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誕生から10年を経て中身も美しく整理。iPhone X(2017)を分解してわかったこと

美しく整理された新世代アーキテクチャ

ひと目でわかるほど内部構造が整理整頓され、美しくなったiPhone X。仕様がiPhone 8/8 Plusと変わらないという人もいるが、こうやって内部を見ると、XはこれまでのiPhoneとまったく違うものだということがよくわかる。

いくつもの点で、このiPhoneは10周年を記念するに相応しく革新的なものになっているが、まずその中心部であるA11 Bionicプロセッサーについて触れよう。

7nmプロセスという新世代の集積度を持つCPUを中心に、SoCとして高い集積度を持っている。A11 Bionicはその名の通り、マシンラーニングに最適化された6,000億回/秒の計算能力を持つニューラルネットワーク専用のハードウェア『ニューラルエンジン』を搭載している。A11 Bionic自体はiPhone 8/8 Plusと同様だが、それをiPhone Xでは3重構造の基板に搭載することで、さらに小さな基板に収めることに成功している。iPhoneの歴史を振り返っても、これほどのパフォーマンスを、これほど狭いスペースに集約したことはないはずだ。

バッテリーは2個に分割し、L字型に配置。こうすることで、これまで大型のバッテリーの位置を決めて、それ以外の部品をそのすき間に詰め込んでいたであろう部品配置が大きく変わったことがわかる。チップが搭載されているのは、シールドを施された部分で、残りのほとんどは配線のために必要なコネクターの数々だというとがわかる。

バッテリーは上方の縦に搭載されている方が4.93Wh、下の横に配されている方が5.52Wh。当然どう使っているかはアップルのみぞ知るというところだが、容量が違うということから使い方が違うということなのかもしれない。たとえば、片側を日常的に使って、性能を必要とする時に、もうひとつのバッテリーを活用するとか。

チップセットがコンパクトで、バッテリー位置に自由度があると、その他のカメラやTaptディスプレイ側にも一部のセンサー類の一部がマウントされており、フラットケーブルとコネクターで本体側のロジックボードに接続される。115icエンジンの配置にもゆとりができ、さらにはスピーカーのエンクロージャーなども大きくなっている。

Face IDなどに使われているTrueDepthカメラなどのセンサー類は、タッチパネル側ではなく、本体側に搭載されている。これは大変ありがたい話で、タッチパネル側だと、落として割ったりした時にセンサー類まで交換せねばならず非常に高価なものになってしまう可能性がある。

これらのパーツを搭載するボディは久々のステンレスフレーム。考えてみれば、ステンレスフレームに表裏ガラスという構成はiPhone 4以来。アルミユニボディのようなシンプルさはないが、構成の美しさという点において、ジョブズが深く携わったiPhone 4/4sへのオマージュになっているように思う。ただし、周囲のステンレスフレームは美しいバフがけ仕上げとなっており、iPhone Xを特別なものにしている。内部構造もiPhone 4/4sを思い出させるもので、ステンレスプレートのミドルフレームにロジックボードなどを固定する方式。

アウトカメラが、これまでのPlusシリーズと違って2台のカメラを縦に搭載しているのも特徴だ。2台のカメラはそれぞれ1,200万画素で、1台が広角側、もう1台が望遠側(というか標準だが)を担当している。iPhone Xでは、望遠側の方にも機械式手ブレ補正が装備された。実際の撮影では、望遠側の方が手ブレの影響が大きくなるので、今回の変更は撮影クオリティの向上に大きく役立っている。

