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シングルフィンマスター小川徹也の裏NALU【Issue 01】

特集ページには決して載らないサーフシーンの裏側に、稀代のシングルフィンマスター・小川徹也が、独断と偏見で斬りこんでいく。記念すべき第1回は、同じくシングルフィン乗りとしてその名を馳せるピッペンを迎えてリモート対談を実施。ロングボードにおけるコンテストについて存分に語ってもらいました。
◎出典: NALU(ナルー)no.121_2021年7月号

日本には試合の後や選手以外が楽しめるイベントが全然ない(Pippen)

小川:ピッペンはこれまで国内外のいろんなコンテストに出てきてるけど、そのあたりの経験からまず聞かせてもらいたいな。

ピッペン:昔インドネシアによく通っていたときに、第1回目のデウスの『9ft & Single』(※1)に招待してもらったことがあって。それが結構カルチャーショックだったんですよ。タイラー・ウォーレンやアレックス・ノスト、オーストラリアのうまいサーファーもいて大会はしてるんですけど全然勝ち負けじゃない。

小川:そうだね、選手とギャラリーが一体のイベントになってる。俺も最初はそういう見方ができなかったからどうしても勝ちに行こうみたいな気持ちであそこを見てたんだけど。でも試合が終わって夜のパーティーに出たりしてたら考えもだいぶ変えさせられたよ。

ピッペン:ですよね。そういうイベントって日本で全然なくて、なんでないんだろうって純粋に初めてその時思ったんです。日本であるシングルフィンのイベントはどうしても大会思考は拭えないし、ジャッジ基準もそうなってて、負けたらもうそのイベントは終わり、みたいな。例えばヌーサフェスティバルはやっぱりコンテスト感が強いんですけど、楽しいイベントがあったり夜のパーティーがあったり。選手以外も楽しめることが多いですね。

小川:フィリピンのイベント(※2)やカリフォルニアのマリブ(※3)も出てるよね。あのへんはどうなの?

ピッペン:イベント性が高いのは9ftとフィリピンですね。カリフォルニアとヌーサはコンテスト色が強いです。ただイベントにアートやミュージックとかが組み込まれてて規模自体が大きい。日本はどうしても1日完結型なんでやれることも限られちゃいます。

小川:なるほどね。それで今度は主催者側として『ザ・ワン』(※4)をやってるわけだけど、特徴っていうとどんなところ?

photo: 330photogalleries

ピッペン:大会ってだいたいベスト2ウェイブなんですけど、ザ・ワンはベストワンウェイブにしています。だから2本で構築して戦略的に試合巧者が勝つというより、残り1秒でも1本波に乗ってすごいハングテンやドロップニーとかなにかとんでもないことをしたら逆転もできる。そこに面白さがありますね。

小川:リーシュをしろとかしないとか、そういう制限は?

ピッペン:ルールはほぼないですね。

それでも文句を言うっていうアホンダラ、やっぱ多いわけですよ(小川)

小川:あ、ちょっと余談にはなるけどリーシュの問題聞きたいな。俺はいろんな人とも喋るけど、だいたい言うのはリーシュしてる奴の方があぶないってこと。ボードがどこに飛ぼうが気にしないまんま、半径6メーターの距離にミサイル発射しているわけ。

ピッペン:そうですね。僕が思うのは、じゃあノーリーシュはマナー違反にしましょうってなったときに、もっと声を出して挙げないといけないマナー違反もありますよねってことです。例えばひどいドロップイン、技量に合ってない人たちのエントリー、駐車場の場所取り、ワックスのゴミを捨てることとか。他にもマナー違反てすごくあるのに、なぜかノーリーシュだけが君臨してますよね。

小川:そうそう。でヒザモモの波でノーリーシュでやってて、そのボードが流れて人に当たるかっつったら、ヒザモモで波待ちしてるショートボーダーはいません! それでも文句を言うっていうアホンダラ、やっぱ多いわけですよ、この世の中。リーシュしてなきゃなんでも同じに見られる。ノーリーシュでちゃんとやってるサーファーは絶対に流さないと思ってボードに抱きつくよね。ところでピッペンははじめからノーリーシュ? 最初はしてたでしょ?

