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『iPhone 13 Proで映画が撮れる!』6GB/分消費する、超高画質モード『ProRes』とは?

iPhone 13 Proが、iOS 15.1で対応した『ProRes』とは?

iPhone 13 Proの発表会で『プロレベルの映像撮影が可能』と言われていたのは、特にiOS 15.1で『Apple ProRes(プロレズ)』に対応しているからだ。

ProResはプロレベルの映像編集が可能な非常に高画質な画像フォーマットで、非圧縮なものに近いデータを保持しているので、ちょうど写真でいうところのRAW画像のように、あとで色調などの調整を正確に緻密に、大きく行うことができる。画像のデータサイズの圧縮というのは、影響の少ない部分を間引いていくことで行われるが、間引かれた状態のデータで色補正などの加工を行うと、どうしてもその影響が出てしまう。つまり、圧縮比率の高い一般の画像フォーマットでは、画質を低下させずに自由に色補正をを行うことはできないのだ。

それに対してProResは、従来はとても高価なプロ用カメラのみで可能だった、ポストプロダクション業界で使われていた画像フォーマット。プロレベルで必要な高度な編集が可能になる。

ProResには、4444HQを筆頭にさまざまな形式があるが、iPhone 13 Proで可能になったのは422 HQの4K 30fpsの画像撮影。A15 Bionicの高度な画像処理能力によって、ProResの処理がようやっと実現できたというわけだ。

ちなみに、Apple ProRes 422 HQとは422の高データレート版で視覚的には4444と同程度の高い画像品質を保つが4:2:2イメージソース用のロスレスコーデック。10ビットピクセル深度のフルワイドの4:2:2イメージソースをサポートしながらデコードとエンコードを何回も繰り返した後でも、ビデオを視覚的にロスレスに保持することができる。

つまり、何度の加工編集しても画像が劣化していかないということだ。

しかし、データサイズはかなり大きい

iPhone 13 Proで、ProResで撮影するには、設定>カメラ>Apple ProResをオンにする。128GBモデルでは4Kに対応できないという制限があるが、Apple ProResの4K画質だとわずか1分の画像でも約6GBのストレージを消費してしまうから、128GBモデルでProResの4Kを撮影したいというニーズはないだろう。

iPhoneに1TBモデルがあることを不思議がる人もいるが、Apple ProResの4Kで撮影を続けるつもりなら、1TBモデルをフルに使っても2時間半ほどしか撮影できないのだから、納得できるところだろう。

筆者も試しに1920×1080、29.97fpsで1分36秒の動画を撮ってみたが、それでも2.64GBのストレージを必要とした。通常の画像撮影にProResを使うと、あっという間にストレージがなくなってしまう。

つまりは、我々のような一般人が使うコーデックではない。しかし、A15 Bionicという他に類を見ない高い集積度を持つチップセットが、プロレベルの映像撮影にも使えるということは、iPhoneユーザーにとって愉快な事実だと思う。

なぜ、iPhoneに『ProRes』が必要なのか?

1000万円を超えるようなプロ用カメラシステムと異なり、『わずか』10万円台で手に入るiPhoneは『非常に安価である』といえるだろう。

しかも、防塵防水で、衝撃にも使いから、これまでに類を見ない撮影に使うことができる。これまでとまったく違った映像表現が可能になるということだ。

ProResで録った画像を我々が見ても、通常の録画フォーマットとあまり変わりはないように見えるが、これはあとでFinal Cut Proで色調整が可能だというところが非常に重要なポイントなのだ。

デスクトップの上で、切って張って、繋げて、さらに映像作品全体でカラーグレーディングを施して……という作業を繰り返しても、映像の品質が低下しないProResは、iPhoneでプロレベルの映像作品を作るのに必要不可欠な機能なのだ。

おそらく、我々が映画館で観る作品でも、iPhoneで撮ったシーンが使われることが増えていくのだろう。

もし、あなたがたまたま『世紀の瞬間』に立ち合うようなことがあり、他に誰も映像を撮っている人がいなければ、素早く設定を『ProRes』に切り替えて撮影しておけば、その映像がいろんな作品で使われる時に評価される……なんていうこともあるかもしれない。

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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