
フットワーク軽やかなユーティリティパック|オスプレー/タロン22

PEAKS 編集部
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登山ユースをメインとして、総合的にパックを手掛けているオスプレー。山で目立つ中型や大型に主力モデルが多いと思われるかもしれないが、中型から小型でも定番で愛用され続けているモデルが少なくない。
そのひとつが、タロン(女性モデルはテンペスト)。このタロンは、山歩きに限らず、アウトドアの幅広いシーンを想定して作られている。
2025年春、タロンがアップデートを遂げた。今回は、さまざまなアクティビティに対応するこのユーティリティモデルにフォーカスし、パックとしてのポテンシャルを探っていく。
INDEX
文◉PEAKS
写真◉熊原美惠
マルチな使い方ができるバックパック
オスプレーではアウトドアのさまざまなアクティビティに向けたパックを作っているが、基本的には登山、クライミング、スノーなど方向性が定まっているモデルがほとんど。それぞれのアクティビティに最適な作りとなっている。
そんななか、ボーダレスに遊びのジャンルを横断しているのが、今回のタロン(写真)。
タロンは「マルチなスポーツに対応する軽量テクニカルパック」というコンセプトで作られており、具体的には登山、アドベンチャーレースのようなクイックな動きが求められるアクティビティ、バイク(自転車)などで快適に使えるように設計。さらに、その汎用性を活かして、メーカーではタウンユースも提唱している。
そう聞くと、登山の本流から外れているモデルのように感じられるかもしれない。だが、実際にはその汎用性の高さから登山用品メインのショップで長く販売され、多くの登山者やアウトドア好きな人たちから支持され続けている。
このタロンが登場したのは2007年。それから数回のモデルチェンジを経て、2025年春にリニューアルを果たした。作り自体が大きく変わったわけではないが、背負い心地に大きな影響を与える背面の構造をブラッシュアップし、“正統進化”を果たした。
このNewタロンの作りを細かくチェックしていこう。
安定性を生み出すフレームシートを内蔵
前提として、タロンは22L、26L、33L、44Lと4つの容量で展開されている。容量により多少のディテールの違いがあり、今回はデイハイクなどワンデイのアクティビティで使いやすく、シリーズの主力でもある22Lにフォーカスして解説していく。
まず背面をチェックすると、全体がメッシュで覆われているのがわかる。のんびりした登山だけでなく、アドベンチャーレースや自転車など、アクティブな、汗をかき続けるようなアクティビティが想定されているので、通気性を高め、熱をしっかり放出できるようになっているのだ。
さらにその奥には、樹脂製のフレームシートが内蔵されている。下はそのフレームシートのみを取り出した状態(別カラーのもの)。
小型の軽量なモデルの場合、そもそもフレームがなくパッドのみが骨格の役割を果たすモデルも多いが、タロンは激しいアクティビティでも荷重が安定するように、フレームシートを内蔵している。
シートを見ると、背骨の湾曲に沿うように自然なカーブを描いており、その上にパッドが貼り付けられているのがわかる。さらによくチェックすると、全体が洗濯板のような波状になっており、肉抜きの穴が開いているのが見える。
このフラットではない波のような形状が、身体に沿ってしなりを生み出し、さらに肉抜きが軽量化と通気性の向上にも貢献している。クライミング的に身体を大きく動かす、あるいはバイクの際に上半身を湾曲させても、パックが身体から離れにくく、荷重バランスも崩れにくい。
ちなみにこのフレームシートはインジェクション成形と呼ばれる、金型に樹脂を射出する製法で作られている。樹脂を裁断をしていないので端材など廃棄物が最小限になり、結果的に環境負荷の低減にもつながる。
背面長調整システムを一新
タロンのサイズ展開はワンサイズ。前モデルでは「S/M」と「L/XL」の2サイズ展開となっていたが、背面長調整システムの変更に伴い、ワンサイズになった。
前モデル(下の写真)は、ショルダーハーネスと一体化したシート状のパネルの面ファスナーと、フレームシート裏の面ファスナーをずらして背面長を調整する。
よくある仕様だが、調整の際は面ファスナー全体を剥がし、さらにちょうどよい位置にずらしたら今度は全面貼り付けるという手間がある。微調整したくても、また剥がして、貼ってというのは少々面倒だ。
新モデルでは背面長の調整がしやすくなりフィット感も向上。コンプレッションベルトの調整をするように、ストラップを締める、緩めるだけで簡単に調整できるようになった。下の方にラダーロック(調整用パーツ)があり、ストラップを締めれば背面長が短く、緩めると長くなる。
上部はサイドのレールを挟むように樹脂パーツが配されており、これが上下することでショルダーハーネスの位置が変わる。
構造が変わったことで、背負い心地にも若干の違いが生まれた。
前モデルの場合、構造的に背面とショルダーハーネスの間に段差ができ、そのぶんわずかに荷重が離れやすかった。だが、新モデルは構造的に段差が生まれず、ショルダーハーネスが肩にしっかりフィットする。
わずかな違いだが、荷物が重い、あるいはランのように上下の動きが大きいときに、その恩恵が感じられる。
背面と一体化したヒップベルト
しっかりしたヒップベルトがあるのも大きな特徴。機動力重視のラン向けのパックならヒップベルトは省略されるが、タロンは「しっかり背負って、安定させた状態で動く」という発想となっている。
中型や大型のパックでよく見られるような、パックを身体に引き付けるためのスタビライザーはないが、そのままでもパックが身体に吸い付くような感覚がある。
その理由は、ヒップベルトが背面パネルの端に、ほとんど段差がないように縫い付けられているから。
