大山(ヤビツ峠) 登山ルート「富士山の展望を求め、整備され歩きやすい屋根道をゆく」
PEAKS 編集部
- 2019年10月04日
INDEX
ヤビツ峠の「ヤビツ」は合戦に使う矢の入れ物、矢櫃からきているそう。大山(丹沢)は、昔から信仰の山としていくつかの登山ルートが整備されている。今回は美しい富士山の姿が見られる、ヤビツ峠からイタツミ尾根を経由する登山ルートを紹介しよう。
ルート概要
ヤビツ峠バス停→25丁目→大山→見晴台→日向薬師バス停
歩行時間
3時間55分
日程
日帰り
技術
★☆☆☆☆
体力
★☆☆☆☆
レベル
初級
ヤビツ峠(大山)登山ルートへのアクセス
公共交通機関
新宿駅から小田急電鉄小田原線急行で秦野駅へ。ここで神奈川中央交通バスに乗りヤビツ峠へ。平日午前中のバスは8時25分発のみ。土・日曜・休日は、これに7時44分、9時4分、9時24分の3本が追加される。新宿駅~秦野駅1時間20分。秦野駅~ヤビツ峠50分。帰路は日向薬師バス停から小田急電鉄伊勢原駅までバス(20分)を利用します。神奈川中央交通バスTEL.0463-95-2366
車
縦走ルートなので車は不向き。ヤビツ峠に駐車して山頂をピストンする。
ルートプラン
歩行距離:9km
登山口:ヤビツ峠
下山口:日向薬師バス停
高低差:1,100m
小田急線の秦野駅からヤビツ峠へ向かう路線バスに乗る。丹沢でもめずらしい、展望に優れた山岳路線。終点のヤビツ峠からイタツミ尾根に入り大山を目指す。危険な場所のない尾根道。天気がよければ富士山や相模湾を眺めながらの極上の山歩きが楽しめることも。大山山頂は広く、展望にも優れているので多くの登山者がここを訪れるのも納得だ。ベンチがたくさん並ぶ見晴台で休憩をしたら、里山の雰囲気を味わいながら日向薬師方面へ下りる。
ヤビツ峠
↓1時間
25丁目
↓15分
大山
↓20分
不動尻分岐
↓40分
見晴台
↓1時間
九十九曲入口
↓40分
日向薬師バス停
ヤビツ峠(大山)登山ルートの詳細ガイド
ヤビツ峠まで山岳風景を楽しもう
秦野駅からヤビツ峠へ向かうバスの乗客の多くは登山者。彼らは間違いなく終点まで行く。秦野駅前のバス停に並ぶ人数が多いと増発便が出るので、ほとんどの人は座っていけるはず。バスが山岳地帯を登るようになると、丹沢表尾根が見えてくる。乗客の半分はこの表尾根から塔ノ岳を目指すのだ。
残りの乗客はイタツミ尾根から大山を目指すことに。次回、ヤビツ峠を訪れるときは、塔ノ岳に挑戦してみては?ヤビツ峠のバス停から左へ向かう人たちが塔ノ岳を目指す登山者だ。大山登山はバス停後ろの階段を登ることからスタート。歩き出す前にトイレを済ませておこう。
階段を登ったところが広場になっている。以前ここは小屋が建っていた場所で、バックパックや靴紐の確認をしておこう。登山道にはササが茂っているが、下刈りされ歩きやすくなっている。右の樹木の間から陽に輝く相模湾が。土砂の流失止めを兼ねた丸太の階段を登るようになると、少し勾配がきつくなるので、呼吸に合わせたリズムで進むことを心がけよう。
この登りで高度を稼ぐ。階段登りから土の道になると上空が開け、後方に富士山が。土の感触が心地よく感じられる尾根道だ。大山コース1の看板が立つところにベンチが置かれているので、ここで最初の休憩に。水分を補給したら、体が冷えないうちに出発しよう。
広い尾根道を進むと、手摺り代わりの鎖が張られた岩場に差し掛かる。しかし、危険はないのでゆっくりとクリアしよう。その後も比較的広い尾根道を行くことに。後方に見える富士山がさらに大きくなるように感じられる。
丸太の階段から木道に入ると少しずつ上空が開けてくる。振り向くと表尾根の上に富士山の大きな山容が見えるので、撮影ポイントにするといい。しばし、眺めを堪能。ここからわずかに進むと、表参道と合流に。この合流地点が25丁目、阿夫利神社下社から登ってくる人と出会う場所だ。
足元の悪い石段を登って山頂へ
