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靴紐とは次元の異なるフィット感を実現した2ダイヤルシューズ「スポルティバ/ジャッカル II BOA」|これからの山道具図鑑Vol.5

ダイヤルを回転させるだけで、フィット感を自在に調節できるBOAフィットシステム搭載シューズ。2001年にスノーボード用ブーツの着脱とフィット調節を容易にしたそのダイヤルシステムは、間もなくほかのアクティビティのシューズにも、多く採用された。

登山シーンでは2007年ごろからトレイルランニングシューズ、トレッキングシューズに多く採用されはじめた。そしてシステムは進化。2018年には、レースで締め込むのではなく、甲を包むベルトでフィットさせるBOAパフォームフィット・ラップ構造が登場。さらに甲を包む2本のベルトを、2個のダイヤルで個別に調節できるようにしたのが、2023年に発売されたスポルティバ/ジャッカル II BOAだ。

その履き心地は、これからの時代のシューズを思わせる。

編集◉PEAKS編集部
文◉ポンチョ
写真◉長谷川拓司

初期BOAフィットシステムにあった、登山における課題

私が初めてBOAフィットシステム搭載シューズを履いたのは、2008年だったと思う。その年に発売されたモンベル/マリポサジョガー、さらにはバスク、ザ・ノース・フェイスがトレイルランニングシューズやトレッキングシューズにBOAを採用していた。

靴紐を結ぶ必要がなく、着脱、フィット調節のしやすさに、今後はBOA搭載シューズが主流になっていくだろうと予感した。しかし、サイクリングやゴルフのシューズでBOAが定番になっていく一方、山では、想像したほど広まらなかった。

理由は、よいはずのフィット感だった。
トレイルランニングシューズ、トレッキングシューズは、下りで掛かるシューズの負荷が大きい。そのため当時は金属製が主流だったレースが、下りで足が前に押し出されると、甲に当たって違和感を生じさせることがあった。

加えて、ハードな使用環境である山で、もしダイヤルが壊れたり、レースが切れたりしたらどうするのか?という不安も根強かった。

進化とともに、フィット感も安心感も向上

しかし、そうした課題、心配は、現在においては解決されている。
まずBOAフィットシステムは、搭載されるシューズの寿命まで保証されている。実際、BOAフィットシステムよりも早く、シューズの寿命が来るという。また仮にダイヤルやレースが破損したとしても、心配な人は交換用パーツを装備しておけば、山でも簡単に修理が可能だ。

レースの違和感も、現行モデルではまったく感じない。レース素材が金属製から繊維製に代わり、さらには既存のシューズ、つまり紐靴同様のレースの配置が、新しく開発されたBOAパフォームフィット構造では、ベルトをレースで引いて、線ではなく面で甲部を包む構造に進化した。

2ダイヤル採用したジャッカルⅡ BOAのスペックは?

そしてジャッカル II BOAでは、2本のベルトそれぞれにダイヤル調整ができる2ダイヤルシステムを採用。違和感はまったくなく、BOAフィットシステム搭載トレイルランニングシューズの完成形と思える。
ちなみに、2本のベルトというと、面テープ(通称ベルクロ)を採用したシューズを思い浮かべる人もいるかもしれないが、履き心地、フィット感は別物。詳細は後述する。

さて、スペックは下記のとおり。

スポルティバ/ジャッカル II BOA

・¥27,500
・重量:約300g
・サイズ展開:24.5~31cm(男女兼用)
・ソール:フリクションホワイト(スポルティバ独自ラバー)
・スタックハイト:前足部/26mm、カカト部/33mm、ドロップ/7mm

 

特長は、軽く、やや厚底のソールはクッション性が高く、あらゆるトレイルコンディションに対応するグリップ力を装備。エネルギー効率もよく、長距離長時間の移動を得意とする。

シューズが求めているものは、このフィット感なんだ!

特筆すべてきは、やはり、フィット感の高さだ。
BOAフィットシステム搭載シューズを履いたことがない人に、ジャッカル II BOAのフィット感を伝えるならば、これまで履いていた紐靴の10倍フィットする!と表現したい。
大袈裟ではなく、本当にそれくらい、次元がまるで異なるのだ。

上画像を見て、ベルト2本が甲の曲面に沿って包み込むことは想像できると思う。しかし、それはBOAパフォームフィットがもつ機能の、一面でしかない。

▲ジャッカル II BOA、そしてBOAパフォームフィットの最大の機能は、カカト部のフィット感の向上、それによるシューズと足の一体化だ。

一体化したシューズは軽い。そして踏み出した一歩に安定感を与える。それは凹凸のあるトレイルを進む安心感に通じる。

トレイルランニングシューズ、トレッキングシューズを手掛けるデザイナーが求めながら、ある程度のレベルまでしか達成できていない軽さと安定の両立。それを、ジャッカル II BOAは、BOAフィットシステムの搭載によって完成させたと言っていい。

フィットのポイントは、カカトの収まり

紐靴の着用は、ヒール部を地面にトントンと打ち付けてカカトを合わせてから、靴紐を結ぶのが基本だ。そうしても、山のアップダウンで緩みが生じ、歩いているうちにカカトが浮いてしまうことがある。それは、シューズの重さと不安定さに繋がる。

