BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

トップIT企業のスキルで一般の商品を売ると? 元FBジャパン代表MOON-Xでの挑戦

元フェイスブック ジャパン代表が、IT企業のスキルを武器に日本のモノづくりを支援

今、どんなビジネスをしていてもついて回るのが、『IT企業のように』……「SNSを上手く使わないと」「果断な意思決定しないと」「データを活用したマーケティングを」……という呪縛だ。

ひと昔前のビジネス手法はすべて守旧的とされ、GAFA的……つまり、Google、Apple、Facebook、Amazonのようなビジネスをしたいと誰もが脅迫観念を抱いている。日本の歴史ある大企業はもちろん、街角のパン屋さんにいたるまで、SNSを活用しようとしたり、スティーブ・ジョブズの経営手法を学ぼうと本を買ったりしている。

付け焼き刃的にそういう本を読んで役に立つのかどうかは分からないが、実際にそのITメジャーによるビジネスのド真ん中にいた人が、日本のモノづくりをビジネスとして活気づけようと起業している。それが元フェイスブックの日本代表、長谷川晋さんの起業したMOON-Xという会社だ。

昨年発売されたクラフトビール『CRAFT X』、3月に発売された女性向けスキンケア製品『BITOKA』、男性向け『SKIN X』のマーケティング、商品展開、SNSなどの展開手法には、既存のビジネスを営んでいる人にとって役に立つヒントがいっぱいある。ITメジャー流の経営のヒントを探してみよう。

マーケティング、生産、EC、情報発信にテクノロジーを駆使

まず、会社のビジョン、そして販売しようとしている製品のコアバリューがしっかりしてる。

MOON-Xのビジョンは『ブランドとテクノロジーの力で日本のモノづくりの翼になる』というものだ。

これが明確だから、思い入れを持って日本で『モノづくり』に取り組んでいる人は、MOON-Xと協力しやすい、会社としてどこに向かうのかが明確だ。

MOON-Xがテクノロジーを活用するポイントは3つある。『インターネット、特にSNSを通じての情報発信』『サブスクリプションを中心としたECでの販売』『そして製品の開発生産、そして顧客からのフィードバックを受けての改良』だ。これらが円環となってフィードバックを返しながら、巡っていく。

各製品のポートフォリオは以下の通り。いずれも日本の顧客をしっかりと見据えており、相当な調査と議論を経てフォーカスされたものだとわかる。

 

早くも2度目のアップデートを受けるクラフトビール

それぞれの製品を見て行こう。

CRAFT X ブランドサイト
オンラインでの調査(n=250)では、家飲みの機会が増えており、オンライン飲み会に興味があるという層が30%以上(3月の調査)、さらに家で飲みたいお酒としてワインよりクラフトビールが挙がっている。

ちょっとこだわったクラフトビールは、オンライン飲みなどにまさにピッタリのお酒だといえるだろう。

クラフトビールのCRAFT Xは、すでに発表当初のLOT#000から、LOT#001にアップデートされており、さらに近々LOT#002にアップデートされる。味は香りを中心にサブスクリプション契約者の意見を取り入れつつ進化している。さらに、サブスクリプション契約者の『印象的な北斎の絵だが、どうせなら富岳三十六景をめぐっては?』という意見を反映して、北斎の赤富士など他の絵を取り込んだデザインとなった。

スキンケアしたいけど、方法が分からない男性

SKIN Xは男性の『スキンケアには興味があるが、方法が分からない』というインサイトに対する回答。科学的な研究に基づき、かつ手軽に行えるスキンケア製品を提供している。

SKIN X ブランドサイト
これまではシンプルな2ステップでスキンケアできる『機能性拭き取り化粧水』と『機能性化粧乳液』を展開してきたが、今回はそれに続いて『クレイ洗顔』と『保湿ローション』を発表した。

いずれも、男性肌の『皮脂過多』『乾燥』というふたつの典型的な問題に対して、皮脂過多の肌向けのREDと、乾燥肌向けのBLUEの2タイプ製品ラインを提供する。

クレイウォッシュはSONYが開発したトリポーラスという新素材を使っている。トリポーラスは米の籾殻から作られた天然素材由来のカーボン素材。

優れた吸着能力を持ち、その構造上、分子量の大きな有機色素も、アレルゲン、ウイルスや菌なども従来成分より効果的に吸着するという。

(通常の吸着剤より、穴のサイズが様々あので、いろんなサイズのモノを吸着できるということを表した模型)

こちらもサブスクリプションで提供される。

テクノロジーで女性の肌をもっときれいに

女性用スキンケアブランドBITOKAでは、3月に発表された美容液に続いて、『BITOKA クリスタルクリーム』という名の美容クリームを発表。

BITOKA ブランドサイト

女性向けのスキンケア消費に関する消費者の意識も、やはりコロナ禍で在宅時間が増す中で変わっていたという。

クリームなのに透明な『ナノエマルジョンテクノロジー』によって、一般的なクリームの約25分の1の粒子サイズを持ち、高い浸透性を実現。

さらに新潟県魚沼産の芍薬『白雪姫』のエキスを採用、透明感のある肌に導く美容クリームなのだそうだ。

 

さらに『Bloomee LIFE』とコラボ

さらに、日本の各企業とコラボレーションを加えていくMOON-Xは今回BITOKAに新たな価値を追加。

花のサブスクリプションとして知られる『Bloomee LIFE』とコラボして、3カ月の一度、プロがアレンジしたいろいろな花がポストに届くというサービスを実現した。

花はご覧のようなパッケージでダメージを受けないように配慮された状態で届く。

コロナ禍で『おうち時間』が増えている上に、メンタルストレスが増している。自宅に花があることによるリラックス効果、ストレス低減効果は科学的にも立証されており、花が届くことでたしかにストレスが減り、リラックスできるのだという。

一見別の分野の企業に見えるビジネスだが、同じユーザー層にフォーカスしたサービスだ。それを見極めて組合せて巻き込んでいくこのコラボレーション手法も、これからの企業には必要だと思う。

誰もがMOON-Xの手法に学ぶべき

ご存じのように日本には『モノづくり』にこだわる企業は数多い。しかし、企業のスタンス、マーケティング、製品の開発とそのブラッシュアップ、ECシステム、パブリシティやウェブサイト、SNSマーケティングなどにおいて、ここまで洗練された手法を採っている会社は皆無だと言っていだろう。

上記にリンクを挙げたそれぞれのサイトのデザインテイストの違い、フォント選びから写真の使い方まで、それぞれの製品の性質を踏まえて吟味されていることを観察してみて欲しい。また、CRAFT XのInstagram展開( https://www.instagram.com/craft.x.beer/ )も非常に参考になる。グラフィックのトーン、デザイン、コメント欄、プレゼントキャンペーンの扱い方、ハッシュタグを使ったユーザーとのコミュニケーション……など、さすが元フェイスブックジャパンの人々が作ってることはある……と唸らされる出来栄えだ。

ITメジャー的手法を自分のビジネスにも活用して行きたい……と思う人は、ぜひMOON-Xの動向に注目していただきたい。

(村上タクタ)

SHARE

PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

No more pages to load