未来の肉じゃない肉『インポシブルフード』の植物性肉が、衝撃の美味しさだった
- 2020年11月26日
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すべての人類が肉を食べる余地は、地球にはない
最近、Food Tech界隈では、植物由来の肉が話題になっている。
農作物をそのまま食べるより、その農作物を食べさせて鶏、豚、牛などを育てて食べる方が、10倍以上の農作物、水……などが要るそうだ。経済環境の好転で、中国やインドなどの人口の多い国の貧しい人たちが、肉を食べられるようになるのはいいが、すべての人類が我々や欧米人のような食生活……つまり、適度に肉を食べる生活をする余地は地球にはないのだそうだ。
となると、将来的には今ほど肉を食べられなくなる可能性が高い。そこで注目を集めているのが植物性由来の肉だだ。
日本にはもともと、精進料理のようなものもあるし、大豆由来の代替肉も存在するが、欧米ではもっと『美味い肉』として食べられる植物由来の肉に注目が集まっており、スタートアップとして巨額の投資が集まっていたりするらしい。もともと、60年代、70年代の食のイノベーターであった日本は、もっとこの分野に注力すべきなのではないかというアプローチを、Scrum Venturesの外村仁さんたちが行っている。
それに絡んで、編集部の安井が植物由来の肉最右翼のインポシブルフーズの肉を食べさせてもらったレポートはこちら。
その後、私も食べさせていただいた。これが衝撃的な美味しさだったのだ。
ハンバーグ1枚300円ぐらいと、今のところちょっと高い
インポシブルフーズの肉はUSならサイトで買える。
Impossible foods
https://buy.impossiblefoods.com/
ざっくり見ると1/4ポンド(113g)の20個パックが、70ドルなので、100gのミンチ肉(的なもの)が300円ちょっと……という感じなので、高いといえば高い。少なくとも本物の肉じゃないから安いという感じではない。今のところ。
ちなみに、この状態で見ても、まったくミンチ肉にしか見えない。よくできている。においはほとんどしない。これが肉なら生臭いにおいがすると思うのだが、そんな感じは全然しない。
焼いてもらう。
普通の肉と同じように、ピンクから茶色に変色していく。美味しそうな香ばしいにおいがしてくるが、これがインポシブルミートによるものなのか、油のにおいなのかは分からない。
比較のために、一緒に六本木の熟成肉の名店格之進の金格ハンバーグも焼いてもらって食べ比べることに。
(ちなみに、今回のインポシブルフーズの植物性肉は、おみやげに少量もらったもので、日本の店舗で販売されていたり、メニューとして提供されているものではない)
見た目はちょっと違うけれど
さて、左が格之進の金格ハンバーグ。右がインポシブルフーズの植物由来の肉。
同じようなカタチに成形されていたのだが、金格ハンバーグは少し外周が縮んで盛り上がり、組成によるまばらな感じが出ている。つまり脂分が解け出したり、赤身の部分が固まったり……というような変化だ。対して、インポシブルフーズの方は、カタチはあまり変わらない。均質に変化している感じだ。
食べてみる。
赤身の美味しい肉みたい
もちろん、金格ハンバーグはジューシーで美味い。最高のハンバーグだ。
対して、インポシブルフーズの肉も別に不味くはない。むしろ、金格ハンバーグとは別のタイプの美味さがある。脂分があまりなく、赤見の美味さっていう感じ。チェーン店のハンバーガーの肉よりは美味いと思う。ブラインドで食べさせられたら、「これはこれで美味いっすね。どこの肉ですか?」って聞いたと思う。
正直、植物由来の肉としては、衝撃的な美味しさだ。
これは世の中が変わると思う。
しかも、これ、まだインポシブルフーズをそのいままこねて焼いただけなのだ。対して金格ハンバーグの方は繋ぎのパン粉や卵が入ってる。インポシブルフーズはまだまだ料理で変化していく可能性がある。
さらに、トマトから作ってもらったソースをかけて食べた。こうなると、片方が植物由来の成分だとはまったく思わない。
これなら、5年後、10年後の我々の食卓の一角を担っていただたいても全然不満はない。
植物由来の肉がお洒落な時代がやってくる
もちろん、コスト的な問題で、最初はちょっと高いので、むしろお洒落な食べ物として日本には入ってくるのではないだろうか?
「六本木で、インポシブルフーズのハンバーガー食べない?」
というのが、SDGsについて考えるインテリジェンスの高い人たちのお洒落なトレンドとして取り上げられるのが皮切りだと思う。ちょっと高くても、地球環境について考える人の、お洒落な食べ物として人気を博すに違いない。
その後、一般的な食生活にも入ってることだろう。しかし、美味しいし、もしかしたら天然肉に比べてヘルシーになるかもしれないし、環境負荷も低いわけだから、普及するのはいいことだと思う。願わくばそういうアプローチが輸入物だけではなく、国産製品でもあればいいなと思うけれど。
ちょうど、ガソリンエンジン車とEVの違いのように思える。環境負荷は高いけれど、ガソリンエンジンにはガソリンエンジンなりの魅力もある。EVだって、環境負荷が低くても魅力を高めたチューニングもあるし、テスラのようなアプローチもあるはずだ。徐々にEV車と同じように、植物肉も増えていくはず。
私が試食した時に動画レポートはこちら。門崎熟成肉、格之進の千葉祐士さんのコメントも収録されています。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。