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旅の幕開け|100 MOUNTAINS, 100 STORIES. -日本百名山、映像と巡る150日‐vol.2

2025年6月2日、松本で開催した自身のトークショーと登山イベントを終え、いよいよ旅のスタート地点・霧ヶ峰へ。車山肩駐車場には、サポートメンバーやイベントに参加してくれた方も集まってくれた。17時すぎに出発。だが開始早々、軽くパニックに陥った。

今回のプロジェクトのテーマは「映像と巡る」。これまでのYouTube撮影に加え、縦型動画・スチール・空撮、さらにリアルタイムGPS(Garmin inReach mini 2)のセッティングまでこなす必要があり、とても登山に集中できる状態ではなかった。

一眼、ジンバル、スマホ、衛星通信機器……使用機材が多すぎて余裕はゼロ。それでも仲間の協力を得て、18時ごろには山頂に到着。慌てながらも全員で記念撮影を済ませた。

実感が湧かないまま、どこか心の中を映すような曇天の下、150日間の旅が幕を開けた。

文・写真◉TAKE
編集◉PEAKS

孤高の旅がいよいよ始まる

▲4日目、赤岳鉱泉を出発すると空には満点の星空が出迎えてくれた。

2日目はさっそく雨に。松本市内で事務作業をこなした後、3日目から本格的な一人旅が始まった。

美ヶ原、蓼科山をめぐり、すぐに赤岳鉱泉へ移動してテント泊。4日目は深夜に出発して赤岳山頂でご来光を拝み、そのまま瑞牆山へ。5日目は大弛峠から金峰山、甲武信岳を繋ぐ約27km。行動時間は16時間に達した。

この5日間で7座。天候にも恵まれ、スケジュール上では1.4倍の速度で進行できた。スタート直後ということもあってか、アドレナリンが出っぱなしで、集中力も高く、ノンストレス。まるで無双状態だ。だが、それも5日目まで。状況はここから一変した。

▲一眼レフ、ジンバル、スマホ、衛星コミュニケーターなど使用デバイスが多く余裕がなかった。
▲参加してくれたサポートメンバーとイベント参加者、ほかにもリモートで声援を送ってくれたメンバーも。
▲まだ実感の湧かないなか、旅がスタート。

 

連続で登山するということ

▲赤岳より南西には権現岳と9月末の山行を予定している南アルプスを眺め、この旅の壮大さを感じる。

5日目の登山後、脚に違和感を感じていた。ヒザ、アキレス腱に痛みがあり、このままだと翌日の登山は厳しそうだ。6日目は大菩薩嶺と雲取山を予定していたが、雲取山は諦めようとサポートメンバーとミーティングし、断念することにした。

とはいえ、翌週には梅雨入りが予想されており、内心はかなり焦っていた。そしてこのあたりから、「連続で登山する」ということの現実が見え始めてきた。

映像制作だけでなく、天気予報の確認、翌日以降の計画、移動、食事、停滞場所、風呂、ランドリーと、生活に必要なこと、そのすべてをこなさなければならない。頭ではわかっていたけど、「想像」と「現実」はやっぱり違った。

実際にやってみて初めてわかるのは、登山そのものよりも、そこに付随する“要素”が旅の難しさを際立たせてくるということだ。

そんななかで、浮き彫りになってきたのが以下の課題。

① 体力面

連続で行なう登山自体は意外と苦ではなかった。しかし1日20kmを超える行動が続くと、ヒザを中心に脚へ確実にダメージがくる。とくに行動中ではなく夜間や睡眠時に痛みが出ることが多く、湿布・アイシング・マッサージ・サポーターで対応。下山時はトレッキングポールを使用して負担を軽減した。

② 計画面

電波が弱いフィールドが多いため、情報収集が難しい。天気予報が読めないと、次の目的地もどこに行っていいかわからなくなる。また、サポートメンバーがいるものの、天気だけでは判断はできない。体力や実際の行動時間なども影響するため、毎度毎度計画を調整しなければならないことが精神的に余裕を削った。

③ 準備面

入山届、登山計画、装備準備、食料調達、撮影・配信計画──やることは膨大だ。移動が長ければ長いほど準備に割くことができる時間は奪われる。サポートメンバーの協力を得ながら、ルーティンをリスト化し最小限の立ち回りで行動する。じつは登山中こそが、一番リラックスできる時間かもしれない。

④ 生活面

帰る家がないというだけで、睡眠や健康管理の難易度が一気に上がる。車中泊での睡眠や、外食中心の偏りのある食事だと体への負担は募る一方だ。極力睡眠時間を確保しながら、和食中心の消化しやすい食事とカロリーバランスを意識し、生活をしている。

⑤ メンタル面

不思議と孤独やストレスはいまのところ感じていない。SNSでの応援や、日々サポーターと連絡を取れていることが大きいかもしれない。ただ、この先、長い旅が続くなかで心が揺れる瞬間は必ず来るだろう。だからこそ、そのときに備えて、心のケアや気分転換の手段も、いまのうちから意識して持ち続けておきたい。

 

▲旅の装備・機材を詰めて車中泊を行なう。

支援が力に

▲早速、仲間たちが差し入れを持って現地応援に来てくれた(6日目:大菩薩嶺にて)。Photo by Ryosuke Aizawa

ありがたいことに、旅のスタートと同時に多くの方から応援や支援をいただいている。なかには、公式アカウントで発信した翌日の予定を見て、現地まで会いに来てくれる方までいる。

そんな期待に応えたくて、確実に足取りが軽くなる。

リアルタイムGPSを中心とした「いまを共有する」仕組みが、たくさんの人を巻き込むきっかけになったのは間違いない。ぜひ今後も、公式InstagramやWebページから発信されるスケジュールを、みなさんの山行計画のヒントにしてもらえたら嬉しい。

大切なことを忘れない

▲残り92座!まだまだ頑張ります。(大菩薩嶺までの6日間で8座に登頂。内1日休み)。

応援されるほどに「もっと早く進みたい」という気持ちが出てきてしまう。だがそれは、ときに「勘違い」を生む。

早く進むなら、軽装にして撮影を減らし、下山は駆け足でこなせばいい。でもそれを続けたら、目的だった「百名山の全映像化」も、そして身体も、壊れてしまうかもしれない。

自分はアスリートじゃない。スコアを競う旅ではない。本当に届けたいのは、美しい日本の山の風景。
それを忘れずに、今後もこの旅を進めていきたい。

次は関東、上越、そして東北へ。未知なる世界へと北上する。
みなさんの応援が、なによりの力です。— TAKE

『100 MOUNTAINS, 100 STORIES.』公式サイト

 

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PROFILE

TAKE

TAKE

親の影響で子どものころからアウトドアになれ親しみ、社会人になってからは“”テント泊登山“にハマり、まるで冒険をしているかのような山行スタイルに没頭してから気づけば今年で9年目。映像撮影は趣味から始め、いまでは作品として残すことが生きがいになっています。YouTubeにて「TAKE CHANNEL」を配信。

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親の影響で子どものころからアウトドアになれ親しみ、社会人になってからは“”テント泊登山“にハマり、まるで冒険をしているかのような山行スタイルに没頭してから気づけば今年で9年目。映像撮影は趣味から始め、いまでは作品として残すことが生きがいになっています。YouTubeにて「TAKE CHANNEL」を配信。

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