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イームズのシェルチェアの系譜と市場価値が知りたい!

今回は、ミッドセンチュリーを代表するプロダクトデザイナーであるチャールズ&レイ・イームズが考案したハーマンミラー社のシェル&スクープチェアを取り上げる。FRPを使った名作ファニチャーであり、基本的なデザインは変わらないが細部は年代で異なり、奥が深い。

傑作品でみるイームズの歩み。

チャールズ・イームズの転機となったのは、’40年にMoMAが主催した「オーガニックファニチャーコンペ」。数々の名作を輩出したエーロ・サーリネンとともに建築資材であった成型合板を使った椅子や棚などを出品し、見事にグランプリを受賞。イームズのアイコンであるプライウッドを使った初の大量生産品となったのは、意外なことに骨折時に使うギブスであるレッグスプリントであった。米国海軍に採用され、一説によれば15万本以上生産されたそう。

90年代に生産工程で出る揮発性物質の影響で生産が中止になったが、試行錯誤を重ねることで環境問題をクリアし現在は生産を再開

そして家具として初めて量産に至ったのは、ジョージ・ネルソンがデザイン部門の統括を行っていたミシガンのハーマンミラー社。’46年にプライウッドを使った家具の生産をスタート。そして’50年には、強化プラスチックを使ったシェルアームチェアを発表。それまで木製が中心だった家具に新たな風を吹かせ、大成功を収めた。

1941年 レッグスプリント

チャールズ・イームズが手掛けた成型合板のプロダクトで、初の大量生産となったのが、こちらのギブス。米国海軍が採用し、第二次大戦時に投入された。生産数は15万本以上。

1946年 DCW(右)/DCM(左)

成型合板を使ったプライウッドシリーズは、1946年にハーマンミラー社が製品化。こちらはダイニングチェアウッドの略称であるDCW。リビングチェアウッドはLCWとなる。脚がメタル素材になったものは、末尾がMとなる(DCM)。初期はエバンス社が生産していたため、裏にステッカーが張ってある。他にもリビングチェアでメタルの脚が展開されている。

1950年 シェルアームチェア

1950年に強化プラスチックであるFRPを使ったシェルアームチェアをリリース。当初は自社で生産できなかったため、カリフォルニアにあったゼニス社が生産を担当していた。

1951年 ワイヤーチェア

成型合板、強化プラスチックに続いて、イームズ夫妻が開発に尽力したのが、ワイヤーメッシュ。強度と軽さ、手頃な価格を追求した。フレームには二重構造の細径ワイヤー。

1953年 サイドシェルチェア

当初はシェルアームチェアのみの展開であったが、1953年に後の定番となるサイドシェルチェアをリリース。背もたれのカーブした部分が、初期の頃は若干形が異なる。

1956年 ラウンジチェア&オットマン

ミッドセンチュリー期の名作ファニチャーとして知られるイームズラウンジチェア&オットマン。イギリスのクラブチェアにインスピレーションを受け、プライウッドで再構築。

1958年 アルミナムチェア

インディアナ州コロンバスで名立たるモダンデザインの巨匠たちが手掛けた実業家のミラー邸。そこの屋外用チェアとしてイームズ夫妻がデザインしたのが、この椅子である。

第一人者に聞いたヴィンテージイームズの魅力。

’94年に日本で初めてミッドセンチュリーのヴィンテージファニチャーに特化した「ギャラリー1950」をオープンした北さん。自他共に認める世界一のイームズ、ジョージ・ネルソンのスペシャリストである。そんな北さんにイームズの魅力を聞く。

「ギャラリー1950」北修三さん|1964年生まれ。岡山県出身。18歳で上京し、その後、名店アクメファニチャーのスタッフに。バイヤーとして活躍した後に、「ギャラリー1950」をオープン

「成型合板や強化プラスチックを使って、家具に大量生産を取り入れた第一人者ですよね。千個あったら千個ともまったく同じものを作るには、優れたデザインと生産背景が必要不可欠。イームズはもちろん、ハーマンミラー社の多大な設備投資があったからこそ実現できたかと思います。

こちらは北さんの自宅のリビング。ミッドセンチュリーのヴィンテージファニチャーだけで構成されており、ソファコンパクトやLTRなど、イームズが手掛けたものも使用

その魅力は、今も色褪せないデザイン性。実際にこの’50年代を超えたデザイン家具は、今も生まれてない。イームズのシェルチェアに関しては、様々なカラバリやベースの種類、ディテールがありますから、自分の好みを反映しやすいのも魅力。

