株式会社のこと。世界最大のガラスメーカーでもあるが、電子部材や化学関連素材、セラミックスなどを扱っている。関連事業のひとつとしてAQUAプリンタを用いて研究開発を進め、様々なソリューション探索をArevoと協業して取り組んでいる。

注目すべきはこのプリンターの仕組みだ。

ターンテーブルと、6軸のアームが連動して動き、カーボンファイバーを出力して成形していく。

Arevoの技術はこの成形方法にある。

カーボンファイバーは長い棒状の繊維としてリールに巻かれてストックされており、それが出力部分に押し当てられ、レーザーで熱せられると同時にCompaction rollerで成形物に押し当てられる。

これがDED(Direct Energy Deposition)という技術。

つまり通常、カーボン成形品は全体を貼り合わせてから焼成するのに対して、Arevoの技術は繊維を高熱に熱して押し付けて行くことによって、3Dプリンターでの成形を可能としているのだ。

考えてみればこの技術の可能性は驚くほど大きい。通常のカーボンだと型から抜ける形状しか作れないが、この技術なら3Dプリンターで出力できるさまざまな形状を出力できる。繊維の向きも自由に選べる。特定の方向に強くすることもできるし、一層ごとに繊維の向きを変えてどんな方向からの力にも耐えるようにもできる。

通常のカーボンなら大きい部品を生成するには大きな窯が要るが、この方法ならターンテーブルとアームさえ工夫すれば巨大な成形品を作ることもできる。

極論すると、旅客機の主翼を丸ごと出力することだってできるかもしれないし、従来の製法では製造できなかった複雑な形状と強度を合わせ持つパーツを作ることもできる。

横からの力に強いカーボンで、ユーザーの身体のサイズに合わせて出力

その技術を立証すべく生まれたのが、スーパーストラタだ。

メインフレームはこのDEDによってユニボディ・カーボンファーバーとして成形されている。各部は必要に応じた厚さ、強度で出力することができる。

多くのローディにとって、カーボンフレームの自転車は非常にデリケートなもので、横からの衝撃に非常に弱い神経質なものだが、繊維の向きを自由に配することができるスーパーストラタのフレームは、カーボンファイバーとは思えない程の強度を実現している。

パイプを横から押すと割れる……というような神経質さがないのだ。

通常、カーボンファイバーのフレームは金型に合わせて製造した部品を繋いで作るから、あるていどフレームサイズは決まったパターンしか作れないが、スーパーストラタはすべてのオーナーの身体のサイズを測り、ライディングフォームの好みを聞き、それに合わせて自由なサイズで出力できる。

シートフレームを持たない特異なフレーム形状も、各部の肉厚を自由にデザインできるユニボディ・カーボンフレームならではだ。

軽く、剛性があり、カーボンなのに横からの応力に強く、オーダーメイドサイズで出力される。まったく新しいカーボンフレームなのだ。

クラウドファンディングが始まった。欲しいなら、価格が安いうちに

このSuperstrataは、昨夜の日本時間23時にクラウドファンディングを開始して、猛烈な勢いで売上を伸ばしている。開始3時間半経った日本時間午前2時現在で、約500人が購入し、当初の目標金額の650%を達成。売上は日本円で7000万円以上。期間はあと31日もあるのだから、まだまだ伸びるだろう。

INDIEGOGO Superstrata Bike
https://www.indiegogo.com/projects/superstrata-bike#/

スタンダードモデルのTerraは1299ドル(13万9109円・この価格は500台限定)。電動モデルのIonは1799ドル(19万2654円・この価格は500台限定)。オプションのカーボンファイバー製ホイールは699ドル(7万4855円・この価格は500セット限定)。

※クラウドファンディングでは安い価格のプランは台数限定になっており、それが売り切れると徐々に価格の高いプランで買うハメになる。

スタンダードモデルのスペックをざっと見ておくと、フレームはユニボディ・カーボンフレームのサイズカスタムメイド。ホイールはスポークホイールの700C。前後ディスクブレーキ。コンポーネントはシマノの11速(おそらく105だろう)。ヘッドライトもテールライトもフレームに埋込まれた独特の形状をしている。

カラー、メカ、ホイール、タイヤ、ハンドルバーなどはカスタム可能で(おそらくオーダーに応じて追加フィーはかかるのだろう)、50万通り以上のカスタマイズが可能だという。

自転車ファンの方からすると、今のところ実績のないブランドだし、クラウドファンディングを見る限りでは細かいスペックが出ていない部分もあるので、勢いで買ってしまうのは不安な部分もあるかもしれない。

しかし、フルカーボンのフレーム、前後ディスク、シマノの11速で、14万円というのなら、とりあえず買っておいてみてもいいというほど安い。電動にしても20万円しないのだ。クラウドファンディングサイトのアーリーバード(最初に勢いを付けるために限定台数で低価格のプランを出す)とはいえ、いやだからこそこれはお買い得だろう。

日本語のサイトはこちら。
https://www.superstrata.bike/

(村上タクタ)

出典

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

村上 タクタの記事一覧

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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