25丁目を左へ。ほぼ直線的に登る登山道だ。距離的には200mほど。最初は岩が転がる道なので足元を確認しながら、できるだけ岩には乗らず土の部分に足を置こう。この部分を登ると26丁目だ。さらに、補修された道を進むと鳥居をくぐると左に富士山が見える。足元の石段を確認しながら登ると大きく右にカーブ。ふたつ目の鳥居をくぐると、左に小さな建物が見えてくる。その先が大山山頂だ。
登り着いた山頂は広く、奥の院の前とその一段下が休憩ポイントになっている。不定休ながら茶店もあり。南側に立っているのが御神木の「雨降木」。その後ろには相模湾の大海原が。都心部分や横浜、三浦半島、伊豆方面なども眺められる。時間の許す限りのんびりしていくとよいだろう。また、山頂のトイレ前辺りにはモミの大木が立っている。
緑濃い林を下って見晴台へ
山頂からトイレのある広場を抜け、なだらかな道を歩く。後方に山頂に建つパラボラアンテナが見えてくると、南東に向きを変えて林のなかをジグザグに下るように。下り勾配のある登山道だ。それほど道幅があるわけではないので、すれ違いには注意しよう。
こうした登山道では下っている側が状況を判断する必要がある。ベンチのある斜面に出ると横浜方面が眺められるポイント。眼下に見えているのが見晴台で、ここで少し休憩したら出発する。不規則にジグザグを繰り返しながら下る。鎖場や岩場はないが、すれ違う人が多くなるので注意。待つ場合は必ず山側に立つことを忘れずに。道が平坦に近くなると見晴台に到着する。
見晴台は広く、ベンチがたくさん置かれている。東屋もありますが、混雑しているときは先客がいると思ったほうがいいだろう。ここでは横浜方面が展望できる。
照葉樹に囲まれた道をゆったり歩く
見晴台から日向薬師方面へ下りる。ゆるやかな勾配で広く気持ちよくジグザグに進んで行くと、日向ふれあい学習センター前に出る。ここで山道は終わり、簡易舗装された道を歩くことに。日向川に沿った道には浄発願寺や石雲寺などの史跡が並んでいる。また、アウトドア施設もたくさん。この道の終点が日向薬師バス停で、伊勢原駅まで20分だ。
周辺には温泉施設も多いので、汗を流して帰るのもいい。
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ヤビツ峠(大山)登山カレンダー(該当月の1日)
ヤビツ峠(大山)データ
標高:大山(おおやま)1,252m
登山適期:3月~7月中旬、9月~1月中旬
営業小屋:なし(山頂に茶店、不定休)
避難小屋:なし
水場:なし
トイレ:ヤビツ峠、大山山頂、九十九曲入口手前、日向薬師バス停
ビューポイント:イタツミ尾根、大山山頂、見晴台
連絡先:伊勢原市観光協会TEL.0463-73-7373
江戸から続く信仰の山を歩く
江戸時代から続く大山詣。江戸庶民にとって大山に詣でることは憧れだったようだ。当時は表参道から丁目石を目印に登ったとのこと。現在でも信仰登山は盛んで、例祭のときなどは白装束の信者たちが表参道を登る姿を見かけることも。現在、大山に登るルートは、イタツミ尾根~、表参道~、日向薬師~があります。なかでもイタツミ尾根からの登山は、信仰登山とはかけ離れている。「信仰の山」と意識できるのは表参道と合流する25丁目から。江戸庶民が「人生のなかで一度は大山詣に……」と憧れた大山山頂に立っていることに感謝したい気持ちになる。
アドバイス
標高がそれほど高くない山だからといって油断していると、とんでもないしっぺ返しを食らうこともしばしば。ここに記載している所要時間はあくまでも目安なので余裕をもって計画は立てよう。また、天候や自分の体調によっては、中止することも検討しよう。山はいつまでもそこで待っていてくれる。どんなにその山が低くても、謙虚に向き合うことで、山はあなたを優しく迎え入れてくれるだろう。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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