日本だといいコンディションのものが重宝されるんですが、シェルが焼けて、より一点もの感のある個体も個人的には好きですね。アメリカでも人気が高く、オープン当時と比べるとイームズは2〜3倍に値上がりしてますね」

まるでギャラリーのようにヴィンテージファニチャーが飾られている。どれもしっかりとリペアされているので、コンディションがよく、アフターケアも万全。ショップオリジナルブランドのG1950も気の利いたプロダクツが揃う
1994年にオープンしたイームズやジョージ・ネルソンに特化したヴィンテージファニチャーショップ。今でも北さんが直接アメリカで買い付けている。オリジナルにこだわり、ベースなどレプリカは使わないことを信条としている

【DATA】
Gallery1950
東京都渋谷区恵比寿2-28-7恵比寿メイビル
TEL03-3473-1950
http://www.g1950.com

これだけは知っておきたい脚の種類。

スタッキングベース レア度:★☆☆☆☆

学校や会社などで使われていたスタンダードなベース。その言葉の通り、積み上げることができるので、コンパクトに収納することができる。他モデルとマウントが異なり、スタッキングベース専用のワイドマウントを採用。

H ベース レア度:★☆☆☆☆

1955〜56年頃にXベースの後継として採用されたもっともメジャーなベース。Xベースと比べると強度が増して、軽量化が進んだ。ブラックのものもあり、Xベース同様にラウンジ用の高さも展開していた。

エッフェルベース レア度:★★★★☆

1950年代初頭からリリースされている人気のベース。ワイヤーを使っており、まるでタワーのような造形からエッフェルベースとネーミングされた。1960年代中頃に生産中止になったため、数は少ない。

Xベース レア度:★★★☆☆

最初期のゼニス時代からセカンドのトラクションタグの頃まで使われていたベース。大きなマウントのシェルに付いているが、移行期の初期には小さなマウントでも使用。このラウンジ仕様の高さは激レア。

コントラストベース レア度:★★☆☆☆

主にオフィスなどで使われていたベースで回転するのが特徴。Hベースと比べると数は少ないが、会社などで使われていて生産年数も長かったので、数は豊富。デスクに合わせるならオススメである。

ロッカーベース レア度:★★★★☆

1950年のリリース時から展開されているが、3回ほどマイナーチェンジを行っていて、最初期のものはわずか1年程度。1960年代中頃に生産中止となる。社員に子供が生まれた時にこの脚が贈与されていた。

キャッツクレイドルベース レア度:★★★★☆

こちらもコレクターズアイテムとして知られるベースで、もっとも位置が低い。また細いワイヤーを使っているため、強度がそこまで高くなく、オリジナルでも補修されているものが多い。生産年数も短い。

ドゥエルレッグベース レア度:★★★★★

1950年の発売当時から展開されていたベースであるが、極めて生産年数が少なく、その最大の特徴である木が割れやすいため、もっとも数が少ない。ベースの中ではコレクターズアイテムとして知られる。

ディテールで見分けるイームズの年代判別。

【ポイント1】タグ&刻印を見れば一目瞭然。

もっともわかりやすい年代判別の仕方が、裏面のタグ。初期はハーマンミラー社では生産できなかったため、カリフォルニアにあるゼニスプラスチック社が担当。1980年代以降も作られているが、ヴィンテージという意味では、1970年代頃まで理解しておけば十分。

1950~1953

1950年の発売当時は、自社工場のあるジーランドで設備が整わず、カリフォルニアにあるゼニスプラスチック社が担当し、ステッカーにもネームが表記されている。

1953~1955

通称トランジションタグ。剥がれやすいステッカーなどで残っているものが少ない。大きなマウントで、カリフォルニアで作られていたことが表記される。

1950s Late

1950年代中頃から生産体制が整い、ハーマンミラー社の本社があるミシガン州のジーランドでの生産が始まる。この頃はロゴもなくステッカーのみが貼られている。

1960s Early

それまでシェル自体になにも刻印されていなかったが、この頃よりハーマンミラー社のアイコンのみが入る。このロゴだけのものは生産が数年間のみで数が少ない。

1960s~1970s

ヴィンテージのシェルチェアでもっとも多いのが、このロゴと社名が入ったデザイン。1960年代前半には、このデザインに。シェルの色の種類も一番多い。

【ポイント2】最初期はエッジを見ると判別しやすい。

コレクターズアイテムとなっているゼニスプラスチック社のシェルは、後年のものと比べるとプラスチックの厚みが薄いため、強度を保つために縁にロープ状の補強が施されている。この時代は全6色展開。

