BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

iPhone 13のカメラは何が決定的に進化したのか? 機種ごとの違いは?

13の真価は、カメラの進化にある

先の記事に書いたように、iPhone 13は、一見12と同じような外観を持ちながら、実は大幅に進化してる。内部構造的には完全新設計といいってもいい。

iPhone 13シリーズのスイッチやSIMトレーの位置から推測する、内部構造の進化と変化

iPhone 13シリーズのスイッチやSIMトレーの位置から推測する、内部構造の進化と変化

2021年09月24日


その進化は、特にカメラに集約されている。電話として、インターネットデバイスとして、大幅なジャンプをしたわけではない。

カメラしか進化させられなかったのか? それともカメラの進化こそが我々の生活を大きく変化させるのか? アップルがどう考えているかはわからないが、ともかくiPhone 13シリーズの特徴はカメラにある。

SNSへの投稿、動画撮影、家族との写真や動画のやりとり……カメラの高機能化・多機能化は我々の生活をどう変えるのだろうか? それについてはこれから1年、我々のそばにいてくれるiPhone 13シリーズが証明してくれるのだろう。

「僕の持ってるiPhoneだって、1200万画素なんだから変わらない」「こんな機能はすでにAndroid携帯にも搭載されている」という人もいらっしゃるかと思うが、まずはこの記事を最後まで読んでみて、本当にそうなのか考えてみていただきたい。

世界で一番たくさん生産、販売されるカメラ

iPhone 13はほぼすべてのレンズやセンサーが大幅に改善されているが、それでもなお、iPhone 13の画質を支えている一番の功労者は、A15 Bionicチップだろう。

従来のものより高速な6コアのCPU、4コア(Proは5コア)のGPU、そして1秒間に15.8兆回の演算を行うことができるニューラルエンジン、そして新しい画像処理用プロセッサを搭載している。

最近のiPhoneは我々ユーザーが1カットの写真を撮ったと思ってる間に、数枚の写真を撮りその中で最もブレの少ないカットを選び、さらに数枚の写真を撮りハイライト部分の画像、暗所の画像、それぞれに特定の色味を撮った画像を撮影し、それらをすべて活用して1枚の写真を作り上げている。
一眼レフが、すでに敵わなくなってきたな……と思うのは、iPhoneは自分が「何を撮っているのか、認識している」ということだ。

そこに空が写っていれば、空の青が美しく出るようにノイズを除去し、青を鮮やかに。食べ物が写っていれば、美味しそうに見えるように色温度低めに、明るく。人の顔が写っていれば、肌をスムーズに。

写っているものがより人が認識している状態に近く見えるように、A15 Bionicチップが処理をするのだ。

これは決して現実にないものを描き出しているのではない。たとえば、フィルムで撮影するのだって、物体に当った光が、レンズを通って感光するわけだが、感光乳剤の性質によって、どのように反応するかは異なるわけで、ネガカラーであればさらに紙に焼き付ける時に、どのように処理するかによって、仕上がる写真は異なる。

実際の物体を直接目で見た時のの明るさ、暗さ、色鮮やかさ、表面の質感……などを、印画紙やディスプレイはすべて再現できるわけではない。最終的に脳の中に我々はイメージを結像させるわけだが、アップルの写真や動画に関する考え方は、このイメージをできる限り現実のものを見た時のものに近づけるというものだと思う。

従来のカメラでは不可能な、それぞれの人に合わせた露出

たとえば、単に撮像素子の反応としては、明る過ぎる部分と暗過ぎる部分が1枚の写真の中にあったとしたら、別々画像として取得して1枚に合成する。しかも、可能な限り人間の見たようなイメージで……という作業を画像処理としてAシリーズチップが行う。それがiPhoneの写真、動画だというわけだ。

それが顕著に出ているのが、この写真だ。カメラの常識でいえば、上手く写るわけがないド逆光なのだが、すべてが上手く写っている。通常なら、空に露出が合えば、人物はシルエットのように真っ黒になるし、逆に人物に露出を合わせれば空は明る過ぎて真っ白になるハズである。

そればかりか、A15 BionicのスマートHDRは別の問題も解決している。

もし、意図的に人物の露出を操作するとしたら、どの人物を適正露出にするかという問題だ。色の白い人の肌に合わせば、色の黒い人の肌の階調性は失われてしまうし、その逆もそうだ。この写真において、iPhoneはすべての人物の肌色を適正露出で拾い上げ、ひとつの画面として構成している。これは、これまでのカメラでは絶対に成し得なかったことだ。一眼レフなどで写真を撮ってきた人にとっては、この1枚は驚異的なものに見えるはずだ。そして、高度な『頭脳』を持たないカメラには絶対撮影できない画像でもある。