インカメラのTrueDepthと、2台のアウトカメラのことを考えると、これでiPhone Xは表裏どちらにも2台のカメラを持つことになる。

2台のカメラを持つ意味が、望遠と広角の切り替えよりも、AR表現時の平面の識別に貢献していることを考えると、表裏ともに2台のカメラを搭載しているというiPhone Xの構成にAR表現で役立つ仕組みが何か秘められているのかもしれない。

iPhone Xになり、ついにケーブルで接続されている部分がなくなり、すべてフラットケーブルのコネクターで構成されるようになった。初代iPhoneからここまでの道のりを考えると、このiPhone Xの構造の斬新さは実に感慨深い。やはりiPhone Xは新しい世代のiPhoneの最初の一台なのである。

iPhone Xの中身を大公開!その細部に迫る

今回から横開きに

従来のiPhoneは、Lightning横のネジを外して縦にディスプレイを開いたが、iPhone Xでは横開きになっている。分解する方はご注意を。

スチール製のミドルフレームに非接触充電

Qi対応の非接触充電のコイルが中央部に配されるスチール製のミドルフレーム上にさまざまなパーツが固定される構造となっている。

Lightning横のネジが不思議

iPhoneを分解する時に最初に外す、Lightningコネクター横のネジが長くガイド状になっている。組み立てに自動機が使われるのかも。

ディスプレイは専用サイズ

2,436×1,125ピクセル、458ppiの5.8インチOLEDディスプレイ。コントラスト比はなんと100万:1。

集積されシンプルになった

こうやって並べてみても、非常に集積され、シンプルになったことがわかるだろう。根本的に作り直したのだろう。

4、4s以来となるステンレスの枠組み

ステンレスの枠組みと、スチール製のプレートを組み合わせてメインフレームにしている。とても美しい仕上がりだ。

Face ID周りのパーツは本体側に

ふたつのインカメラを含むFace IDまわりのメカニズムは本体側にマウント。このおかげで、自撮りでもポートレートモードが使える。

ピクサーの映画『WALL-E』の主人公ロボットを彷彿とさせる複眼。このカメラがFace IDで顔を識別して、ログインの許可を出しているかと思うとなんか不思議。

ディスプレイ側にもセンサー類の一部がマウントされており、フラットケーブルとコネクターで本体側のロジックボードに接続される。

カメラのマウントフレームはけっこう強固

広角と望遠、2台のアウトカメラをマウントする部分はかなり強固に作られている。ステンレスで作られたボックス状の箱にカメラユニットをはめ込むカタチで固定する。

広角と望遠、2台の1,200万画素カメラ。iPhone Xでは初めて両者に光学式手ブレ補正が組み込まれた。

iPhone初の2分割バッテリー

L型にすることで、配置に大きく自由度が出ていることがわかる。ロジックボードに十分なスペースを確保できているし、Tapticエンジンやも大型のを配置。

リチウムポリマーのバッテリーユニットを2分割して配置するというのはユニークなアイデアだ。部品配置の自由度を大きく向上させている。

集積されているのでスペースにゆとりがある

右側のシールドされた部分が集積化されたA11 Bionicチップ。左上部に枝状に伸びている部分が各部のさまざまなセンサーやスイッチへの配線に繋がるコネクター。表裏にありフラットケーブルに繋がる。 3重に集積されているので、従来の基板よりコンパクトだが、厚みは少し大きい。iPhone 7と比べてもずっとコンパクト。

横から見ると3重になっていることがわかる。基板は2枚で、そのうちの1枚が両面実装になっている。今後はこの方向に進むのだろうか?

ボディ下部の配置も非常に整理されている

バッテリーから下のスペースも広くなっており、Lightningコネクターの受けと、Tapticエンジン、オーディオエンクロージャーが整然と配置されている。

整理整頓されたおかげでオーディオのエンクロージャーも大きめになっており、スピーカーからの音が良い。

電磁波を抑制するシールド

Lightningコネクターやスピーカーなどの電気部品から発生する不要な電磁波を抑制するためのシールド。

大型のTapticエンジン

各機種を見ているとTapticエンジンのサイズは、スペースのゆとり次第のようだが、本機では大型のものが搭載されている。

iPhone X スペック

ポイント

1.バッテリーL字配置の新設計
2.前面OLEDとFace ID
3.4s以来のステンレスフレーム

スペック

・アルミ削り出し+ガラス
・LTE
・2,436×1,125ピクセル
・OLEDディスプレイ
・64、256GBストレージ
・1,200万画素背面広角/望遠カメラ
・700万画素前面カメラ
・174g
・143.6×70.9×7.7mm

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flick! 編集部

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