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カテゴリーのボーダーを超えるハイブリッドなシューズ|スカルパ/リベレHD&リベレトレックGTX

無雪期から残雪期まで広く使える3シーズンモデルとして、山を本格的に楽しむ多くの人たちに愛用されてきたマウンテンブーツ。

近年は軽量なトレッキングシューズやトレランシューズが百花繚乱になり、さらに荷物の軽量化によって、どっしりとしたマウンテンブーツよりも軽量なシューズの愛用者が増えてきた。

だが、山のシューズをトータルでラインナップするスカルパは、このマウンテンブーツの改良を重ね、より歩きやすい、使いやすい製品を生み出し続けている

今回はスカルパでこのカテゴリーのフラッグシップに位置づけられる「リベレHD」、さらに派生モデルである新作トレッキングシューズ「リベレトレックGTX」にフォーカス、深堀りしていく。

文◉PEAKS
写真◉熊原美惠

無雪期の高山、岩稜から残雪まで幅広く使えるマウンテンブーツ

登山と軽量化は切っても切り離せないテーマであり、時代とともにさまざまな山道具が少しずつ軽くなってきた。さらにこの10~15年はその傾向が加速し、大小問わずメーカーは競うように軽量なモデルをリリースし続けている。

この著しい軽量化の波はシューズにも波及。一昔前は荷物が重かったのもあり、高山では多くの人がどっしりとしたマウンテンブーツを履いていたが、最近はアルプスの岩稜などでも軽量な荷物&ライトなシューズの組み合わせを非常によく見かけるようになった。

シューズの選択に正解はなく、歩く場所、慣れ、脚力、荷物の重さなどのバランスが釣り合っていればなにを選んでも自由だが、注意したいのは許容度の違いだ。

マウンテンブーツは重量があるものの、大は小を兼ねる的にフィールドを選ばずオールラウンドに使え、さらに荷物が重たくてもシューズ自体が足をサポートしてくれるというメリットがある。対してライトなシューズは取り回しがよく歩きやすいものの、たとえば岩稜のようなシビアな場所では自分の脚力が試される。つまり、シューズに頼りにくいのだ。

近年、マウンテンブーツも地道に進化を続けており、注目すべきモデルも多々ある。その代表格が、スカルパの「リベレHD」だ。リベレHDはマウンテンブーツの良さを残しつつ、歩きやすさ、つまりトレッキングシューズ的な性能をプラスする方向で作られている。

実際に足を入れて歩いてみると、10~15年くらい前のマウンテンブーツとは履き心地が違うというのが体感できるはず。この進化型マウンテンブーツともいえるリベレHDの構造について、詳しく掘り下げていこう。

リベレのシンボル、全周ラバーバンド

リベレとはイタリア語で「反逆者」という意味。ブランド的には既存の概念を壊し、創造的に生み出されるシューズという位置付けで、さまざまなカテゴリーでリベレと名付けられたシューズが登場している。その代表モデルがリベレHDである。

リベレシリーズに共通するディテールが、360度アッパーを覆っているラバーバンド。

一般的なシューズの場合、つま先周辺のみがラバーで覆われているが、リベレHDはカカトの上部、アキレス腱の方まで角度をつけて上がるようにして、ラバーがぐるっとシューズ全周を覆っている。

通常ランドラバーはアッパーを保護するためのものだが、リベレにおいては構造材としてソフトなフレームのような役割を果たしてくれる。具体的にはアッパーのねじれ、ブレなどを防ぎ、歩行時の安定性を高めてくれるのだ。

さらにリベレHDの特長として、前足部はアウトソールをカバーするようにラバーが巻かれている。

こうすることで、ミッドソールとアウトソールが一体化し、よりフレームの効果がアップ。シューズで前足部が必要以上に前や横方向にズレていくのを防いでくれる。

これらはリベレHDが岩稜や雪上など不安定な場所での行動を想定されて作られているからこそのディテール。悪条件でこそ、この設計の真価が発揮される。

歩きやすさ、のための工夫

高い剛性や安定性と引き換えに、トレッキングシューズと比べて、平地を歩きにくい、長く歩くと疲れやすい、などというデメリットもマウンテンブーツは持ち合わせていた。だが、近年はマウンテンブーツの開発において、歩きやすさ、疲れにくさ、などにフォーカスが当てられ、さまざまなアプローチでこの課題を解決しようとしている。

