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電子書籍を終えるに当って、フリック!のルーツの、ルーツの話をしよう

実は何度もピンチはありました

既報の通り、残念ながら電子雑誌版のフリック!は終焉を迎えることになりました。

フリック!12月号Vol.122 発売! そして、『フリック!からのお知らせ』

フリック!12月号Vol.122 発売! そして、『フリック!からのお知らせ』

2021年11月20日

というわけで、こんな機会も少ないでしょうから、11年ほど前、創刊のことの『今だからできる話』を少ししてみましょう。

表向きに公開している話で言うと『iPadの発売に刺激を受けて』とか、『エイ出版社として電子雑誌というものの可能性を感じて』創刊した……ということになっているけれども、その前にもう少し事情があります。まぁ、有料記事というカタチで、フリック!の熱心な読者でいてくれるみなさんにだけ、そんな昔話を。

遡るカタチでいくと、フリック!は、Vol.08を最後に紙の本をやめて電子雑誌オンリーになっているんですね。その時に、実は一度休刊になりそうになっている。そして、なんとか電子雑誌として続けていくことで命脈を繋いだわけです。

We’ll be back soon!
http://blog.sideriver.com/flick/2012/05/well-be-back-soon.html

時は、2012年5月。

ちょっと厳密に語り出すと前後の時間関係はもう覚えていないのですが、元もと僕は、RCエアワールドというラジコン飛行機の本を作っていて、でも編集部として事業を拡大しないといけないということでコーラルフィッシュという海水魚の本を作り始めるんですね。それが2004年ごろの話。

(これは当時のわが家の水槽です)

で、拡大するはずだったのに、「村上は海水魚の本ばかりに時間を使って、RCエアワールドを我々に任せ切りじゃないか」というクレームが編集部員からついて、僕自身はコーラルフィッシュを作るために、編集部から放逐されるんですね(笑)

で、別のスタッフとコーラルフィッシュを作っていたのですが、その中でフリック!が生れる。さらに、RCエアワールドの編集長も出戻りのようなカタチで引き受けることになって、一時期、3誌の編集長をしていたわけです。

フリック!と、RCエアワールドと、コーラルフィッシュと

しかしながら、RCエアワールドは、ラジコン飛行機業界というものがどんどん先細っていたし、広告収入は減っていくし(大手ラジコン飛行機メーカーがどんどん減っていた)、読者も高齢化が進んでいて減っていくし(いわゆる、アルコール燃料で飛ぶゼロ戦のラジコンを愛好する人が昔はいっぱいいたのです)、ということで立ちいかなくなっていく。

さらに、順調だったコーラルフィッシュも、東日本大震災で突然窮地に陥る。コーラルフィッシュは海水魚とサンゴを飼うための本だったので、地震で水がこぼれる、停電でシステムが止まるというのが非常に致命的だったのです。考えても見て下さい。わが家の水槽で言っても300リットルぐらいの海水が水槽に入っていたので、その1/3がこぼれても100リットル。マンションの一室で海水魚を飼うのがいかに危険なことか思い知るわけです。さらに停電で水槽のシステムが止まると、私レベルでも何十万円、マニアの方だと数百万円分のサンゴと魚と、そしてそれまでの苦労が無駄になるわけです。

(当時の編集部の光景です)

不安になって、多くの人が、水槽に対する追加投資をやめたから、てきめんに海水魚ショップなどの景気が悪くなる。そして、雑誌に広告を出稿いただけなくなり、コーラルフィッシュはあえなく休刊……というわけです。

フリック!が電子版だけになったいきさつ

そんな中、フリック!をどうするか? ということになるワケですが、一時は休刊……ということになりますが、最後のVol.08は売れたし、とことんまでコストを下げて、電子書籍として継続してみるか……ということになるわけです。

それが、2012年5月のお話。これさえも、もはや9年前です。

フリック!復活です!
http://blog.sideriver.com/flick/2012/05/post-4546.html

雑誌を作るのに一番大きなコストは印刷代です。これがなくなれば、とても大きなコスト削減になる。

さらに、前述のように、RCエアワールドやコーラルフィッシュもピンチに陥るわけですから、エイ出版社という出版社全体として、今後同じようなことはいろんな本で発生するわけです。となると、電子書籍という可能性を探っておくべきだと。

ご存知のように、2010年にiPadが発売され(フリック!創刊の年です)、電子書籍、電子雑誌というものの可能性に大きな注目が集まっていました。反面、当時まだSNSも勃興期だし、電子雑誌を作ったけれども驚くほど売れない……ということもあったわけです。

Zinioが日本に上陸し、アップルのNewsstandが始まり、Sony Readerや、マガストアがスタートし、marie claireやNewtonがタップすると動く動画を埋め込んだりして、『電子雑誌』に新しい時代がやってきそうでした。

反面、まだiPadを持っている人なんて非常に少ないわけですから、外での話の華々しさに比べて、驚くほど電子雑誌からの売上げは少ないという状態が続きました。その結果、5年ほどの期間を経て、電子雑誌ベンダーは撤退するところも増えるわけです(こちらは、小説は軌道になり、コミックスが大成功、雑誌は微妙……という流れになりますが、長くなるので別の機会に)。

フリック!のルーツのルーツ……とは

さて、話は長くなりましたが、そんなわけで、創刊の頃には『売上げを上げるために、いろんなチャレンジを!』という流れだったのですが、Vol.07〜08の頃には『コストを抑えなきゃ!』っていうムーブメントだったわけです。本自体の売れる売れないもありますが、会社全体、時には社会全体の波にも左右されるワケです。

フリック!創刊は2010年8月ですが、実はそのルーツという流れは、もっともっと昔からありました。

ここで、一気に話は、2004年ごろに戻ります。

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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