アウトドアめしの新常識!? 山岳部伝統の「ペミカン」が超便利だった
PEAKS 編集部
- 2019年06月24日
山などアウトドアのフィールドでの食事を趣味にしている人は少なくない。が、「ペミカン」という食べ物を、あなたは知っているだろうか? 「懐かしい!」と思った方は、ある年代以上の方だろう。硬派な山ヤ、あるいは山岳部出身者かもしれない。
「ペミカン」とは、少し前まで山岳部の中では常識だった、登山の際に必ず用意していく保存食のことだ。が、フリーズドライ食品をはじめ、軽くて美味なインスタントフードが登場してきたことによって近年ではその存在は薄れつつある……。
しかし、あえてここで再度ペミカンの意義を問いたい。このペミカン、実は山メシをグレードアップさせる“必殺技”でもあるのだ。
ペミカン=野外での調理を簡単・効率よくする「下ごしらえ」の集大成
その起源は、北米インディアンが食べていた、ドライフルーツや干し肉を、ラードなどの動物性脂肪で密閉凝固させることで保存性を高めた保存食「ペミカン」から。交易で長期間移動するときに携帯され、調理に使われていた。ぱっと見たビジュアルは、ちょっとぎょっとするかもしれない。が、そのままで食べるわけではない。つまり、外での調理を可能な限り簡単かつ効率よくするために発達した「下ごしらえ」の集大成なのだ。
ペミカンさえ準備しておけば、これひとつで具材も油も完結。投入すれば、少しの手間だけで料理が完成するので時間短縮、手間短縮、持ち物削減。さすがにドライフードには敵わないが、火も通しているし、油や塩分でコーティングされているので保存性も高い。お湯を注ぐだけで完成する食事もおいしいけれど、自分で作った“手料理”が食べたい、という人にはぜひお試しいただきたい。
さっそく公開! これが「ペミカン」の作り方だ
調理した具材をバターやラードなどの動物性脂肪でコーティングするということ以外には、明確な作り方のルールは存在しない。ここでは、基本的なペミカンの作り方をご紹介(『PEAKS 2016年2月号』より)。“入門編”をマスターしたら、お好みの材料を使った自分だけの“オリジナルペミカン”にもトライしてみよう。
[材料]
野菜類
ピーマン、ニンジン、タマネギをベースにすると、さまざまな料理に使いやすい。キノコ類を入れると風味がよくなるのでおすすめ。
肉類
一度加熱してある肉ならば種類はなんでも問題ない。ひと口サイズに切っておいて、中までしっかり火を通しておくことがポイント。
動物性脂肪
今回はバターを使用するが、ラードを使用してもよい。バターのメリットは、調理の際の汎用性の高さ。ラードのメリットはその溶けにくさだ。
塩・コショウ
基本的にペミカン自体の味付けは、塩・コショウだけで十分。調理に使用するので、塩分は控えめにし、好みでスパイスやハーブを加えても◎。
[作り方]
1. ピーマンをみじん切りにする
ピーマンはタネを取り除いてからみじん切りにする。加熱すると水分が抜けて小さくなるので、少し多めに用意しておく。バターを丸々ひとつ使うなら、4個が目安。
2. タマネギは薄くカット
野菜のなかでは、タマネギの分量をもっとも多くすると味が安定する。ピーマン同様、加熱で体積が大幅に減るので、多めに切って準備しておこう。目安2個。
3. 肉は火が通りやすいサイズに
肉は生焼けのまま固めてしまわないように、短時間でも火が通りやすいサイズに加工しておくとよい。ベーコンやハムを使えばよりラクに作れる。
4. 肉は先に炒め、別皿に
バターで肉を炒め、火が通ったところで別皿に移しておこう。野菜といっしょに炒めるとコゲてしまいやすい。肉の油とバターはフライパンに残したままでOK。
5. 残りの野菜類をすべて炒める
火が通りにくい根菜から炒めはじめ、順次残りの野菜を炒めていく。ここでしっかり野菜の中の水気を飛ばしておくことが重要!
6. バターを湯せんで溶かしておく
炒めた野菜のあら熱をとる間に、バターを湯せんで溶かしておく。今回のレシピではバターをひと箱使用。好みに応じて使用量を増減させても問題ない。
7. 具材を容器に多めに入れておく
具材が少ないと、固めたとき下部にバターのみの層ができてしまうので、ちょっと多すぎると思うくらいの量を入れてしまってちょうどいいだろう。
8. 溶かしたバターを流し入れる
具材を保存容器に入れたら、そこにバターを流し入れる。固まったときに取り出しやすいように、あらかじめラップを敷いておくと便利だ。
9. 冷やしてしっかり固めればできあがり
冷蔵庫に半日ほどおいておけば、しっかり凝固する。写真のように、下にバターの層ができないようにしたいときは、定期的に容器を裏返すと偏りにくい。
こうして下準備したペミカンを、ルーと合わせればカレーやシチュー、ごはんと合わせればチャーハン、味噌汁、パスタ……使い方は無限大だ。
なんだか、普段の常備菜としても活用できる気がしてきた。とても便利なペミカン、もしかすると山にその存在が復活する日も、遠くない、かもしれない。
具体的なペミカン活用レシピもまとめてみたので、こちらの記事も合わせてどうぞ。
→アイデア次第で無限に広がる! 山メシの新常識「ペミカン」活用レシピ
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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