これによりパック自体が身体から離れにくく、さらに背面パネルとヒップベルトがシームレスにつながっているようなフィット感が得られる。
ヒップベルトには左右ともにポケットが付属している。ショルダーハーネスのチェスト部分には収納がないので、このポケットはありがたい。行動食などすぐに取り出したいものを入れておくのに便利だ。
スライダーには大きな引き手が付いており、片手でさっと開閉することができる。
すばやい行動を助ける機能的な作り
走ったり、バイクを漕いだり、アクティブなシーンでストレスなく使えるような工夫も随所に見られる。
トップは雨蓋がなくファスナーで開閉するパネルローディング構造(33Lと44Lは雨蓋が付いたトップローディング構造)。ファスナーを開くというワンアクションだけで中の物を取り出すことができる。ダブルジッパーになっておりスライダーには大きな引き手が付いているので開閉もスムーズ。
開口部の前にもファスナー付きポケットがあり、頻繁に出し入れするものを入れておける。
フロントには大きなメッシュのポケットを配置。行動中に脱ぎ着するシェル、グローブなど、さっと収納したい、取り出したいものの一時保管に使える。
行動中に最小限のアクションですばやく水分補給できるように、ハイドレーションにも対応。
両サイドには大きめのポケットがあり、ボトルを収納できる。前が下がった斜めのカットになっており背負ったままボトルにアクセスもしやすいが、ポケット位置が高めなので人によってはそのままだと出し入れしにくいかもしれない。
登山やバイクで活躍する各種アタッチメント
ギアをパックに取り付けるためのアタッチメント類も豊富。
そのひとつが、オスプレーのバックパック独自の機能「ストウオンザゴー」。トレッキングポールを本体サイドとショルダーハーネスのループに取り付けられるシステムだ。岩場、ハシゴなど行動中に手を使いたいシーンで活躍する。
本体正面にはピッケルホルダーも。背面がメッシュ構造で通気性が高く、いわゆる厳冬期の雪山登山で積極的に使うようなパックではないが、冬でも雪があまり多くない山や残雪期など、春山のような状況で使う際に役立つ。
さらにバイクのシーンで役立つヘルメット用アタッチメントも付属している。
正面部分に樹脂製のバーが取り付けられており、装着時はヘルメットの穴にこのバーを通す。
ヘルメットのサイズや形状にもよるが、装着時は本体からはみ出さず収まるので、枝などなにかに引っ掛けてしまう心配も少ない。
さらに正面の下部には、ライトを取り付けるためのホルダーがある。
この通りライトのクリップなどを通せば装着が可能。ヘルメットを装着していても見えやすい位置にある。
バイクはもちろん、ロードを含めた夜のランなど、夜間に行動するようなアクティビティ全般で活躍する。
ブルーサイン認証を受けたプロダクト
本体に使用されている生地はリサイクル素材を100%使用した100Dのリップストップナイロン。PFASフリーの撥水加工が施されている。
ボトムの生地は強度を重視し、420Dのリサイクルナイロン。こちらもPFASフリーの撥水加工済みだ。
ライニングも含めて、ブルーサイン認証を受けた生地を使用しており、さらにタロン(女性用のテンペストも)自体がブルーサインプロダクトとして認証されている。
ブルーサインとは、端的にいえば持続可能なサプライチェーンで作られた製品に与えられる認証。
マテリアルではなく「プロダクト」に付与されるブルーサインプロダクト認証は、ブルーサイン認証された90%以上の生地や糸、20%以上の資材を用いるなどの製造上の基準を満たし、さらに製造現場で働く人の労働・安全環境、消費者への健康リスクなどに配慮された製品に付与される。
オスプレーでは社会貢献の一環として製品のブルーサインプロダクト化に積極的に取り組んでおり、2025年春時点、全製品の80%がブルーサインプロダクトとして認証されている。
山だけではもったいない万能パック
さまざまなアクティビティがミックスされたアドベンチャーレースも想定しているだけあり、背負い心地や使い勝手も含めて、山歩きも、ランも、バイクも、どれも平均点以上に軽快にこなせる実力を持っているタロン。
今回ピックアップした22Lであればワンデーのアクティビティでオールラウンドに使えるし、さらに容量が大きな26L、33L、44Lであれば、オーバーナイトのシーンでも活躍してくれる。
山に加えてバイクも、あるいは普通の登山もファストパッキングもするなど、遊びの幅が広い人、さらに機動力が高い人こそ、このタロンのポテンシャルを活かし、恩恵に預かることができるはず。もちろんタウンユースも視野に入れれば、自転車通勤、通勤ランなど、使い方の可能性もさらに広がる。
タロンという名前の由来は猛禽類の「鉤爪」。その名の通り、パック正面には鉤爪のあしらいが描かれている。
鉤爪を使って、ミサゴ(=オスプレー)のようにフィールドを、街を自由に飛び回る――。そんなムーブに最適化されているのが、タロンなのだ。
オスプレー/タロン22
- 価格:¥27,500
- サイズ:ワンサイズ
- カラー:ホワイト×ブラック、他4色
- 重量:1.08kg
オスプレー/テンペスト22
- 価格:¥27,500
- サイズ:ワンサイズ
- カラー:フロスティミントグリーン×ボタニカ、他3色
- 重量:1.08kg
企画協力◉ロストアロー www.lostarrow.co.jp/store/
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PROFILE

PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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