さまざまな画像処理の多くをフロントカメラ(TrueDepthカメラ)でも行えるというのが、レンズと撮像素子の性能だけでなく、A15 Bionicの性能のおかげだという証左でもある。シネマティックモード、フォトグラフスタイル、ドルビービジョンHDR撮影、ポートレートモード、ナイトモード、スマートHDR、Deep Fusionなどの機能はすべてフロントカメラでも使える。

13/13 miniのカメラでさえ、12 Pro Maxのカメラを凌駕する

A15 Bionicチップを搭載しているのだから、今回のiPhone全モデルで、写真のクオリティが飛躍的に向上しているというわけだが、同時にカメラ(つまりレンズと撮像素子)のクオリティもすべてが素晴らしく向上している。

左がiPhone 13、右がiPhone 12だが、ほぼ同じスペースになんとかカメラを配置するために、配置は斜めになっている。出っ張っている部分はわずかに大きくなっており、おかげで同じiPhoneケースが使えないぐらいだから、外見上は大きくなってしまっているのろうが、内部構造的になんとかこのスペースでやりくりするしかなかったのだろう。

最大の特徴は、広角(26mm)に、前回iPhone 12 Pro Maxという一番大きなモデルにしか積んでいなかった1.7μmのセンサーを搭載している。iPhoneで撮影する最に一番使う26mmのレンズ(初代からずっと、iPhoneはこれに近い画角をスタンダードとしている)とセンサーのクオリティを、昨年モデルの最上位機種の性能を最低ラインとして向上させているのだ。これはすごいことだ。

しかも、これもiPhone 12 Pro Maxだけの特典だったセンサーシフト式の光学手ブレ補正も搭載している。従来iPhone 12 Pro Maxだけが撮れたヌルヌルと動く手ブレ補正の効いた動画を、スタンダードモデルであるiPhone 13や13 miniでも撮影できるようになっている。

普通の人が使う、世界で一番普及する普通のカメラが、このクオリティになるのだから、これはすごいことだと思う。

また、13mmの超広角カメラはf2.4とスペック上はiPhone 12シリーズに搭載されたものと同じだが、センサーも刷新され、暗い場所に強くなっているというから、これも多くの人が日常的に撮影するシーンを美しくしてくれるだろう。

13 Pro/Pro Maxのカメラの本当の凄さを理解して欲しい

さて、話が長くなってしまったが、ここからが本題だ。

左が13 Pro、右が12 Pro。13 Proのレンズは13 Pro Maxと同じになったので、特に大きな変化を感じる。

iPhone 13では、13とminiは同じカメラを搭載しており、ProとPro Maxも同じ仕様のカメラを搭載している。12ではProとPro Maxのカメラ仕様が異なったのとは違って、iPhone 13では、13とminiの組と、13 Proと13 Pro Maxの組の2パターンしかない。

12 Pro Maxより大きなユニットを13 Proと13 Pro Maxは積んでいて、特に本体サイズが小さい13 Proにおいては、本体幅の半分を超えるスペースをカメラユニットが占めており、「ちょっと出っ張り過ぎ」と思う人も多いようだ。内部構造的にも、このカメラユニットを搭載するために、iPhone 12 Proとはまったく違う基板/バッテリー配置になっており、アップルの高性能なカメラを搭載することに対する情熱に驚かされる。

超広角、広角、望遠のそれぞれのカメラは、いずれも従来のユニットとも、iPhone 13/miniに搭載されているモノとも異なっており、それが Proの価値を高めている。

超広角レンズにはオートフォーカスが搭載された。明記はされていないが、従来の超広角カメラはパンフォーカスだったようなのだが、13 Pro/Pro Maxのカメラにはフォーカスピクセルが搭載されている。さらに、レンズはf2.4からf1.8へと大きく明るくなっている。

それにより、可能になったのがマクロ撮影だ。

超広角、広角、望遠、のどの画角でiPhoneを構えていても、焦点距離が近くなると自動的に超広角レンズを使ったマクロモードになる(それゆえ、明確にマクロモードに切り替えるスイッチはない)。試してみると12〜3cmぐらいの距離で切り替わるようだ。

