元Facebook日本代表が売るクラフトビール『CRAFT X』、7種類目は『日向夏IPL』
- 2021年03月19日
日本ブランドを、マーケティングする手本
日本には、数々の素晴らしい産業、製品がある。
しかし、かならずしも現在の市場にフィットしていない、上手く売れていないという製品は数多くある。
「ネットを活用しないとね!」と言うのは簡単だが、ECサイトを作り、SNSに連投したら売れるというものではない。
市場動向を読み、上手に商品の魅力を表現し、ブランディングを行い、効果的な発表、SNSでもマーケティング、そしてそのフィードバックを反映させていかないと、確実な成功には辿り着けない(まぐれ当たりはあるかもしれないけれど)。魑魅魍魎が跋扈するネットの世界で、成功するには、精緻な戦術が不可欠なのだ。
そういう意味で、注目すべきなのが、Facebookの日本での事業を現在の成功に導いた長谷川晋さんが取り組むMOON-Xの事業だ。
MOON-Xは創業わずか半年で、日本の著名ブルワリーとコラボレーションしたサブスクリプション型クラフトビールのブランド『CRAFT X』、女性とまったく違う脂質過多、乾燥という男性の肌の性質に合わせて開発された男性用スキンケア『SKIN X』、科学的効果からアプローチした女性向けのスキンケア『BITOKA』の3ブランドを展開。特にクラフトビールは、ユーザーフィードバックを受け、7種類を展開するに至っている。
『地ビールブームの失敗』とは?
IPAを中心としたクラフトビールの世界には多くのプレイヤーが参画しており、MOON-Xが作ったカオスマップはご覧の通り。まさにクラフトビール戦国時代とも言うべき、状態になっている。
一方、ビール関係者には、おおいに盛り上がりつつも、急激に引き潮を迎えた’90年代の『地ビールブーム』の苦い思い出がある(ビールだけに苦い……)。
’94年の規制緩和をきっかけに地ビールブームは訪れたわけだが、『地域おこし』や、バブル末期の『多角経営化』として立ち上がったブランドが多く、製造がつたなく味が安定しなかったり、単なる村おこしレベルの打ち上げ花火になり、『高くて、美味しくないものもある』という状態になりブームは去っていった。
それゆえに、クラフトビールにおいては『美味しさ』を安定提供することは不可欠だし、『地場で作った』以上の価値提供が必要とされるのだ。
初夏のおうち時間にピッタリのちょっとリッチなクラフトビール
とりわけ、大きなテーマとなってくるのが、コロナ禍による在宅時間の増大だ。
在宅勤務の人も増えたし、そうでなくても、平日終業後に飲みに行くこともできなければ、休日の外出もままならなない。であれば、せめて自宅で豊かな時間を……ということだ。
オンライン飲み会や、自宅でさまざまな料理を作ってじっくりと飲むには、『ちょっとリッチなクラフトビール』はぴったりだ。ウェブ経由で購入することもできるし、サブスクリプションで日々家に届くようにもできる。
さわやかな飲み口のIPLに、日向夏のフレーバーをプラス
今回の新製品は、常陸野ネストビールで作られた、CLYSTAL IPA(3バージョン)やHAZY MOON IPA(2バージョン)と異なり、宮崎ひでじビールで作られる『HYUGANATU IPL』。
宮崎ひでじビールは、宮崎県北部、行縢山(むかばきやま)のふもとで、上質な天然水と、フレッシュな自家培養酵母を使ったビールを作るブルワーリー。
HYUGANATU IPLは、「緑の里りょうくん」で作られた特別な日向夏を使って作られる。日向夏のさわやかな酸味を活かすために、全2作のようなIPAではなく、飲み口さわやかなラガーとして作られている。
芳醇で豊かな飲み心地のIPAに対して、これからの季節、すっきりとして飲みやすいIPLも魅力的だ。そこに、日向夏を組み合わせたアイデアが素晴らしい。
実際に、試供品をいただいたが、次第に暖かくなる春から、汗ばむ季節にいたるまで、休日の自宅の昼間にピッタリフィットした飲み心地だといえる。単に飲みやすくライトなラガーは数多いかもしれないが、クラフトビールならではく、複雑な味わいで、かつこれからの季節にフィットしたさわやかさを兼ね備えているところが素晴らしい。
発表会は、ご覧のようにオンラインだったが、そこはインターネットビジネスに慣れた長谷川晋さんのチームだけあって、そつなくオンラインでのイベントを盛り上げていた(ちなみに、試供品は『情報解禁まで秘密』の注意書き付きで送られてきたので、それを冷やして発表会を待つ段取りだった)。
自分たちのビジネス、地元の産業をいかにしてネットでマーケティングしていくか? まずは、HYUGANATU IPLを飲みながら、考えてみてはいかだろうか?
CRAFT X
https://www.craft-x-beer.com/
(村上タクタ)
(最新刊)
flick! digital 2021年3月号 Vol.113
https://funq.jp/flick/magazines/20158/
デジタル超整理術 リモートワーク編
https://funq.jp/flick/magazines/20164/
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。