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サーフィンを止めるな/サーファーからのメッセージ(枡田琢治編)

今、世界は未曾有の変革期を迎えている。Covid-19という未知なるウイルスによって誰もが 経験したことのない自粛生活を強いられ、経済は停滞し、海に入ることさえ煙たがれるこの世の中を、誰が一体予測できたことだろう。これからのサーフシーンはどうなって行くのか。
この大きく時代が変わるその瞬間に、サーファー達は何を想い何を願ったのか。
その断片を切り取り、後世に残すためにこの特集は企画された。
『THE VOICE-サーフィンをとめるな。』
リアルなサーファー達の声をここに贈りたい。
◎出典: NALU(ナルー)no.117_2020年7月号

一人のフィルムメーカー・サーファーとして考えること

“Just let me go out there, let me get one wave before you take me.One wave…My whole life has been about this moment, Johnny.Com’on compadre” Point Break(1991)

「パドルアウトさせてくれ、逮捕する前に一本だけでいいから。ジョニー、俺の人生はこの瞬間の為だった。相棒よ頼む。」

これはアカデミー最優秀監督賞を初女性として受賞したキャサリン・ビグローの名作『ハートブルー』(1991)原題『Point Break』のクライマックスシーンで、主役ケアヌ・リーブスと悪役パトリック・スウェイジが歴史的巨大なスエルが沖で割れる岸辺でショーダウンする。忍び込んだ強盗サーフグループのおかげでサーファーデビューした新人FBI捜査官ジョニー・ユタとリーダー、ボーディは正反対の立場。そんな人間の間の友情を描いた映画で、あくまでもクラッシックな青春アクションドラマ作なのだが、実際このフィルムを鑑賞するのがリアルサーファーだったら、自分は一体どちら側の倫理規定を選ぶのかを問うであろう。
勿論自分は感染病の専門知識を全く持たないのでこの文章はあくまでもカリフォルニア在住フィルムメーカー・サーファー1人の非常事態宣言後の意見程度として読んで欲しい。
photo: Pedro Gomes

カリフォルニア州の幼稚な日々

「STAY HOME」命令中のカリフォルニア州、マリブ界隈ビーチではハートブルーのシーンの様に違法でパドルアウトしたサーファー達をユニフォームを着用した役人たちが追いかけ回した。焦った政治家達は徹底的に海岸線をシャットダウンしてみたり、歴史的にも振り返ると恥ずかしくなる様な行動を取った。
皮肉にもライフガードの大半は地元のサーファー仲間であり、彼らのボートがシークレット的なマイナースポットに現れると、我々は海から上がりまた去るとパドルアウトする「キャット&マウス」と呼ばれるお茶目で幼稚な日々が繰り返された。
ベンチュラやオレンジカウンティの各コミュニティではいち早くアクティブユーズ(活動的使用) が許されたが、マリブを含むLAはサーフィン解禁に慎重だった。最終的にサーフィンは罪ではなく、ましてやメンタルとフィジカルな健康管理をし続けることが大切であることが明らかにされた。だがカリフォルニア州でシェリフ、ポリス、コーストガードからライフガードまでもがサーファーズにここまで関与した事は初ではないのか?
1969年にコットンズに住まいを移したニクソン大統領の護衛でミリタリーポリスが立ち入り、禁止になったトラッセルズを訪ねるサーファーの板を没収したぐらいが例外だろう。

