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「狭い場所からでも、世界に発信できる」——中山晃子【Macで、力を解き放つ・インタビュー】

クリエイティブの世界に飛び込もうとする若者を応援するMacの新CMが17日からオンエアされている。

イラストレーター、作曲家、CGアーティスト、デザイナー、カメラマン……さまざまな若きクリエイターたちが自分の部屋で、Macを使ってクリエイティブに取り組んでいる様子が次々と流れる。

そのCMに登場してしている、画家の中山晃子さんに話を聞いた。

流れ、揺らめき、混じりあう顔料の美しさ

水たまりに広がる虹色の油の模様や、混じっていく絵の具の美しさに心惹かれたことはないだろうか?

中山さんは、そうした顔料やメディウム、さまざまな流体の色彩と境界面がうごめく姿を動画として撮影して作品にするアーティスト。動画は編集された完成品だけでなく、ライブパフォーマンスとしても公開され、音楽、歌、演劇、舞踊などともコラボレーションしたりもする。MVやCM、舞台などで発表されており、最近ではTokyo 2020オリンピック閉会式にも出演された。

中山晃子さんは動画の編集、ライブ中継のハンドリングなどにMacを使う。

Macとの出会いはどんなものだったのだろうか?

「東京造形大学の油絵科の学生だった時にMacに出会いました。最初に買ったMacは白くて、少し角の丸い感じのMacBookでした。Macを選んだ理由にはいくつかあるのですが、『直感的に使える』というところが大きかったと思います。単純にカッコ良かった……というのもありますが」

現在、お使いのMacについてお教え下さい。

「今は、昨秋発売されたばかりの最新のM1 Pro搭載のMacBook Pro 14インチを使っています。MacBook Proを開いたら、そこが私のメインの仕事場ですね。AdobeのPremiereとPhotoshopの間を行ったり来たりしながら、映像にさまざまな加工を施します。以前だと、データの処理の待ち時間……というのがあり、それはそれで一区切りついたり、その間に考え事をしたりする時間だったのですが、M1 Pro搭載のMacBook Proを使うようになってから、処理があっという間に終わってしまうようになりました。考えごとをする時間は減りましたが、処理が速ければ、いろいろなパターンを試してみて選ぶことができるので、試行錯誤ができるようになり、これはこれで限られた時間の中でより多くの実験ができるようになりました」

ライブ感があり、生きているようなアートだから『Alive Painting』

中山さんの作品の制作スタイルを教えて下さい。

「作業台に流し台のようなトレーを用意して、その上に一眼レフカメラを下向きに固定して、マクロレンズで流れる液体を撮影するのが基本です。映像の出力をMacに繋いで、映像を取り込んで編集したり、そこからプロジェクターに繋いでライブを行ったりします。「まるで生きているみたい」という一言をもらったことをきっかけに、『Alive Painting』と呼んでいます」

同じ模様、同じ色合いが現われることはない。その時、その瞬間だけにたまたま現われる模様、色合いが中山さんのクリエイティブの特徴だ。世界各国のクリエイターとオンラインで繋いでセッションを行うこともある。他のクリエイターの音楽、舞踊などに中山さんの作り出す映像が刺激を受け、中山さんの映像が他のクリエイターの創造力を刺激する。もちろん、そんなコミュニケーションを支えるのもMacだ。

「最近、上白石萌音さんのミュージックビデオに参加させてもらったのですが、この時も私が萌音さんの音楽、歌詞、歌声にインスパイアされながら、ライブペイントの形で制作、普段俯瞰で撮影しているAlive Paintingの技法とはまた違い、壁に立て掛けるようにしたキャンパスの上に流して動きを表現しています。いろいろなお仕事ができて楽しいです」

その土地の素材を生かすことで繋がりが生れる

流れる絵の具や顔料にもこだわりがあると言う。

「さまざまな顔料、インク、エアブラシ用のトロッとした絵の具などを使います。最近は、土地の持つ力にも注目しています。『水簸(すいひ)』というのですが、砂などをハンマーで砕いて、水の中に入れて、浮いたゴミを取り除き、沈んだ部分を取り除き、中ぐらいの粒子を選びます。国東半島の芸術祭では、砂浜で現地の方の許可と協力をいただいて砂鉄を取ってライブで使いました。砂鉄が採れることから、刀鍛冶が栄えたという文化があり、それに基づいた伝説がある土地だからという背景を反映したライブになったと思います」

最近は、廃液の処理も作品として行ってらっしゃると聞きました。

「絵の具も自分で作ったりしますし、廃液の処理も最近は心がけています。環境面だけでなく、ろ過すると新たな表情が発見もでき、創作の中で循環できるように心がけています」

クリエイティブに使うのはMacだけですか?

「最近はiPad Proも使います。お絵描きアプリで絵を描いたりも。メモ帳代わりに使ったり、会場の下見に行った時にiPadで写真を撮ってその上に描き込んで展示プランを考えたりします。iPhoneも使います。周囲はアップル製品で統一されていますね(笑)編集はMacBook Proで行うので、そこがメインの仕事場という感じです。スマホで写真を撮ったりもしますが、母屋がMacBook Pro。作業場、秘密基地です」

プロの方がトライ&エラーできる

若いクリエイターにメッセージがあればお願いします。

「Macなどツールの進化で、狭い場所からでも世界に発信できる作業場になるようになりました。学生の時には、プロになったら失敗できないんじゃないかと思ってましたが、プロの方が実験と失敗の繰り返しです。成長するにしたがってトライ&エラーの方が豊かだと気付きました。新しいMacは処理速度がとても速くなって、たくさん実験、試行錯誤ができます」

自宅である古い民家の一室をアトリエに世界に発信をする中山晃子さん。その大きく広がるクリエイティブの翼の一端を支えているのは、MacBook Proのパフォーマンスなのである。

(村上タクタ)

『小さな部屋にこもって
 押し入れの中や、テーブルの片隅でひっそりと
 ベッドの下を隠れ家にして、
 僕たちはここで始まったばかりだ。
 この小さな秘密基地から
 世の中に描き出そう。
 頭の中にあふれるアイデアは
 狭い空間じゃ抑え切れない。
 六畳の部屋を越えて、広がっていく。
 どこまでだっていこう。
 誰よりも速く、誰よりも強く、
 世界を揺さぶるんだ。
 この指先には、無限の力があるから。
 M1チップで、力を解き放つ』

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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