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本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスが見たい! vol.6 サンディエゴ|ポイントローマ

本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスは、サーファー独自の感性に満たされた個性的なものばかり。しかしそこに共通するのは、“豊かに暮らす遊び心”。そんな夢の城を、私達は敬愛を込めて“Surf Shack(サーフ小屋)”と呼ぶ。

NALU本誌の人気連載vol.6は、幼少の頃から憧れていた母親の背中を追い、フォトグラファーになったブリジット。自他共に認めるポイントブレイク好きの彼女が選んだサーフシャックは、メキシコの雰囲気が漂うサンディエゴの中でも、いつもたっぷりの太陽が降り注ぎ潮風漂うポイントローマだ。
◎出典: NALU(ナルー) no.118_2020年10月号

理想の波を追いかけCA最南端の街に

どこまでも突き抜けるサンディエゴの青い空にポップなカラーのアイテムを散りばめたこのサーフシャックのガレージは、ブリジットのお気に入りがたくさん詰まった玉手箱。波に恵まれない時はスケートボードやバイクに乗って風を感じ、好きなレコードをかけてリラックスしたり、アウトドアリビングで気分のままにギターを奏でる。

バックヤードには大好きな野菜と果物を植えて自然の恵みに感謝する。室内には親しいローカルアーティストの作品を常にアップデートすることで、良い刺激を受けつつ彼女の写真に対するクリエイティビティを生み出す原動力ともなっている。
メキシコと国境で繋がるカリフォルニア最南端の街サンディエゴ。ブリジットが選んだ海沿いの街ポイントローマは、比較的平坦な場所が多いサンディエゴの中でも丘陵地に面した人気のエリア。
昨年秋に不動産関係の知り合いから、なかなか空きが出ないこの地域に家がリスティングされる事を聞き、入居を即決したという。どっちに歩いて行ってもビーチに突き当たる、この海に囲まれた立地での暮らしに大満足しているという。
ブリジットは生まれも育ちもNYマンハッタンのど真ん中。都会育ちとはいえ夏になると毎日ビーチに向かい、ロングアイランドの横にあるファイヤーアイランドがお気に入りで、母と幼少の頃に通いつめていた。島にアクセスする交通手段はフェリーのみ。何故なら島内は車は禁止されていて、徒歩か自転車で移動するのがルールだからだ。親にとっては子供の交通事故を心配する必要がないパラダイス。そして何と言ってもサーフィンにのめり込むきっかけとなったのは頻繁に訪れたコスタリカだと言う。

毎年夏休みに母親の別荘があるサーフタウンのノサラで、サーフィン漬けの毎日を送った思い出でいっぱいだ。フォトグラファーの母から12歳の時にポラロイドカメラをプレゼントしてもらった彼女は、高校生になり35mmのフィルムカメラを購入し、フィルムを暗室で現像しプリントすることに夢中になっていった。母親とは親子というより友達同士のような関係で共に時間を過ごすことにより感性が磨かれ、将来は自身もフォトグラファーになりたいと志すようになった。
▲パームツリーや海をバックにボードを掲げる彼女の日常を切り取りとると、まるでレコードジャケットのよう。歩いてポイントまで行けるこの暮らしはまだ夢心地だそうだ。

カリフォルニアのカレッジを卒業した後は当時コマーシャルの写真の学校として全米に名を轟かせていたベンチュラにあるBrooks Institute of Photographyに進学し、将来性豊かな仲間たちと時間を過ごした。海沿いの美しい街で暮らし、今でもベストフレンドと呼べる友達と出会えた場所だ。あらゆる写真の知識と経験を得た彼女は、ベンチュラサーフショップのオーナーでレジェンダリー・ボードシェイパーの、通称ブリンキーことWilliam Dennisの貴重な70年代の写真をアーカイブする仕事に就いた。▲波の大きさよりもクオリティーを重視するブリジット。小さな波でも丁寧にビーチまで乗りつぎ、最後まで無駄にせず波を楽しむことは彼女なりの地球に対する感謝の表現

カリフォルニアに移住してからサーフと写真に囲まれていた彼女は、この頃から本格的にロングボードを始めた。彼女のお気に入りはなんと言ってもポイントブレイク。カーペンターであるボーイフレンドのアダムとは理想のポイントブレイクを追いかけ続けベンチュラからサンディエゴの間を5年間行き来し、色んな種類の波を経験できたことが、彼女のサーフライフの中で大きな財産になっているそうだ。最初は友達のニールセン・クーパーにボードをシェイプしてもらっていたが、数年後には伝統を重んじながらモダンなボードを削る事で有名なジョシュ・ホールに、グライダーからミッドレングスまで色んなタイプのボードを提供してもらい楽しんだという。

世界中の波に興味が出てきた彼女は、親友のテイラーとオーストラリアのヌーサで行われるロングボードのコンテストへ参加するためにサーフトリップに出た。ポイントは毎日とにかく混んでいたのでファーストポイントを避けもっと奥のポイントまでボードを抱えて歩く日々だった。ある朝、満潮の時にゲットアウトしてサーフィンを楽しんでいたら、いつものメンバーが全く来てないことに気がついた。波は干潮に向かいどんどん良くなるのに、他のサーファーが一人も来ない。不思議だなと思いつつも、仲間だけの充実のプライベートセッションを存分に楽しみ満面の笑みで帰った後、誰もサーファーが来なかった理由が、パーキングで壊れてしまったトラックが道を塞いでいたからだと知った。この日の波乗りが後にも先にも二度とない、思い出深いサーフセッションとなっているのだそうだ。
さて、1940年に建てられたこの可愛らしいサーフシャックは、いたってシンプル。玄関から入ると白を基調としたリビングがあり、大きな窓から入ってくる陽の光が暖かく迎え入れてくれる。センスの良い小物が置かれているキッチンを抜けると明るいダイニングがあり、1960年代に付け加えられたガレージに突き当たる。サーフィンの他にもギターやスケートボードなど多彩な趣味を持つ二人のガレージには、選りすぐりのアイテムが揃っているが、大量の持ち物をどう収納しようかと試行錯誤したのだそうだ。手先の器用なアダムはなんでも作ってしまうが、中でもこの縦置きのサーフラックはブリジットと共作した逸品だ。▲バリエーション豊かな彼女のサーフボードコレクションは、どんなコンディションの波にも対応可能

入居のタイミングで生まれた最愛のパピー・ソーダと海で過ごす時間は彼らのライフワークのひとつ。「ビーチを歩いていると60年代のクラッシックなサーフボードからもげたと思われる古いフィンなんかを見つけるのも珍しくないのよ。そんなお宝を見つけた時にはまるで50年前に戻るタイムマシーンに乗った気分になるの。そんなことが良く起こる場所なんて他にあるのかしら」サンディエゴが理想の住処だと信じて疑わないブリジットは、子供のような笑顔を見せた。

出典

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FUNQ NALU 編集部

FUNQ NALU 編集部

テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

FUNQ NALU 編集部の記事一覧

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