1950~1953 ロープ跡あり

この縁にあるロープ状の補強がゼニス時代の一番の特徴。ステッカーが剥がれていても、ここで判別できる。

1953~ ロープ跡なし

トランジションタグのカリフォルニア製になってから、シェルの厚みが増したため、補強用のロープが省略。

【ポイント3】マウント部分の大きさでも判別可能。

シェルチェアには、アームタイプもスクープも共通で、ベースを取り付けるための黒く丸いマウントがある。このマウントで大まかに年代判別が可能。大きなマウントはセカンドのトランジションタグまで使用。

1950~1956

初期のゼニス社からトランジションタグの時代まで使われていたもので、後年と比べると大きい。

1956~

ミシガン州ジーランドに生産が移ってから採用されたマウント。こちらの方が圧倒的に多い。

【ポイント4】グライズの変遷。

床を傷つけず、平行を保つために使われている足元のグライズにも年代によって変化がある。当初ははめ込むタイプもので、次にベースの先に取り付ける形になり、最終はプラスチックとなる。

1950~1955

無垢の鉄を使っているXベースは基本的のこのタイプ。このブーツの他に、もう1タイプグライスがある。

1950s Late

Hベースになってから、パイプ状になったので、内側にはめ込むものに変更。最初期はブーツタイプも存在する。

1950s Late~

上記のセカンドモデルはわずか数年で、1950年代末頃には、プラスチック製のパーツに変更される。

【ポイント5】エッフェルベースの変遷。

右のXベースやHベースのグライズとエッフェルベースのグライズは、仕様が異なる。1950年に登場した時はナットで留めていたが、後に生産効率や強度の問題でアップデートされていく。

1950~1951

初期の2年ほどはこのようにナットで留めているのが大きな特徴。初期の脚だと年代判別しやすいのだ。

1952~1950s Late

脚先の形状が変わり、エンドにそのまま取り付けるタイプに変更される。金属パーツなので高級感がある。

1950s Late~1960s

Hベースと同様にプラスチック製となる。軽くて床も傷つけにくいので、機能面ではかなりアップデート。

【ポイント6】ワイヤーチェアの変遷。

1951年に登場したワイヤーチェアも仕様変更があり、座面を見るだけで年代判別が可能となっている。当初は脚を取り付ける座面のパーツが四角だが、凸状の形に変更され、ネジの向きも変わる。

1951~1952

最初期のワイヤーチェアは、このようにベースを取り付ける部分の形状が四角になっていて、ひと目でわかる。

1952~1950s Late

登場してから数年立つとこのように凸のような形にアップデートされる。ネジの頭が座面にあるのも特徴だ。

1950s Late~

1950年代末頃から、凸の形状は同じだが、ベースを取り付けているネジの頭が後ろになるので、わかりやすい。

【ポイント7】ロッカーベースは時代によって構造が変わる。

ヴィンテージのベースの中でも人気の高いロッカーベースは、大まかに3つに分けられる。1950年に登場し、初期の1年のみ脚を形成するワイヤーの数が多い。その部分が省略され、次にソリの形状が変わる。

1950

リラックスチェア向けのベースとして発売されたロッカーベース。初期の1年は下の写真と比べるとわかるが、真ん中にワイヤーがクロスする。

1951~1950s Late

こちらが前期と呼ばれるロッカーベースで、後年になるとワイヤーのパターンとソリの形が変わる。1960年代に生産中止となるので数は少ない。

【ポイント8】初心者はスタッキングベースが狙い目。

シェルチェアには、マウントの位置が2種類あるのはご存知だろうか? Hベースなどに使われているのがナローマウントで、スタッキングベース専用のものがワイドマウント。後者は互換性がないのでお手頃!

スタッキングベース

スタッキングベースは、重ねて収納することに特化したベースのため、学校や公共機関などで使われていた。この幅広なベースに安定感を出すためにマウントの位置が広い。

通常のHベース

こちらは通常のHベース。このナローマウントだと他のベースも取り付けられるので、人気が高い。

イームズのシェルチェアの市場価値を探る!

