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日本企業が食のスタートアップ支援『Food Tech Studio – Bites! 』早くも先行事例発表

食の未来は、我々の未来

『フードテック』と聞いて、何をイメージされるだろうか?

自動調理器? それとも、合成肉? 昆虫食? ……もちろん、それらもあるが、我々70億の人類が生きて行くためには、絶対に日々食事をする必要があり、その日々の営みの広い範囲の事柄にフードテックは影響する。

70億の人類が、現在の先進国の人間のように肉を食べるには、穀物、牧草を育てる土地が地球上にはもはや足りないし、海洋資源も足りず、健康に生きるためにはさまざまな工夫が必要だし、フードロスの問題もあるし、食べたあとの廃棄物の問題もある。決済や、輸送やパッケージングもフードテックで解決できる問題だ。つまりは、ありとあらゆる面で、改善の余地があり、テクノロジーが関与する余地がある。ワールドワイドで考えれば、700兆円の巨大市場だと言われている。

これから起きる700兆円の新産業『フードテック』。植物肉、キッチンOS、中食の変化…

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2020年07月29日

日本はフードテックの分野でも立ち遅れている。しかし、カップラーメン、冷凍食品などを生み出した日本は ’70年代にはフードテック先進国だった。

日本とシリコンバレーを結ぶ、ベンチャーキャピタルであるScrum Ventures(スクラムベンチャーズ)が立ち上げた『Food Tech Studio – Bites!』は、そんな現在は大企業になった往年の食のベンチャー企業が資金などを拠出し、最新のフードテックにチャレンジするベンチャー企業を育てるプログラム。

日本企業等が食のスタートアップ支援! Food Tech Studio – Bites! が始まった!

日本企業等が食のスタートアップ支援! Food Tech Studio – Bites! が始まった!

2020年10月05日

昨年9月にFood Tech Studio – Bites!の立ち上げが行われたが、半年が経ったこの4月、早くもフェーズ1の先行事例発表会が行われた。場所は、先日JR東日本が立ち上げたばかりの、フードテックの拠点、新たなコミュニティスペース『キムチ,ドリアン,カルダモン,,,』。

『キムチ,ドリアン,カルダモン,,,』JR東日本が新大久保で唱えるフードテック謎の呪文

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2021年03月26日

参画企業は、日清、ニチレイ、伊藤園など18社と、加賀市、神戸市、新潟市などの3自治体。それらの企業が10回ものパートナーミーティングを行った。

参画したスタートアップは、18カ国から85社。行われたマッチングは210回。

世界から集まったメンターは総勢30人。そしてパートナー企業対象のスタディセッションは延べ5回行われた。

参画した日本の大企業にとっては驚きだったようだが、立ち上げてわずか半年でこれだけのことが行われる速さが、やはり西海岸流のスタートアップのスピード感なのだ。

参画している企業は以下の図の通り。上記の他に、さらにアカデミックパートナーとして辻調理師専門学校、ビジネスデザインパートナーとして博報堂、戦略立案パートナーとしてシグマクシス、リソースパートナーとして日立、三菱ケミカル、JR東日本、オレンジページ、東京建物などが関わっている。

多種多様な参画スタートアップが、すでに走り出している!

さて、今回2時間に渡って、この半年の報告が行われたが、その中から、いくつかのスタートアップをご紹介しよう。

IXON Food Technorlogy:真空無菌包装

2017年に香港で創業した企業で、60〜80度の穏やかな温度で食品を滅菌できる高度な真空無菌包装(ASAP)という技術を持つ。生鮮食品を、腐敗の心配なく常温で保存、輸送できるのが特徴。レトルトや缶詰めに比べて、味、食感、栄養面などにおいて、従来の調理された食事に匹敵する、すぐ食べられる食事の製造が可能になるという。

Yo-Kai Express Inc:45秒で調理できるミニラーメンストア

2016年にサンフランシスコで創業した、ラーメン自動販売機のスタートアップ。

ラーメンの自動販売というと、日本人にとっては古くからあるドライブインのものを思い出すが、ラーメンブームのカリフォルニアでYo-Kaiエクスプレスが提供するのは、新方式の調理によって、本物のラーメン店のようなラーメンを提供するというもの。

