SF映画にハマり、SF映画ファンのためのBARまでオープンした、SF映画グッズ王がいた!

なぜ人は収集するのか。物欲なのか、独占欲なのか。「貴重な文化を後世に遺すためだ」という人もいる。だから彼らのポケットの中を覗くことで、趣味を人生の中心に据えるに至った価値観をあきらかにしよう。

どれもこれも大の大人が手間暇をかけて作ったと断言できる、一生モノのお宝ばかり。ターミネーターにいたっては、自重がありすぎて変形しつつあるというのだから恐れ入る。SF映画に登場した、「観たことがある」アイテムばかりを集めているコレクターを取材した。

リアルで重厚な等身大模型を収集

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初めて観たSF映画を覚えているだろうか。世代により『猿の惑星』だったり、『エイリアン』だったりするが、SF映画グッズコレクター/SF BAR神田fluxオーナーの駒澤敏亘さんの場合、10歳のとき(昭和53年)に公開された『スター・ウォーズ』(現 タイトル・エピソード4)がSF映画原体験だった。

「あの映画は、お伽噺といってもいいぐらい非現実的なストーリーです。でも、ロボットや戦闘機が汚れていたり、凹んでいたり、ある種のリアリティさに衝撃を受けました」

作品が素晴らしいと、その作品の世界に少しでも触れていたいと思うもの。DVDなどを入手し、飽きるまで鑑賞したくなる。ところが、スター・ウォーズが日本で公開された昭和53年当時はDVDどころか、ビデオすらまだなかった。

アニメならセル画を集めることができたが、SF映画の場合、その映画が紹介されている本や雑誌を買うしかなかったというのだ。もしかするとキャラクター人形などのオモチャがあったかもしれない。けれど、オモチャの類には手を出さなかった。

『ライブ・アクション』がすべての始まり

30歳の頃、SF映画で使われた小道具のオークションや、小道具のレプリカを製造販売している業者があることを知った。『ライブ・アクション』という分厚い本がある。オークションに出展される、映画の撮影に使われた小道具を掲載しているカタログだ。オークションに入札したこともあり、送られてくるようになった。

この本やネットでSF映画グッズが売られているのを見て集めまくった。駒澤コレクションは重厚感あふれる、リアルなものばかり。R2-D2、ダース・ベイダーのバストアップ模型、アイアンマンはほぼ原寸大。

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「ターミネーターはこめかみにあるスイッチをいれると目が光り、切るとマシンが壊れたときのようにゆっくりとライトが消えていきます」

このターミネーターも等身大。夜ひとりで見るのが怖いぐらいだ。金属のようだが、硬質プラスチック製。あまりにも重すぎて徐々に変形してきたそうだ。

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「スター・トレック」のエンターライズ号は、350分の1スケール。船体に埋め込まれたライトが光り、飛行音が木霊する。

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スター・ウォーズに登場するストームトルーパーのヘルメットには、複数のサインが書かれていた。「これはストームトルーパーを演じた役者達のサインです。うちのバーに来てくれた俳優がサインをしてくれたんですよ」

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ダース・ベーダ―の模型だが、マスクを外しているのでアナキン・スカイウォーカーと呼ぶべきか。

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「スター・ウォーズ エピソード7」で、フォースの暗黒面に堕ちたカイロ・レン(ハン・ソロの息子)が持っていた、荼毘にふされたダース・ベイダーのヘルメット(レプリカ)。

現実味のある未来を描いた作品が好き

駒澤さんは、「SF BAR神田flux」を平成24年8月にオープンした。仕事仲間が、「気軽に飲める店があると嬉しいなぁ」という話をしたことから、バーを開業することにしたのだ。「せっかくやるのなら、SF映画ファンのための店にしたかったし、散乱していたコレクションをきれいに飾りたいと思い、SF映画をコンセプトにした店にしました」

店を始める前後(40代前半)、これまで以上に収集に励むようになっていった。「いくらでも店に持ってこられるし、スペースがあれば何か置きたくなる。だから、ついまた買っちゃうんですよ(苦笑)」

SFバーが有名になり、SF映画に出演した役者(スーツアクターなど)が来日した際、イベントで来店し、サインをしてくれるようになった。ストームトルーパーのヘルメットにサインがあったのは、そんな経緯からだった。

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駒澤さんが個人的に貰った俳優のサイン入りグッズも並んでいる。たとえば、『ターミネーター2』でT-1000を演じたロバート・パトリックのサイン入りグッズが展示してあった。

SF映画のどこに惹かれるのか。「こんな世界がどこかにあるのでは、と思わせてくれるような現実味があり、かつ知的好奇心と興味を沸かせてくれるところかなあ」。ユートピア的な世界が舞台のSF映画は嫌いだ。「ブレードランナー」のように、暗くて雨が多くて、アンドロイドと殺し合いをしているようなディストピアな未来を描いた作品に惹かれる そうだ。「好きなSF映画を5本あげるならば、スター・ウォーズ、ブレードランナー、バック・トゥ・ザ・フューチャー、アイアンマン、ロボコップですね」

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ロボコップだけが異質な気がしたので、選んだ理由を尋ねた。「人間をロボットにしちゃう残虐な表現が好きなんですよ。サスペンスや人間ドラマも描いたSF映画は、ロボコップが初めてでした」

子どもの頃欲しくても買えなかった反動が、コレクターへの道を歩ませることになった。SF映画好きだった少年は、フォースの導きなのか、F映画グッズ王国を築きつつある。

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【DATA】
●SF BAR神田flux
住所:東京都千代田区内神田3-16-10 B1
TEL:03-3526-3383
営業:17:00~26:00(日曜~24:00) 
休み:月曜
SF映画にちなむカクテルが100種類以上ある

(出典:『Lightning 2019年4月号』
(ライター:千葉泰江)

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