気になる現在のマーケットプライスをリサーチ。北さんが「ギャラリー1950」をオープンした当時に比べて、2〜3倍ほど高騰しているそう。シェルチェアは、トップの年代やカラーリングで値段が変動し、さらにベースも価格帯が広いので、この2つの組み合わせでプライスが変わる。スタッキングベースの定番色であれば、3万円台からあり、高いものに関しては20〜30万円を超えるものある。’60〜’70年代でも珍しい色は高価だ。

サイドシェルチェアHベース ¥75,600

サイドシェルチェアの中でも人気が高く、数が少ないネイビーカラーのため、スタンダードな色に比べると値が上がる。こちらは1960年代後半のもので、メジャーなHベースを装着した。

ワイヤーチェアエッフェルベース ¥88,560

1950年代後半のワイヤーチェア。座面にあるベースを取り付ける部分の形状と仕様で年代判別をすることができる。エッフェルベースはグライズがプラスチックのもの。

サイドシェルチェアH ベース ¥64,800

イエロー系のカラーリングが豊富に展開されているが、この濃いめのものは人気が高く、他の黄色と比べると少し高め。ベーシックなHベースなので、お手頃な価格帯になっている。

サイドシェルチェアH ベース ¥54,000

定番色のひとつであるホワイトは、エントリーモデルとしてオススメ。コーディネイトしやすいカラーリングなの
で使い勝手が抜群。スタンダードなHベースを組み合わせている。

シェルアームチェア ティルトスイベルベース ¥129,600

レアなブラックのシェルに、アレキサンダー・ジラルドがデザインしたマハラム社のファブリックを張り直したもの。ベースはキャスター付きで、書斎スペース向き。

サイドシェルチェアスタッキングベース ¥54,000

レアカラーのひとつであるオリーブのサイドシェルチェアは、スタッキングベースのため、ナローマウントと比べるとお手頃な価格。重ねて収納できるので来客用にストックするのも◎。

シェルアームチェアXベース ¥162,000

こちらはレアな初期ロットであるゼニスプラスチック社のシェルアームチェア。この時代はHベースの前身となるXベース。コンディション抜群のエレファントグレーである。

ワイヤーチェアエッフェルベース ¥91,800

こちらは1950年代中頃に作られたワイヤーチェアのセカンドモデル。ネジの頭が座面にあるのが見分けるポイント。ブラックの座面に同色のエッフェルベースという組み合わせが完璧。

サイドシェルチェアスタッキングベース ¥41,040

学校や記者クラブなどで使われていたデスク付きのスタッキングベースが付いたモデル。オレンジは、シェルチェアを代表するカラーのひとつであり、持っておいて損はないだろう。

シェルアームチェアXラウンジベース ¥138,240

人気色のブライトレッドが褪色していい風合いになったシェルアームチェアは、セカンドのトランジションモデル。脚はレアなラウンジ仕様のXベースが付いているのがポイントだ。

サイドシェルチェアHベース ¥54,000

ホワイト、オレンジに並んで、定番色として豊富にあるレモンイエロー。部屋にひとつ置くだけでグッとポップな雰囲気になる。ベーシックなHベースなので、汎用性が高い。

サイドシェルチェアコントラクトベース ¥70,200

オフィス向けに出荷されたものが多いコントラクトベースに、人気カラーのひとつであるウルトラマリンブルーのシェル。座面が回転するので、ワークチェアとしても優秀である。

サイドシェルチェアエッフェルベース ¥97,200

1950年代のサイドシェルチェアに、ブラックのエッフェルベースという組み合わせは、当時のまま。人気色であるパーチメントは、ヴィンテージならではのいい風合いになっている。

サイドシェルチェアエッフェルベース ¥129,600

裏にHモチーフのマークが入っていない1950年代のヴィンテージ。こちらは人気カラーであるシーフォームグリーンにセカンドのエッフェルベースという通が好むコンビネーションだ。

サイドシェルチェアH ベース ¥54,000

コンディションのいいオレンジカラーのサイドシェルチェアは、ヴィンテージの中では比較的よく目にするカラー。Hベースであれば、飽きたら脚を替えることができるのが魅力。

シェルアームチェアH ベース ¥75,600

シェルアームチェアにおけるスタンダードなコンビネーションがこちら。サイドシェルチェアに比べるとこちらの方が同じ色と組み合わせでも高い。まずはここから始めるのも◎。

【問い合わせ】
ギャラリー1950
TEL03-3473-1950
http://www.g1950.com

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning 2018年3月号 Vol.287」)

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