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京都暮らしプラス・ワン ♯03 株式会社チームキットジャパン 代表取締役/KATO’ デザイナー 加藤 博さん

食、器、服、アート、そしてサブカルチャーまで、良質なプロダクトや文化が生まれ、集まる京都。
そんな京都のエッセンスを暮らしにプラスすることで、毎日はもっと豊かになる。
様々な分野で活躍する京都の人々に、自分の“プラスワン”をお聞きします。

♯03
株式会社チームキットジャパン
代表取締役/KATO’ デザイナー
加藤 博さん

緻密で洗練されたデザイン、使い込むほど愛着が増す手触りや質感。京都で生み出されたものには、共通してそんな魅力があります。同じようなものが気軽に、手頃な価格で手に入ったとしても「京都ブランド」を求める人がいるのは、まさにそこに魅了されているから。加藤博さんが立ち上げたデニムブランド「KATO’」も、国内外問わずファンが多い京都ブランドの一つです。

実はNY生まれの「KATO’」

デザイナーとしてファッション業界で活躍していた加藤さんが独立したのは1994年。最初にアトリエを構えたのは、世界遺産・下鴨神社のすぐそばでした。

「私自身は、二条城のそばで生まれ育ちました。京都ではどちらかというと街中ですが、たまたま縁があって下鴨エリアに。セレクトショップも併設していましたが、そちらは他の人に任せ、日本のデニムをアメリカへ輸出したり、NYのセレクトショップのオリジナルデニムを作ったりと、海外の仕事が多かったですね」

そのうちに、加藤さんが手がけるデニムを見たイタリアやアメリカのファッション関係者から「なぜ自分のブランドを作らないのか」と言われるようになったそう。ジーンズに関する豊富な知識と経験はあったものの、それまで自分のブランドを持つことに興味がなかった加藤さんですが、そんな声に応えてNYで自身のブランドを立ち上げました。ブランド名は、アメリカの友人の提案で、シンプルに名前をそのまま大文字で。「ええ〜? と思ったんですが、日本で販売するつもりがなかったから、まあいいか、って」と加藤さんは笑います。かくしてKATO’が誕生。1999年のことです。

糸からこだわったデニムブランドは海を越え日本へ

綿花の中でも上質で希少なジンバブエコットンを使うKATO’ のデニム。生地の原料となるコットンは、アフリカ南部・ジンバブエの高地で栽培されているので害虫がつきにくく、農薬をあまり使う必要がないそう。

「人の手でフワッとしているところだけ摘んでいるので、余計なものが紛れ込まず、繊維長が長くて丈夫、なのに安い、という上質のコットンになりました。当時アメリカでは、アメリカ産の繊維長が短いコットンと混ぜて使われていましたが、日本の小さな紡績会社さんがジンバブエのコットンだけで糸を作っているのを知り、それを使うことにしました。そうしたら評判がよく、原産はどこだと頻繁に聞かれるので、すでに違う商品名はあったんですが、産地名をそのまま付けて『ジンバブエコットン』と呼ぶようにしました。すると有名になって価格も上がってしまい、関係者には悪いことをしましたね(笑)」

今でこそデニム生地として定評があるジンバブエコットン。その良さを広めたのがKATO’ だったのです。

生産は、今や「ジャパンデニムの中心地」とされる岡山県児島で。それまでアメリカで親しまれていたジーンズとは異なる風合い、履き込むほどに深みが出て、肌に馴染むKATO’のデニムは『NYタイムズ』など有名誌で紹介され、日本のセレクトショップにも置かれるように。まだデニムパンツ自体がメジャーではなく、新品で扱うブランドが日本にそんなになかった頃の話です。

夫婦でお気に入りの器を見つける楽しみ

加藤さんが代表を務める株式会社チームキットジャパンが発信するレディースブランド・GRANDMA MAMA DAUGHTER(グランママドーター )。デザイナーは、加藤さんの妻・宇和川恵美子さんです。「祖母から母へ、母から娘へ、代々受け継がれるような服」をコンセプトに、シンプルでありながら流行をとらえたデザイン、上質な素材と丁寧な縫製で、コンセプト通り長く愛用できると人気です。

夫婦共通の楽しみも、ブランドコンセプトと同じく、代々受け継がれながら愛されている器を探しに、夫婦揃って骨董市に足を運び、お気に入りを見つけることなのだそう。

経年変化し使い込むほど馴染むものが好き

「わが家の食器は、東寺や北野天満宮の骨董市で手に入れたものが多いです。決して上等なものばかりではなく、アンティークショップの軒先に売られているようなものや、いびつなものなんかも、気に入れば連れて帰ります。柄が揃っていなかったり、実は京都で生まれたものでないものもあったりしますが、海外から京都を求めていらっしゃった方に見ていただくと、とても喜んでいただけるんです」
京都の老舗漆器店「象彦」のシンプルな漆器皿は、漆の艶と、朱色と黒の控えめなコントラストが美しい、存在感のある一品。

「最初はほとんど黒に見えていたんですが、5年ほど使っているうちに朱色が出てきて、色合いがはっきりしてきました。侘び寂びを感じますし、微妙な違いで魅せるという部分がいいですね。僕らのデニムも経過年数で味わいが出てくる。京都のものは経年変化するものが多いし、使っているうちに馴染んでくる、そんな飽きのこないものが好きなんです」

自宅とアトリエをつなぐ鴨川から季節を感じて

自宅からアトリエをつなぐ鴨川沿いの遊歩道が、加藤さんの通勤コース。

「最近は自宅で仕事することも増えましたが、アトリエまで徒歩10分くらいで、ちょうどいい距離。春には桜のトンネルが綺麗なんですよ。最近は穴場でもないかも知れないけれど、中心地に比べると、まだゆったりとしたエリアで過ごしやすい。近場に美味しいお店もありますしね」

そう言って微笑む加藤さん夫妻を見ていると、京都で積み重ねた時間や経験が、豊かな変化を与えてくれるものだと感じます。まるでそれは、加藤さんのデニムや京都の名品のように。

株式会社チームキットジャパン
代表取締役/KATO’ デザイナー/加藤 博さん

KATO’ HP
https://kato-aaa.jp

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Kyoto in Tokyo

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東京近郊で楽しめる京都の食や文化を発信中。“もっと京都が好きになる”バラエティ豊かなコンテンツをお届けします。

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