ピッペン:してましたよ、自分のなかのノーリーシュ検定があったから。

小川:そうだよね。やっぱり今、最初から絵面的にリーシュをしない人たちが多いってことも問題。俺は技術的にいらなくなってもうワイプアウトしないってところから付けなくなったんだよね。ウォーキングするのにほんとに邪魔だから。するかしないかは個人のレベルの問題で、俺はリーシュしないでサーフィンしましょうよって訴えているわけじゃない。ノーリーシュでやってるうまいサーファーに影響されたやつは、ワイプアウトしないぐらい上手くなれよって言いたいんだよね。そこまで上手くなってから一緒に外してカッコよくやろうよって。はじめからノーリーシュは危ないし、海についてももっと学ぼうよって俺は教えてあげたいんだけど。で、話を戻すとザ・ワンは今年開催するんだよね?

『ザ・ワン』はイベントでありコミュニティ。本物と出会える場にしたい(Pippen)

ピッペン:去年は開催しなかったんですけど「今年はやらないんですか?」っていう声も多くて。ザ・ワンはシングルフィンやロングボードを含めたサーフィンのコミュニティなんでそれを絶やしたくないっていう気持ちもありますね。

小川:うん、去年なんかは世の中の情勢的に特にわちゃわちゃしていたよね。でも湘南でマーボロイヤルの大会(※5)が成功してるわけじゃん。だからウィズコロナなのは当然なんだけど、人と人がこうあまりにもぶつかり合いすぎてるなって思う。結局、敵はコロナなのに人間同士がぶつかり合ってイベントも何もかもが全部中止されてる。

ピッペン:もっとイベント性を高めるとしたらカフェを増やしたりだとか、スペースも時間も設けてフリーセッションをするとかいろんなことをしたいんですけど、そういうことはコロナによってできないので全部削ぎ落としました。今回はエントリー数を減らしてロングボードの試合だけ。大会って朝の6時ぐらいからスタートすることが多いんですけど、大潮の潮の動く時間帯を狙って8時半開始にして。決勝までやっても1時で終わっちゃうんですよ。なので波がよかったらエキシビジョンをやりましょう。

小川:俺、板持ってかないよ(笑)。とはいえ今の話を聞いてるとピッペンがやってることは興行じゃないよね、選手ファーストっていうかサーフィンファースト。潮の良い時間を狙うこともそう。少しでも選手や見てる側が楽しめるようにしてくれてる。朝5時半集合で6時スタートなんて観客も来ないし逆に近所迷惑(笑)。

ピッペン:いろいろ制限はありますけど、ここに来れば本物のトップの人たちに会える、コミュニケーションも取れるっていう場にしたいんですよ。

小川:うん、やるって決めてやれるところは絶対それをなくしちゃいけない。各地方で1年に1回ぐらいこんなことがあってもいいと思う。100%でできなくても60%でも70%でもやれればそれがまたひとつの手本になっていくから。ぜひ頑張ってね、こっちからも応援してるよ。

photo: 330photogalleries
▲ザ・ワンではベストワンウェイブ、つまり「1本でも分からせれば勝ち」という斬新な採点法を採用

Profile

小川徹也
千葉・太東がホームの日本を代表するトップロガー。歯に衣着せぬ言葉で世相に物申す反面、人情に厚くシャイな一面もあわせもつハードコアアラフィフスタイルマスター。

Pippen
名古屋のサーフショップ『PIPPEN STORE.』の店主を務めるかたわら、数々のシングルフィンログのイベントに出場。今年から宮崎に移住し新たなライフスタイルを確立中。

(※1)『9ft & Single』/Deus Ex Machina が2011年から開催しているロングボードイベント。ボディサーフィンやフィッシュのカテゴリーもある。会場はバリ島のチャングー。

(※2)フィリピンのイベント/VANS が主催する『Single And Unattached』。フィリピンのラ・ユニオンで開催。

(※3)マリブ/ロングボードの聖地マリブで開催される『MSA CLASSIC』。

(※4)『ザ・ワン』/ピッペン氏含む5人のサーファーがオーガナイズする東海エリア発のイベント。コロナ前の2019年には約200名ものエントリーを集めた。

(※5)マーボロイヤルの大会/『マーボロイヤル KJ CUP』。『マーボロイヤル』主催のロングボードイベント。昨年53回目の開催となった。

出典

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FUNQ NALU 編集部

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

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