世界の優れた銘品。M-65フィールドジャケットの歴史を辿る

世の中のハイファッションからストリートブランドまで、多大なる影響を与えたミリタリーウエアであるM-65フィールドジャケット。誕生から半世紀が経つ今もなお、米軍基地内ではPX品として販売され、個人装備での使用を認められている。その野戦用ジャケットの代表格を紐解いてみる。

布帛モノの野戦服としての高い完成度を持つ。

軽量で保温性に優れた高機能アウターが、世の中には星の数ほど出回っている。だが、それに比べ機能面では遥かに劣るはずなのに、いまだM-65フィールドジャケット(以下M-65)ほど、秋冬の定番アウターとして存在感を失わないウエアは他にないだろう。

20181105_4_02 (上写真)これがM-51フィールドジャケット

その成り立ちは朝鮮戦争で活躍したM-51フィールドジャケット(以下M-51)の後継として開発されることから始まる。M-51で使われていたコットン素材では機能性に限界があり、M-65ではナイロン混紡(もしくはサテン混紡)へと切り替わる。これはナイロンが持つ速乾性と堅牢性の特徴と、コットンの難燃性と吸水性の特徴を兼ね備えた生地に変更することで、従来より強度や機能性の向上が図られた。また防寒性を高めるため立襟へ変更し、従来は別体式であったフードを内蔵できる工夫も施された。そして着心地も進化しており、まず肩裏にアクションプリーツを設けることでジャケットが嵩張ることなく自由度の高い動きが取れるようになった。

そしてウールパイルのライナーからキルティングライナーに変更することで、保温力はそのままに軽量化を図る。その抜群に着やすく、そして従来よりも格段に機能性が進化したM-65は現場の兵士からも人気が高く、そして現場からの機能性に対するフィードバックも多く寄せられ、製造を重ねるごとに細かなアップデートが繰り返されていく。その様々な進化の途中で生まれては消えていったディテールは、ミリタリーファンの間で細分化され、定義化されていく。

M-65に至る過程は、歴戦のフィールドジャケットの積み重ね。

米軍におけるフィールドジャケットという概念は第一次世界大戦の頃からはあったが、第二次世界大戦に参戦するまではほとんど進化をしなかった。ここではM-65の基礎を築いた旧きよきフィールドジャケットたちを紹介しよう。

WWI Tunic Jacket

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カーキ色だが身体の線にぴったりフィットするようなシルエットをみると、やはり制服からの枠を抜け出せていない。軍隊という規律と礼儀を重んじる思想が軍装品に強く表れている。

WWII Mountain Jacket

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背面に大型のポケットを持つマウンテンジャケット。山岳部隊に支給され、重い荷物をポ ケットに収納するため、ライニングにハーネスがデザインされる。

WWII M-38 Field Jacket

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M-41フィールドジャケットの初期型といわれる通称M-38フィールドジャケット。M-41に比べポケットフラップやカフスなど手が込んだ造りとなる。

WWII M-41 Field Jacket

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第二次世界大戦が激化し、戦地の環境変化やジャケットの供給問題などを考慮して、当時民生品のウインドブレーカーの意匠を戦闘服へ転用する形で採用された。

WWII M-42 Jump Uniform

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空挺部隊のために米軍が支給したジャンプユニフォーム。大型ポケットを4つフロントにデザイン。また降下中に衣料がバタ付かないよう、ウエストベルトを装備する。

WWII M-43 Field Jacket

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M-65フィールドジャケットの起源ともいうべきアイテムがM-43フィールドジャケット。 第二次世界大戦中に支給された。細部は荒削りだが、基本的な意匠は受け継がれていく。

試行錯誤の連続から M-65への道筋が見えた

第一次世界大戦頃のフィールド ジャケットはチュニックと呼ばれたユニフォームジャケット。制服と野戦服を兼ねたような意匠で、機能性はあるようでないに等しいものあった。そしてその意匠はほとんど変わることもなく、第二次世界大戦に参戦してからやっとフ ィールドジャケットとしての重要性が高まる。だがひとつの意匠を改修していくような継続性が生まれるのはM-43フィールドジャケットの登場を待たなければならない。でも様々な意匠を採用しては消えるという試行錯誤の連続があったからこそ、M- 65という完成形への道筋が見えたともいえるのだろう。

(出典:『LIGHTNING 2018年11月号 Vol.295』
(エイサイト編集部/千葉泰江)

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