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手書き系デバイスの、ひとつの到達点【クアデルノ】

手書きメモは、デジタルデバイス永遠のテーマ

デジタルガジェット好きにとって、手書き系デバイスというのは永遠のテーマだ。

なんとか、手書きでメモを取りたい……と、僕らはいろんなデバイスを試してきた。なかでもいろいろなデバイスが登場したのが、Boogie Boardのような液晶タイプと、Livescribeのような紙に書いたモノをデジタル化するタイプ。普通に紙に書いてそれをスキャンするようなタイプもあった。

デジタルガジェット好きと、文具好きは近いところにいて、『書く快楽』という意味でいえば、ガラスの上にスタイラスで書くというのはどうも違うという印象を持つ人が多いようだ。

たとえば、万年筆で書く、ざらざらした紙の質感を感じながら鉛筆で書く、木炭で書く、ボールペンで書く……そういう、何百年、何千年と蓄積されてきた『書く快楽』というものを、ガラス×スタイラスは提供できていないのだと思う。

・『引っ掛かり』という質感による、書く快楽
・消費電力の問題で、ずっと点灯させてはおけない

という2点が、iPadのようなガラス×スタイラスタイプの手書きメモの欠点である。

クアデルノはこれら、手書きメモデバイスの現時点での到達点といってもいいデバイスだと思う。実際にお借りして試してみた。

富士通クライアントコンピューティング  クアデルノ(QUADERNO(Gen.2))(A5/4万9800円、A4/6万9800円(税込))
https://www.fmworld.net/digital-paper/top.html

『良質な思考時間をあなたに。』というコピーは似合ってる

クアデルノは電子ペーパーで、A5サイズ(FMVDP51)とA4サイズ(FMVDP41)がある。電子書籍で使われていた初期の電子ペーパーは、10年ほど前にはリフレッシュに非常に時間がかかっていたりしたものだが、それが手書きに使える技術になるとは本当に驚きだ。

筆者がお借りして試用したのは、A4サイズのクアデルノ(FMVDP41)だが、本当に薄く(約5.7mm)ひらべったくて、手書きの電子デバイスとしては究極の姿なのではないかと思う。重さも非常に軽いと感じる。スペック上は約368gということだが、大きいから相対的にもっと軽く感じる。

手書きのフィーリングは非常にいい。ペンの太さを変えたりして、いろいろメモをするのはとても快適だ。メニュー画面の操作なども、いわゆるiPadなどの普通のカラー液晶ほどレスポンス良くはないが、電子ペーパーとしては飛躍的進歩といえるだろう。

総じて、ずっと画面を表示したまま考え事をして、 思いついた時に書き込めるのが快適。30分考え事をしてたっていいのだ。これが、iPadなど通常の液晶ディスプレイだと、消費電力を節約するために、途中で画面表示が落ちてしまう(もちろん、落ちないようにも設定はできるが)。

そういう意味では、クアデルノのウェブサイトにある『良質な思考時間をあなたに。』というキャッチフレーズは実によくできている。まさに、クアデルノは手書きしながら、考えるためのデバイスなのだ。

ToDoリストを作る、カレンダーにメモをする。手書きでそういうことをしたい人にはピッタリのデバイスだ。また、パソコンとの連携、スマホとの連携も上々で、パソコンにあるPDF書類を気軽にクアデルノに送って、そこに書き込んで戻す……というようなことも可能だ。

もうちょっと字がうまく見えればいいのに

ちょっと使いにくいポイントを挙げれば、たくさんメモが増えた時に、メニューでザッと一覧表示してファイルを探すのが、やはり表示レスポンスが速くはないので難しい。ファイル名で並ぶ順をコントロールするなど、最近のパソコンやタブレットではあまりしなくなった工夫をする必要があるだろう。

また、これは私が字が下手だからなんだろうが、どうも書いても上手い文字に見えない。ペン先が単に、さまざまな太さの点、円であるよりも、よくできたiPadアプリのように緩い楕円だったり、カリグラフィペンのように斜めの線だったりと、字がうまく見えるような工夫はできないものだろうか?

ハードウェアがよくできているだけに、ファイルの探しやすさや、字がうまく見えないなど、微妙な点をもったいなく感じてしまう。こういうところの魅力を熟成できれば、クアデルノはもっと魅力的になれると思うのだが。

別売りのラミーコラボスタイラスは素晴らしい

文字が上手く見えないといえば、標準装備のペンが細くて軽いというのも原因のひとつである。

今回、別売りのアクセサリーとして用意された、LAMYコラボモデルのスタイラスペンは素晴らしい。適度な重さ、太さ、グリップの良さは、ペン先を落ち着けさせてくれて、非常に書きやすい。今回のクアデルノを買うなら、このLAMYのスタイラスペンは必携だ(6600円(税込))。

第2世代のクアデルノは非常によく出来ていて、電子ペーパーを使った手書きメモデバイスとしてはベストの領域にきている。しかし、多くのメモから見たいメモを探すのに苦労する、字が上手く見えない……などにおいて、残念な部分はある。

電子メモを日常の生活の中に、日々のルーティンに入れて活用するのならアリなアイテムだと思う。iPad が3万円台で買える事を思うと、A5サイズが4万9800円(税込)、A4サイズ6万9800円というお価格は少々高く感じる。

しかし、これは嗜好品であって、手書きメモを日常のワークフローの中に取り入れようというなら、その値段は決して高くはない。ちゃんとその価格に見合った買い物であることは確かだ。

手書きメモ愛好家の方、ぜひ、お試しを。

(村上タクタ)

(最新刊)

flick! digital 2021年8月号 Vol.118
https://peacs.net/magazines-books/flick-824/
デジタル超整理術 リモートワーク編
https://funq.jp/flick/magazines/20164/

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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