文化都市金沢を異国風に彩る「ハイアット セントリック 金沢」の魅力【by 九島辰也】
FUNQ
- 2022年07月15日
旅行者のライフスタイルに見合った立ち位置が心地よい
コロナ前までヨーロッパを中心に300回くらい異国の地を踏んでいた経験からすると、諸外国と日本の違いの一つにホテルの使い方があると思う。日本におけるホテルはひとつ敷居が高く、ちょっと堅苦しかったりする。そのぶん冠婚葬祭に適しているといえるが、仰々しさがついてまわる感じだ。
その点ヨーロッパではホテルはもっと身近な存在。街中には地元に根付いたスモールホテルがあり、誰もが気軽に使うことができる。夕食前の待ち合わせにシャンパンを一杯だけ飲んだり、寝酒をバーで引っ掛けるようなカジュアルな使い方が遠慮なくできるのだ。金曜日の夜にはバーレストランがクラブのように盛り上がり、夜中の2時3時まで大音量で音楽が鳴り響いたりもする。日本であれをやったら大クレームだろうね。マンハッタンじゃ誰も文句は言わないけど。
もちろん、パリの「リッツカールトン」やモンテカルロの「オテル ド パリ」のような格式高いところもある。これらのホテルは正直ちょっと入りにくいが、それでもホテルマンの対応はいたってフレンドリー。機内で固まった身体を動かすために散歩コースを尋ねると、「OK、私にお任せください」と3つのコースを地図に書き込んでくれるとともに、「帰り道はここのカフェで休憩を」なんてサジェスチョンをいただいた。それだけでなんかワクワクするね。
それはともかく、日本でもそんな雰囲気を思い出させてくれるホテルに出会った。「ハイアット セントリック 金沢」だ。場所は金沢駅の海側で駅から直結している。が、喧騒はなく、街は落ち着いている。広いタクシー&バス乗り場、それと大きなモニュメントは、ヨーロピアンテイスト。ベルリン、ウィーン、ストックホルムといった街を思い出した……。
ロビーは3階で、エレベーターで上がる。直立したベルマンがいるわけでもなく、大掛かりなレセプションカウンターがあるわけでもない。若いスタッフがカジュアルに声をかけてくれ、カウンター越しではない身近な立ち位置でチェックインの作業を手際よく進めてくれる。
館内はコンテンポラリーアートと文化都市金沢の調度品がディスプレイされ、絶妙にマッチしている。アート作品は100点以上あるそうだ。この辺も少し異国情緒あり。そこはアジアンテイストってことで。
料飲施設はロビー階のオールデイダイニング「FIVE – Grill & Lounge」と最上階の「RoofTerrace Bar」。通常のハイアットの規模ではなく、セントリックはスモールホテルなので、これで十分となる。自分のペースで必要な時に必要なモノを口にすればいい。自分本位のカジュアルで気持ちのいい時間が過ごせそうだ。そういえば、館内の照明の暗さも気に入った要素のひとつ。この薄明かり加減がヨーロッパのホテルに通じる。
客室は全部で253室。スイートルームもしっかり用意され、フィットネスジムもある。
いずれにせよ、「ハイアット セントリック 金沢」は旅行者のライフスタイルに見合った立ち位置で我々を迎え入れてくれる。我々サイドが自然体でいられる空間だ。金沢っていう文化度の高い土地がそうさせるのだろうか。東京から北陸新幹線で3時間。「ハイアット セントリック 金沢」を起点に北陸の旅を堪能するなんてワルくないんじゃない!
九島辰也
モータージャーナリスト兼コラムニスト/日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員/2019-2020日本カーオブザイヤー選考委員/日本ボートオブザイヤー選考委員/(社)日本葉巻協会会員
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV/ヨーロピアンSUV&WAGON(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長、フリーペーパー「go! gol.(ゴーゴル:パーゴルフ刊)」編集長、アリタリア航空機内誌日本語版「PASSIONE(パッショーネ)」編集長、メンズ誌MADURO(マデュロ)発行人・編集長などを経験する。2021年7月よりロングボード専門誌「NALU(ナルー)」編集長に就任。
モータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、ゴルフ、葉巻、ボートといった分野のコラムなどを執筆。クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。
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