Apple Watchの心電図機能(ECG)が、ついに日本で使えるようになる
- 2021年01月25日
心電図アプリの対応機種は、Series 4、5、6
近々、公開されるiOS 14.4とwatchOS 7.3で、日本でもApple Watchの心電図機能が使えるようになるとAppleが発表(リリースはこちら)した。
対応するApple Watchは、Series 4、5、6(SEは含まれないようだ)。
USでは、2018年9月発売のApple Watch Series 4から対応していたので、2年4カ月ほど遅れての対応となる。
Appleはこの機能については、管理用医療機器(家庭用心電計プログラム)および管理医療機器(家庭用心拍数モニタプログラム)として、厚生労働大臣から承認を受けることにこだわった。
承認されることで、Apple Watchから得られた情報を医療機関に提供し診断のデータとしてもらうことができるようになる。この承認がなければ、信頼性のないデータとして、医療に活用することはできない。
おそらくUSで発売当初から使えたのは、水面下で保健福祉省と折衝して仕様を調整したのだろう。日本では、Apple Watchが発売されてから日本で臨床試験などを行わなければならないので、どうしても時間がかかってしまったということなのだろう。一刻も早く使いたかった機能ではあるが、やむを得ない側面もある。
また、同時に、Apple Watch Series 3以降で利用可能になる不規則な心拍の通知機能では、バックグラウンドで心拍リズムを時折チェックし、心房細動(AFib)の徴候がある不規則な心拍リズムを特定した場合、知らせてくれる。心房細動は、放置すると世界で2番目に多い死因である脳卒中に繋がる恐れがある。
日本でも臨床試験が行われ、優れた結果を示した
心電図アプリは、Apple Watch Series 4、5、6の裏ぶたにあるクリスタルと、デジタルクラウンに組み込まれている電極を使って、心電図を記録する。計測するには、心電図アプリを開いて、Apple Watchをしている腕と反対側の指をデジタルクラウンに触れると計測できる。30秒後、心拍リズムは心房細動、洞調律、低心拍数、高心拍数、判定不能のいずれかに分類する。これらのデータはヘルスケアアプリケーションに保存され、結果のPDFは医師と共有できる。
Apple Watchの心電図アプリケーションは、約600人が参加した臨床試験で検証された。心房細動の分類で98.3%の感度を示し、洞調律の分類で99.6%の特異度を示したという。また、この研究では、心電図アプリケーションによる分類可能な記録は全体の87.8%だったという。
Apple Watchのヘルスケアへの大きな貢献
Apple Watchは、我々の日常のアクティビティを計測し、さまざまなデータを提供してくれる。
筆者も在宅勤務の日々でもApple Watchのデータを参照にしながら、1万歩/日は歩くようにしているし、その他にもiPhoneのヘルスケアアプリケーションを見ると、睡眠時間、アクティビティやワークアウト、心拍数、手洗い時間、歩行速度や、歩行の対称性、歩幅、心拍変動や、安静時の心拍数……などさまざまなデータが取得され、日々の健康増進に役立てることができる。
Apple Watch Series 6では血中酸度ウェルネスを計測することができる。この機能は、厚労相の承認を受けていないので、医療、診断には使えないとされているが、血中の酸素の濃度がだいたいでも分かるということは……たぶん、役に立つシチュエーションがあるはずだ(Appleもこれ以上は述べていないんで、私もこれ以上は述べない)。ちなみに、私は今計測してみたら100%だった。というぐらい簡単に、いつでも計測できる。
それに加えて、今回心電図機能が日本でもローンチされた。しかも、ちゃんと厚労省の承認も取って。これはApple Watchのヘルスケア機能としては大きな前進だと思う。
もちろん、人はいつかは死ぬ。しかし、心筋梗塞や、脳梗塞などの血管系の病気は、血液の状態は、心臓の状態をモニタリングしていれば、回避できる可能性の高い病気ではある。頻繁に検査していても、発見された時には手遅れだったり、治療しようがなかったりするガンなどとはそこが違うところだ。
極力、健康で長生きするためには、身体のコンディションをしっかりモニタリングして、必要に応じて生活を改善したり、治療を受けたりする必要がある。Apple Watchは、そのために非常に重要なデバイスになりつつあると思う。
(村上タクタ)
SHARE
PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。