セレブなアウトドア派のためのレクサスLX考察【by 九島辰也】
FUNQ
- 2022年04月22日
注目したいアウトドアを意識した“OFFROAD”
アクティブなアウトドア派にとって、昨年は頼もしいクルマがいくつか登場した。その筆頭は『トヨタ・ランドクルーザー』であろう。発売前から注目度は高く、予約注文が殺到した。そのレビューがネットでも氾濫したのを記憶する。
今回ここで紹介するのはその上級版『レクサスLX』。同じ基本骨格をベースにレクサス流に仕上げられたモデルだ。ご存じのように従来型から人気は高く、北米では多くのセレブリティが愛用している。『レクサスLX』に乗ったハリウッドセレブがパパラッチされた写真を目にした方も多いだろう。
なので、日本でもランクル同様発売前から話題。すでに納車まで4年待ちというから驚く。まぁ、モデルサイクルの長いモデルだからそのくらい問題ないのかもしれない。通常のクルマだったらマイナーチェンジが終わって、フェイスリフトもしちゃってるだろう。
新型の特徴は一言で表現するなら走りの向上だ。レクサスが近年こだわる「スッキリした走り」をこの大きなSUVにも取り入れた。先代のLX570からマイナス200キロという目標が達成されたのもその一つである。重量が軽くなればその分走りは軽快になるからね。よって目に見えるところよりも中身を進化させている。細かい話で恐縮だが、ラダーフレームの素材や溶接方法、アウターパネルのアルミ化でダイエットを成功させた。鉄板より軽いアルミは効果覿面だ。お金はかかるがレクサスブランドであればなおのこそプレミアム度は上がる。
エンジンはこれまでの5.7リッターV8から3.5リッターV6ツインターボへスイッチした。総排気量が小さくなったとともに、エンジンブロック自体小型化したのだから都合がいい。このダウンサイジングもしっかり軽量化に結びついている。それでも最高出力は377psから415psへスープアップされているのは立派。実際に走らせてもそこはまったく不満なし。ターボが低回転から働いてくれるので、細かいアクセルワークができるのは嬉しい。出だしからガバッと踏み込むのではなく、小さい踏み角でスーッと走らせられるのだ。
また、乗り心地の面ではランクルとは異なるレクサスオリジナルのサスペンション制御を取り入れているのがポイント。形式は同じでも味付けが違う。通称ガスバネと言われるのがそれで、レクサスらしい上質な乗り味を提供してくれる。
そんな新型LXで一際注目したいのがアウトドアを意識した“OFFROAD”というグレード。ギラギラ輝くスピンドルグリルやドアハンドル、ウィンドウモールは黒く塗られ迫力を増す。ホイールも18インチのマットグレーに塗られた。流行りだね。言ってしまえば、かなりかっこいい。
走りは名前からわかるようにオフロードに特化した技術が積まれる。なんたってリアとフロントのデフをロックできるのだから鬼に金棒だ。今回のテストドライブではオフロード走行を体験したが、その威力は目に見えて発揮された。勾配のあるぬかるんだ泥道をグイグイと力強く前へ進むのだから頼もしい。これからのキャンプ時期、ゲリラ豪雨で砂利道が滑りやすくなってもこいつなら行けそうな気がする。
ということで、こいつをアクティブなアウトドア派にオススメしたい。セレブな香りを匂わせながら、実はオフロード性能が高いってカッコイイでしょ。ビーチにもいいし、グランピングにもバッチリ。問題は長納期ってことかな。まぁ、こういうのを気長に待つってのもオトナですかね。
九島辰也
モータージャーナリスト兼コラムニスト/日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員/2019-2020日本カーオブザイヤー選考委員/日本ボートオブザイヤー選考委員/(社)日本葉巻協会会員
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長、フリーペーパー「go! gol.(ゴーゴル;パーゴルフ刊)」編集長、アリタリア航空機内誌日本語版「PASSIONE(パッショーネ)」編集長、メンズ誌MADURO(マデュロ)発行人・編集長などを経験する。2021年7月よりロングボード専門誌「NALU(ナルー)」編集長に就任。
モータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、ゴルフ、葉巻、ボートといった分野のコラムなどを執筆。クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。
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