USでは、飲食店までの距離が遠い場合が多いので、企業のコミュニティスペースに設置されることが多いという。ちなみにアメリカでの一杯の値段は12ドル。

3分で調理する家庭用タイプも開発中。こちらを試食させてもらった。

カップの内側は開発中ということで撮影禁止だったが、調理器にかけるまで素材は冷凍保存される。下部に電磁調理器、上部からはパイプを差し込んでスチームによって調理する仕組みのようだ。

たしかに麺の食感はカップ麺のものとは違い、ラーメン屋で食べるもののようなしっかりとした歯ごたえ。スープも美味しい。

美味しくてリーズナブルなラーメン屋がたくさんある日本で成功するかどうかは未知数だと思うが(USでは、ラーメンは20ドルぐらいするから12ドルは順当だとは思うが、日本ではもっと値下げしなければならないだろう)、コロナ禍の状況下では、人の手を介さずにラーメンを提供できるというこのシステムは、一定のニーズがあるように思う。

AlgaleX(旧MoBiol)微細藻類を用いた食品残渣価値化技術

これは非常に興味深い技術。東南アジアのパーム工場などの排出する油脂成分は河川の汚染やメタンガスの発生など大きな環境負担を引き起こしている。そんなパーム油を微細藻類を持って分解する。分解するばかりか、そこからDHAなど有用な成分が取れるらしい。

DHAはご存知のように魚から取れる成分だが、脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにすると言われており、今後よりニーズが高まっていくはず。しかし、魚から抽出すると廃棄物が出る。油脂の処分とDHAの産出という、ふたつのメリットを産み出す画期的技術だ。

株式会社Greenspoon:定額制パーソナルスムージー及びスープ

パーソナライズされたスムージーとスープのサブスクリプションサービス。1個の単価が900円と決して安くない価格だが、管理栄養士による独自性あるメニューの開発と、素材がゴロゴロ入った満足感の高い製品で、都市部や単身ビジネスパーソンに対してサービス開始6カ月ですでに13万個を販売したという。

GIFMO:やわらか食(介護食)調理機器

高齢化社会において、特に高齢者と在宅でともに暮らす場合、摂食、嚥下機能が低下した高齢者が食べやすい食事を手間少なく作れる調理器具。家族と見た目は同じながら柔らかい食べ物を介護者の手間少なく作ることができる。

GIFMOの主要出資者は、パナソニックとスクラムベンチャーが共同出資して作ったBeeEdge。

30.Oishi kenko Inc.:健康な食事の支援サービス

2012年にクックパッドに設立されたヘルスケア事業部からスタート、管理栄養士慣習レシピをもとにしたパーソナル食事支援アプリ『おいしい健康』、糖尿病患者の食事療養を目的とした『ごはんカメラfor糖尿病』、健康情態に合わせて社員食堂のメニューを提案する『健康社食』などを事業としている。

いかに、フードテックが重要か?

この他にも数々の事業が発表された。

発表を聞いていて、いかに食に関するスタートアップが重要なのかがよく分かった。

我々は食によって生きているし、食を楽しんでいる。食こそが人生という人もいるだろう。たとえば、世界70億の人の食に関する行動がほんの少し改善するだけで、膨大な影響がある。また、必要とする食は、多種多様であるし、身体の状態などによっても変化していく。食にはまだまだイノベーションが起こる余地があるのだ。

パートナー企業であるフジッコが開発した、大豆を主原料にした米粒状の製品『ダイズライス』を使って、現在K,D,C,,,に出展中の『レストラン・モリウミアス』の松永シェフが開発した『雄勝の海の幸ロカボパエリア』を試食することができた。

正直、パエリアとして調理されている限りは、私には米ではないと分からなかった。大豆でこの触感が出せるなら、炭水化物の摂取量を減らすのに大きく役に立つだろう。

宮城県の雄勝の海の幸がとても濃厚で美味しかった。このメニューはK,D,C,,,3階のフードコートに期間限定で出店中なので、食べてみることができる。ぜひお試しを。

まだまだ始まったばかり

食のスタートアップが世の中に与える変化はまだまだ始まったばかりだ。参画企業も、参画地方自治体も、まだまだ募集中とのことなので、ご興味がある企業や自治体の方は、ぜひスクラムスタジオに連絡してみていただきたい。ここから広がる未来は大きい。

(村上タクタ)

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flick! digital 2021年5月号 Vol.115
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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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