一眼レフを使った撮影ではレンズを選ぶのが楽しみだ。標準の画角、超広角の画角、望遠レンズの画角、そしてマクロの画角。超広角レンズといえば2〜30万円するし、長い望遠レンズはもっと高い。マクロレンズも決して安価ではない。それだけコストが必要だった、一眼レフの画角の違いの楽しみを、(疑似的なものもあるとはいえ)ほとんどiPhoneで体験できるようになったのだから驚きだ。

マクロレンズで見るミクロの世界が、iPhoneだけで楽しめるようになったのだ。上のような花や、コンピュータの基板などの機械、食べ物の超ドアップなど、これからはマクロならではの面白い写真を多くの人が楽しめる。

一番iPhoneらしい26mmのレンズが、さらにさらに進化

広角レンズも大きく変わった。

スタンダードの13に対して、画素サイズが1.7→1.9μmとなり、レンズはf1.6→1.5となった。いずれも数字的には小さな違いに見えるが、このクラスになるとこの差が大きい。特に画素サイズは面積なので2乗で効いてくる。一眼レフで、センサーサイズとレンズの明るさを上げるのに、どれほどのコストがかかるかを考えれば、この13 Proの広角レンズの変更の価値がおわかりいただけると思う。

なんだかんだいっても、iPhoneで一番多用するのがこの26mmの広角レンズである。ここをさらに改善した価値は大きい。こんな写真がiPhoneだけで撮れてしまうのである。この複雑な光が当ったシーンを一眼レフで撮ろうとすると、どれほど苦労することか。

また、このユニットもセンサーシフト式の手ブレ補正を備えているので、本当にブレの少ない動画が撮れる。まるでジンバルに乗せたかのようだ。ぜひお試しいただきたい。

77mm望遠の存在が、どれほど素晴らしいか!

さらに、Proのユニットの価値を高めているのが77mmの望遠レンズだ。

26mmをスタンダードとすると、12 Proに搭載されていた52mmが2倍、12 Pro Maxに搭載されていた65mmが2.5倍、13 Proと13 Pro Maxに搭載されている77mmは3倍という勘定になる。

52mmという、いわゆる一般的に標準と呼ばれる画角がなくなったのは寂しいが、実際に使ってみると26mmの広角から、×3のボタンをタップしてグッとと画像が近づくと、その効果の大きさに驚く。

画角的にはまさにポートレートなどに使われるレンズだし、ポートレートモードの疑似的なボケではなく、レンズによる本当のボケが大きく現れる。

ポートレートモードは前ボケは再現しないが、実際のレンズの効果で発生するボケなら、下の写真のように前ボケも起こるので、前ボケを活かした写真表現も可能になる。

77mmのレンズはf2.8だが、一眼レフでいうところの明るい大砲のような望遠レンズがいかに高価かを考えると、このコンパクトなスマートフォンにこの価格で77mmのf2.8レンズが収まっているのはすごいことだと思う。こちらもセンサーシフト式手ブレ補正が搭載されているので、焦点距離が長くなると相対的に大きくなる撮影時のブレも抑えられる。

焦点距離が伸びると単に遠くのものが撮れるというだけでなく、パースが弱くなるので、モノのカタチを正確に撮影できる(逆に広角側だとパースが強くつく)。たとえば、人を撮れば頭身を歪ませずに撮ることができる。そういう意味で、我々のように取材の商品撮影を行うような職種の人間は長めのレンズがあるのは嬉しい。

史上最高のカメラのひとつ

その他にも、これられのレンズにA15 Bionicチップが組み合わさることで、実現する機能は数多い。明るいレンズ、より強力な手ブレ補正によって効果が大きくなるナイトモード、シネマティックモード、フォトグラフスタイル、ProResでの動画撮影、スマートHDR、Deep Fusionなど、撮影に活かせる機能はまだまだある。

iPhone 13のカメラ、特に13 Pro/Pro Maxのカメラは大きい。しかし、その大きさには意味があり、すべての面において従来の12シリーズのカメラを凌駕している。ぜひ、iPhone 13シリーズの性能をひも解いて、活用していただきたい。

iPhone 13 Pro/Pro Maxは、史上最高のカメラのひとつだ。

(村上タクタ)

(最新刊)
flick! digital 2021年10月号 Vol.120
https://peacs.net/magazines-books/flick-906/
デジタル超整理術 リモートワーク編
https://funq.jp/flick/magazines/20164/

SHARE

PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

No more pages to load