カウンターカルチャー発祥の地にも変化が

西海岸はカウンターカルチャーの発祥地、元祖サーファーズは根本的に社会倫理からハグレる為に波乗りをした。イージーライダーズ時代は薄れ、現代サーファーには都合が良い連中がやたらと多い。オリンピックのスポーツとして受け入れられたのをきっかけにアイヴィーリーグ受験の様に、パッショネイトな親が連れ回すプロを目指すジュニア達は世界中のどこへ行っても見かけられる。だが目指すプロで現状食えているのは国内に50人いるかだろう。アメリカでドメスティックのプロに払われるサラリーでは自立できない、既にチャ ンピオンシップツアーのトップにいなければアメリカンドリームの軸である夢の家も買えないとサーフ業界で勤める友人から聞く。
NALU誌デビュー当時90年代中旬、自分の様な若造ロングプロまでもがスポンサー収入である程度の暮らしが出来たバブルはとっくに弾けた。それでも波乗りは続く。日本同様ロスでもエコなブランドを着用しながら非常に環境的には問題な消耗品のソフトボードユーザーや、アジアで大量生産されたボードに乗るリッパー達。社交程度なヒップスターズやヨガライフスの延長のスピリチャルな皆様と様々にサーファー人口は世界的に増え続け、サーフィンは社会に中指を立てる様なアウトロー行動ではなく、大型スポーツ店舗で扱われるワンオブになって満足している程度。
だがサイレントにハンドメイドのボードとシックなウエットで良いコンディションのロケーションを外さないコア層もしっかりしている。日本の様に地元というスタンスはあまり無い、勿論同じブレークに通い続け同じ様な事を繰り返す偏った連中もいるが、ロス近辺では車で潮、風とうねりを解読して波を見つけるのが基本のコアサーファーズ層。250人いるかだがLAローカルズで大体が知り合いだ。

親として社会との接点をどのスタンスで向き合うかを問われた

今回はサーファー小学生二児の親として社会との接点をどのスタンスで向き合うかを問われるチャンスでもあった。既にカリフォルニア州は民の海岸でエクセサイズを復帰したので語るが、我が家は当然お忍びでサーフィンを辞めずに社会的に「無責任」な道を選んだ。決して不良が良いと主張しているのでは無いが、今回の様に特別な状況内で独立的に考えて行動をするわがままな連中達が沢山いた事が嬉しい。
で、結果的にカリフォルニア州のサーファーの間で死者はほぼいない。野生王国ではサバイバルオブザフィッティストとも言うが、海で鍛えた体と免疫でサーファーズは感染者とさえ距離を保ち続ければ害はほぼ無かったのが、自分のサーフィン仲間達での印象だ。
個人的に特に注意したのは「感染者」ではなく「死者」数。ネットで調べると77億人の世界人口といわれる中、普段から1日に15万が死ぬと言われている。この地球上死者数のデータを冷静に見るとCOVID-19の死者数はかなり低い。ちなみにサーファーに近いところでは、世界中800人程の人口が(風呂場なども含むだろう)溺死しているそうだ。現時点COVID-19 感染から世界中で32万人、アメリカでは10万程度、カリフォルニアでは3千7百人が死亡している。通常アメリカでは一日平均で8千人が死亡し、その内今回のコロナウイルスにハマる死者は1/8らしい。
photo: Rip Zinger

「STAY AT HOME」命令中、目撃して嬉しかったのはサーファー同士の助け合う姿だった

マスメディアで確かな情報は非常に掴みにくいが死人数を冷静に考えると本当に大したことではないのが分かる。スウェーデンで実行した様に老人やコンディションの良くない人を家に閉じ込め感染しない様に避けていれば、結果論ではあるが経済的なリスクは非常に少なかった。コロナのシャットダウンに始まり、経済危機経由で終いにはミネソタ州ミネアポリスで無防備のアフリカ系アメリカ人が警察の暴力で死亡した事案抗議活動の過激化により、現在ロサンジェルス市内は商店などへの略奪行為が各地で大発生、1992年ロドニーキングLAPD警察暴力事件の無罪評決に対しての暴動以来だ。現在爆発的なホームレス問題を抱える天使の街ロスの光景はホワキン・フィーニックス主演の名作JOKER(2019)の背景がリアリティ。だがその一方でカリフォルニアには手応えのある南と北西のうねりが同時に届き、日中はどのポイントも異常に混雑している。
11月の選挙に向けてアメリカは中国のバッシングを強化中。香港問題からそのまま台湾の独立と民主主義を応援するも、世界戦争にならない様にトランプ大統領には今回も口喧嘩ほどで勘弁してほしい。
今後まだまだ、色々とカオスが続くだろうが「STAY AT HOME」命令中、自分が目撃して嬉しかったのは海岸アクセス禁止中様々なレベルでサーファー同士が波を乗り続ける為に助け合う姿だった。自粛要求やローカリズム延長で警察やガードに通報し恥ずかしい反対側に立った者もいるだろうが、今後サーファー同士で「STAY INSIDE」とお互い言い合うのは、バレルライディングの時ぐらいでお願いしたい。

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NALU 編集部

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

NALU 編集部の記事一覧

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