対して、BOAパフォームフィット構造を採用したジャッカルⅡ BOAは、カカトをシューズに合わせてからダイヤルを回して甲部のベルトをフィットさせると、合わせたはずのカカトがシューズのヒールカップにググッと入り、しっかりと収まっていくのがわかる。カカト部が安定すると、一歩が軽く感じられる。その踏み出した一歩は、確実な二歩目を生み出してくれる。

これまで愛用していた紐靴のトレイルランニングシューズよりも、歩行時、走行時のパフォーマンスと安心感が間違いなく高まっていることを実感する。

フィット感にプラスして備わっている高い基本性能

ただし、どれだけフィット感がよくても、山を歩き、走る性能を装備したシューズでなければ、安定、安心を感じることはできない。

その点で、アルパインシューズからアプローチ、さらにはクライミング、トレイルランニングシューズと、幅広く山用シューズを手掛けるスポルティバは、必要十分を理解している。

安定した足運びを実現するアウトソールには、柔軟で粘着性のあるフリクションホワイトを採用。地面を噛むようなグリップ力を発揮する。

▲カカト部の収まりがよいヒールカップには、専用パーツを配置。BOAパフォームフィット構造に加えて、一体感を高める仕様が施されていたからこその、安定感なのだ。だから他ブランドのシューズがBOAパフォームフィット構造を採用しているからといって、カカトの一体感が同レベルで高いとは限らないことは、伝えておきたい。

またソール厚はカカト部で33mm、中足部で26mmあり、厚底ならではのクッション性を装備しながら、足指を掴む動作をすると路面状況を感じる足裏感覚が保たれている。ジャッカルⅡ BOAは、そうした点でも、厚底ソールながら安定感を生んでいる。厚底シューズにありがちなフワフワ感になじめない人は、違和感がないと思う。

履き口部は、アリアプレーンというストレッチパッドが足首を包み込む。これは異物侵入を防ぐだけでなく、ミッドカット的なサポート性もわずかに感じさせる。長時間長距離を移動した際に、足首、さらには足全体の疲労度が軽くなるように思えた。

こうした履き口に伸縮素材のゲイターを装備したシューズは、紐靴よりも、着脱やフィット感の調節のしやすいBOAフィットシステム、さらにはBOAパフォームフィットとの相性が、かなりよさそうだ。

まさに、ストレスフリーな一足といえるだろう。

ハイカーにも興味をもってもらいたい一足

さて、トレイルランニングシューズ、さらにBOAフィットシステム搭載シューズというと、ハイカーの多くは自分には無関係と考えがちだろう。

しかし登山もトレイルランニングも30年近く取り組んでいる私は、ジャッカルⅡ BOAを履いてトレイルを歩き、走ってみて、これからのハイキングシューズの方向性を見たように感じている。

登山道を使う一般的な登山では、岩場はあってもクライミング要素はない。さらにテント泊縦走での装備は、登山ブランドの道具で揃えれば、夏山なら総重量を13kg程度に抑えることは難しいことではない。

そうであれば、登山、ハイキングで選ぶシューズは、荷物の重さに負けない硬いソールを装備、足首をしっかりとサポートするミッドカット以上のモデルというこれまでの常識に囚われる必要はないだろう。

それよりも求めたいのは、違和感のないフィット性、足運びの軽さ、しっかりとした安定感だ。

つまりは、ジャッカルⅡ BOAのようなシューズが、デイハイクから縦走、さらにはファストハイクまで1足でカバーしてくれると思える。無論、縦走で3日以上の山行で使うとなれば、さらに防水透湿性をプラスしたい。けれどもジャッカルⅡ BOAに防水透湿モデルがないので、それは今後に期待したい。現状のメッシュアッパーでは、安定した天候が確実なことがわかっているデイハイク、1泊2日の山行用が基本となる。

最後に、トレイルランニングシューズは、走る人専用のシューズではない。シューズに装備された機能、特長にもよるが、登山シーズンに月2回以上の山行を重ね、山に対応した足、身体ができている人であれば、活用する利点は多くある。

BOAフィットシステム搭載のトレイルランニングシューズ、ジャッカルⅡ BOAを履いてデイハイクから始めてみれば、これまでとは異なる山ジカンを体験できると思う。なにより、登り下り、さらに長時間のハイクで足がムクんできた等、フィット感をダイヤル操作で即座にベストに変更できるので、トラブルなく、存分に登山に集中できるだろう。

2025年モデルは、今回テストしたイエローではなく、上画像のブラックベースとなっている。シックなカラーを好む多くの日本人ハイカーには、より履いてみたいと思わせるもの。是非、山で履き心地、機能を試してみてほしい。

 

スポルティバ公式サイト「ジャッカルⅡBOA」はこちら

 

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登山、ランニング、旅、島、料理、道具をテーマに執筆、撮影。低山ハイクとヨガをMixしたイベント『ちょい山CLUB』を主催する。

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