『インポシブルフーズ』の植物由来の肉を食べてみた
- 2020年10月05日
我々は肉を食べ続けることはできない
Food Tech Studio – Bites!のスタートに伴い、アメリカで話題の植物由来の肉『インポシブルフーズ』を食べる機会があったので、編集部の安井がそれを食べてみた。
ステーキにしろ、牛丼にしろ、ハンバーガーにしろ、「お肉大好き!」という方は多いと思うし、炭水化物ダイエットの流行や、筋トレの流行により、たんぱく質を積極的に食べる人は増えていると思うが、そもそも『肉』というのは環境負荷の高い食べ物だ。
Scrum Ventures共同創業者の外村仁さんが監修した日経BP社『フードテック革命』によると、現在地球上には、家畜化された豚10億頭、牛15億頭、鶏5000億羽がいるという。75億の人類は1日に水200億リットル、食料10億トンを消費するが、15億頭の牛は1日に1700億リットル、食料600億トンを消費する。
つまり、肉を作るために、圧倒的に多くの水と穀物を消費しているのだ。
今後、世界的に貧困層が減り中間層が増えることが予測されるが(それ自体は素晴らしいことだが)、そうなると現在植物性の食べ物しか食べられない状態の人たちが肉を食べ始めることになる。その肉の消費量の増大に、おそらく地球は耐えられない。今後、ずっと我々が肉を食べ続けることは、おそらくできないのだ。
そんなわけで、アメリカでは代替肉市場に数多くのベンチャーが参入している。
その中の最右翼と言えるのが、アメリカのインポシブルフーズの植物由来の肉。編集部の安井が試食したので、その様子をお伝えしたい。
編集部安井が試食
「まずは、焼く前の段階をご覧いただきたい。赤いハンバーグのタネがインポッシブルミート、白いハンバーグのタネが黒毛和牛だ。タネの段階での見た目には明らかな違いがある」
「焼き始めるとその差は大きく開く。インポッシブルフーズの植物由来の肉は均一に焦げ目がつくが、黒毛和牛には少々ムラが出てくる。さらに黒毛和牛は焼いていくうちに少し小さくなるが、インポッシブルフーズの植物由来の肉のサイズはほぼ変わらない」
「焼いた肉を、そのまま口にしてみると、まだその違いはわかる。食べ慣れた黒毛和牛のハンバーグはジュージーだが、インポッシブルミートはそこまでではない。また香りにおいても焼く前のインポッシブルミートは当然だが、生臭さはないし、焼き上がると差は小さい。触感に関してはインポッシブルミートは少々パサパサしている感じもしたが、モノによってはこのようなハンバーグもあると思う。そもそも、比較したハンバーグがかなり高級でジューシーなものなので、安価なファストフードやコンビニのハンバーグと比べればまた結果は違ったかもしれない」
「これは、ソースをつける前の段階で食べ比べをした場合の感想だ。普通のハンバーグのようにソースをかけて食べるのであれば、私はその違いに気づかないと思う。ここのハンバーグはこんな感じなのね、と思うだろう。ソースをかけて試食し、ハンバーガーでも食べたが、やはりその違いは小さくなった」
「その違いは、すでに「美味しい・美味しくない」ではなく好みで選ぶものになっているように思う。今のところ代わりにすぐに置き代わるものではなく、いつもの肉がいいという人は多いだろう。しかし調理するとその差は小さくなり、気付かない人もまた多いだろう。さらに、肉独特の獣臭さを嫌う人なら植物由来の肉を好む人も少なくないはずだ。また、植物由来の肉ならビーガンの方も食べることができる」
「試食の場で、アメリカではすでに積極的に植物由来の肉を選ぶティーンが多いという話も聞いたが、それも不思議ではない。」
日本進出に期待。日本企業も対抗を!
安井の意見を総合すると、植物由来の肉はかなり本物の肉に近づいているという印象だ。
もちろん、本物の美味しい牛肉と比べるのはまだ難しいかもしれないが、調理方法によっては植物由来の肉でまったく問題はないレベルまで来ているようだ。
現在のところ、まだ植物由来の肉の方が高価だが、これが本物の肉より安価に購入できるようになってくると、環境負荷への小ささや、健康面などを考えて植物由来の肉を選択する人も増えてくるに違いない。
我々が未来に食べることになるであろう植物由来の肉、機会があれば筆者もぜひ試してみたい。またインポシブルフーズにはなるべく早く日本市場に参入して欲しいし、日本企業も頑張って対抗していただきたい。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。