そのためのリベレHDの特徴的なディテールが、つま先の反り上がりだ。

トレッキングシューズやトレランシューズなどではよく見られるディテールだが、リベレHDはマウンテンブーツとしてこれを取り入れたのが画期的。

そもそも岩場や、クランポンを装着して雪の上などを歩くことを考えると、つま先はフラットに近い方がよい。だが、それだとソール自体の屈曲性、つまり曲がりにくいアウトソールと相まって平地が歩きにくくなる。

リベレHDは、つま先に少し角度をつけることで自然と足が回転するように動かせるので、従来のマウンテンブーツよりも格段と歩きやすく、疲れにくく感じられる。

さらにミッドソールにも工夫が。外側と内側で剛性の違う素材が使用されている。

カカトを見ると、外側は黒色、内側はオレンジ色のミッドソールに分割されているのがわかる。外側より内側のほうが少しだけ柔軟なミッドソールになっているのだ。

着地の際にはじめに荷重がかかる外側は安定性があり、そのあと荷重が移動してくる内側は衝撃吸収を吸収してくれるので、安定した足運びと疲労軽減の効果を発揮してくれる。

さらにアッパーに目を向けてみよう。特徴的なディテールが、ソックフィットと呼ばれるアッパーとタンが一体になった構造だ。

アッパーとタンが1枚のパーツのようにつながっており、これにより足の甲の部分にほとんど段差が生まれず、シューレースを締めると足が包まれるようなフィット感が生まれる。

アッパーにはイタリア・チロル地方のタンナー、ペルワンガー社のレザーを使用。

2.2~2.4mmという比較的厚めのスエードが使用されており、適度な剛性やプロテクションを備えつつ、レザーならではのしなやかさも感じられる。

アッパーには防水透湿メンブレンがインサートされているが、「HDry」であることに注目。

メンブレンがアッパーにラミネートされているのがHDryの特長で、アッパーとメンブレンの間に隙間が生まれないので、アッパー自体もよりしなやかになる。結果、ソックフィット構造と相まって、アッパーのあたりがソフトに感じられる。さらにアッパーとメンブレンが一体化しているために間に水分が溜まらず、蒸れにくいというメリットも。

これらの工夫により歩きやすさや履き心地が、以前のマウンテンブーツに比べ格段に向上している。

雪のある場所にも対応

マウンテンブーツとしての性質を色濃く残しているリベレHD。その特徴のひとつが、雪への対応である。

カカト部分にコバ(溝)があり、セミワンタッチクランポンの装着が可能。保温材は入っていないので厳冬期のような超低温では厳しいが、残雪期の山、さらに雪渓が残る初夏の高山などでおおいに活躍する。

もちろんストラップのみで装着するタイプのクランポンはコバがないシューズでも使えるが、そもそも雪上でしっかり歩くためには適度なソールの剛性が必要となる。やわらかいシューズはキックステップが利きにくく、雪上では使いにくい。

そういった意味でも、マウンテンブーツならではの適度なソールの硬さがあるリベレHDは、汎用性が高い。

オールラウンドなアウトソール

アウトソールはヴィブラムのモントというコンパウドのソールを採用。マウンテンブーツでよく使用されているもので、適度な硬さがあるので耐久性が高いのが大きな特長。

低温下でもグリップ力が低下しないという特性も持ち合わせ、クセの少ないオーソドックスなラグパターンと相まって、土、ガレ、岩、雪などなんでもこなせる。

まさに、さまざまな状態の路面で幅広いシーズンにわたって使うマウンテンブーツにピッタリの、オールラウンドなアウトソールだ。

リベレHDの遺伝子を受け継ぐニューモデル「リベレトレックGTX」

この進化系マウンテンブーツともいえるリベレHDの派生モデル「リベレトレックGTX」が今春登場。リベレトレックGTXはリベレHDの個性を残しつつ、よりライトなシーンに向いたトレッキングシューズとなっている。

リベレHDがトレッキングシューズの良さを取り入れたマウンテンブーツであるなら、リベレトレックGTXはマウンテンブーツの長所を残すトレッキングシューズといえる。

このリベレトレックGTXの特徴を探っていこう。

リベレHD同様の全周ランドラバー

こちらもリベレHD同様につま先からカカト上部までぐるっと全周にわたってランドラバーが巻かれている。これによりアッパーの保護に加えて、ソフトなフレームのような構造材としての役割も果たすので、歩行時の安定性向上につながる。

リベレHDと違い、こちらはアウトソールの前足部は巻き込んでいない。リベレトレックGTXの方がリベレHDより安定した路面での使用が想定されているため、その違いがランドラバーの構造にも現れている。

よりフレキシブルなアッパー構造

アッパーにはリベレHD同様にペルワンガー社のスエードレザーを使用。こちらはレザーの厚みが1.6~1.8mmとリベレHDよりも薄くなっており、よりしなやかに、足への当たりがソフトに感じられる。

足首上部はパッドが入ったファブリックとなっており、足首の自由度が高い。

ファブリックの上には縦方向に線状の補強が入れられており、横方向の屈曲性は確保しつつも、必要以上にねじれないようにサポート的な役割を果たしてくれる。

アウトソールも歩行にフォーカス

アウトソールにも違いが。こちらは同じヴィブラム社でもモントよりやわらかく粘りがあるトロントというコンパウンドが使用されている。

歩行時のグリップ性能はこちらの方が高いが、そのぶん不安定な場所での安定性は一段落ちる。ただし、最近よく使われているメガグリップなどに比べると適度な硬さがあり、ハイキングに振ったライトなシューズよりは、マウンテンブーツ寄りの特性を持ち合わせている。

さらにソールの屈曲性にも注目すると、それぞれのシューズの立ち位置が見えてくる。

こちらはリベレトレックGTXを曲げたところ。

適度に曲がるものの、ソフトなトレッキングシューズに比べると適度な硬さがある。それゆえに足場が悪い場所でもそれなりに安定性が感じられ、足をサポートしてくれる。

対して、こちらはリベレHDを曲げたところ。

リベレトレックGTXと比べると一目瞭然だが、こちらはやはりマウンテンブーツらしいソールの硬さがある。そのため、小さな岩に乗り込むような場面でも足全体がシューズによって支えられるので安定性が高まり、さらに足全体で踏ん張る必要がないためラクに足を運んでいける。

またカカトを上げた際につま先がベタッと地面に接地している点にも注目。フラットなソール形状であれば、カカトを上げていくとどんどん接地面が小さくなり、最終的につま先のピンポイントが地面から離れていく。だがリベレHDはつま先が少し反り上がっているために、カカトからつま先に荷重が移動して地面から離れていく際も接地面が広く、ラクに足を運ぶことができる。

ハイブリッドなシューズだからこそ「出自」を見極める

それぞれ詳しく見ていくと、トレッキングシューズのような歩きやすさ、履き心地を取り入れたマウンテンブーツがリベレHD、リベレHDのマウンテンブーツ的な剛性や安定性を残しつつトレッキングシューズに転生したのがリベレトレックGTXであることがわかる。

以前のような、マウンテンブーツ、トレッキングシューズというカテゴリーの明確なボーダーが薄れ、これらのシューズもその両方の要素を持ち合わせたハイブリッドなシューズに仕上がっているのだ。

ざっくり捉えるとわかりにくいが、詳しく特性や出自を追っていくとその立ち位置は明確。岩稜や雪上でも安心して使えて、なおかつトレッキングシューズ的な履きやすいマウンテンブーツか、あるいは歩きやすいけれどもマウンテンブーツ的に不安定な場所でも頼れるトレッキングシューズか――。

選択肢が増えたからこそ、自分の求めるものを明確にして、それにマッチする特性を備えるシューズを選ぶようにしたい。

スカルパ/リベレHD

  • 価格:¥65,450
  • サイズ:EU39~48
  • 重量:695g(EU42/片足)

「リベレHD」はこちらでチェック

スカルパ/リベレHD WMN

  • 価格:¥65,450
  • サイズ:EU37~42
  • 重量:590g(EU38/片足)

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スカルパ/リベレトレックGTX

  • 価格:¥52,800
  • サイズ:EU40~48
  • 重量:680g(EU42/片足)

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スカルパ/リベレトレックGTX WMN

  • 価格:¥52,800
  • サイズ:EU37~42
  • 重量:555g(EU38/片足)

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企画協力◉ロストアロー www.lostarrow.co.jp/store/

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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