至仏山 登山ルート「固有植物も多い尾瀬の名峰で花と展望をゆったり楽しむ」
PEAKS 編集部
- 2019年10月04日
INDEX
ルート概要
鳩待峠バス停→山ノ鼻→高天ケ原→至仏山→小至仏山→オヤマ沢田代→鳩待峠バス停
歩行時間
6時間5分
日程
日帰り
技術
★★☆☆☆
体力
★★☆☆☆
レベル
初級
至仏山 登山ルートへのアクセス
公共交通機関
東京から上越新幹線に乗り、上毛高原駅で下車。戸倉行きの関越交通バスに乗り終点で下車。鳩待峠行きのバスに乗り換え、終点で下車。上越線沼田駅から戸倉行きバスも利用できる。その場合、戸倉まで1時間30分。大清水行きバスに乗り、戸倉で下車してもいい。
車
関越道沼田ICを出たら国道120号線を左折、日光・尾瀬方面へ。鎌田で左折し、国道401号線、県道を経て戸倉着。有料駐車場に車を駐め、関越交通バスや乗合タクシーで鳩待峠へ向かう。
ルートプラン
歩行距離:10.5km
登山口:鳩待峠
下山口:鳩待峠
高低差:630m
鳩待峠バス停
↓1時間
山ノ鼻
↓2時間30分
高天ヶ原
↓30分
至仏山
↓35分
小至仏山
↓20分
オヤマ沢田代
↓1時間10分
鳩待峠バス停
例年6月末までの残雪期は登山道が閉鎖される。残雪で登山道が寸断され、登山道をはずれて歩くことで植生を傷めるからだ。したがって登山シーズンは7月上旬から。残雪が多い年は解除が遅れることもあるので確認をしてから計画を立てよう。
花が目的なら7月がおすすめ。至仏山~オヤマ沢田代の稜線に露出する蛇紋岩は濡れると滑りやすく、とくに雨のあとの下りはスリップに注意を。今回ご紹介する山ノ鼻先から至仏山に登る東面登山道は上り専用となる。
至仏山 登山ルートの詳細ガイド
日本海と太平洋の分水嶺の山に登る
燧ヶ岳(ひうちがたけ)と並んで日本百名山に選定された至仏山。深田久弥が厳父にたとえた燧ヶ岳と対照的に、慈母に例えられるような優しい山容が印象的だ。標高も100mあまり低いうえ、今回紹介するルートは標高約1,600mの鳩待峠(はとまちとうげ)からスタートするので、燧ヶ岳よりずっとラク。アクセスもよく、高山植物の豊富さや展望のよさとあいまって、日帰りできる百名山のなかでもとくに人気がある。
登山口の鳩待峠からも至仏山に直登もできるが、今回は山ノ鼻から尾瀬ヶ原の展望に優れた木道や石段を急登して、至仏山のピークを踏み、オヤマ沢田代から鳩待峠に戻る周回コースを歩いてみよう。
鳩待峠のバス停から2~3分で鳩待山荘や休憩所のある峠に到着。トイレを利用して山ノ鼻へ向かおう。すぐに石の階段は濡れていると滑りやすいので、注意しながら下りていく。
石段が終わると階段下りから木道を歩くことに。滑りやすいところには木道の上にプラスチックの網が張られている。左上に見えるのが至仏山。川上川を渡って山ノ鼻に入ると、ビジターセンターのほか小屋が3軒建っている。ここが尾瀬ヶ原の入口だ。
森林限界の上は高山植物が豊富
山ノ鼻を左へ進む。突き当たりが至仏山の登山口。ここからは上り専用の道になる。石段や丸太の階段が交互に現れる急登だが、高度が上がるに連れて尾瀬ヶ原が見えてくる。単調な木の階段を登るようになると、ユキワリソウやホソバヒナウスユキソウが咲くエリアになり、ベンチが置かれた高天ヶ原に到着。ここから30分歩けば至仏山山頂だ。そこは360度の展望が自慢の広い山頂。尾瀬ヶ原から燧ヶ岳が前方に広がり、奥日光から赤城山、武尊山、谷川連峰、越後駒ヶ岳まで見渡せる素晴らしい景観が待っている。
ここから小至仏山までは蛇紋岩が広がる滑りやすい道を下っていく。鞍部から少し登ったところが小至仏山山頂。ここも至仏山同様、展望に優れている。
小至仏山から長い階段を下っていくと、オゼソウやシブツアサツキ、カトウハコベ、ジョウシュウアズマギクなど蛇紋岩地特産の貴重な高山植物がお出迎え。それらを観賞しながら歩いていこう。
ハイマツ帯を抜け、笠ヶ岳方面へ向かう道を右に分かれる。ここが悪沢岳分岐。すぐ下がオヤマ沢田代だ。樹林帯を抜けると尾瀬ヶ原や燧ヶ岳の展望に優れた原見岩に到着。しばらく展望を楽しんだら、道なりに下っていく。1866.9m峰の南側を抜けて亜高山性の常緑針葉樹林帯へ。
ブナ林を歩くようになると鳩待峠はもうすぐ。休憩所で少し休憩してバスに乗るとしよう。
至仏山 登山カレンダー(該当月の1日)
至仏山 山データ
山名:至仏山(しぶつさん)
標高:2,228m
登山適期:7月上旬~10月上旬
営業小屋:鳩待山荘、至仏山荘、国民宿舎尾瀬ロッジ、山の鼻小屋
避難小屋:なし
水場:鳩待峠
トイレ:鳩待峠
ビューポイント:至仏山の稜線~オヤマ沢田代
連絡先:片品村観光協会(TEL.0278-58-3222)、関越交通バス(TEL.0278-23-1111)
余裕をもった計画を
歩行時間は6時間ほどだが、登山の常として余裕をもって行動できるように計画を立てよう。また夕立を避けるなどの意味でも、早めの登山と下山を心がけることが大切だ。マイカーなら早朝のシャトルバスに乗れるが、公共交通機関利用で早着きできないときは戸倉か鳩待峠での前泊、もしくはツアー会社などが運行する夜行バスの利用も検討してみよう。
東面登山道は過去に登山禁止だったことがある。それは、高山植物の踏み荒らしや盗掘が続き、絶滅の危機に瀕したから。登山禁止前は山ノ鼻まで下ることができたが、下りの方が負荷がかかるため現在は上り専用。そういった経緯からもルートから外れることなく、山を大切に守っていこう。
アドバイス
ここに記載している所要時間はあくまでも目安。自分の経験や体力と相談しながら、前日に麓で宿泊したり、山小屋に宿泊するなど、ゆとりある計画を立てよう。また、天候や自分の体調によっては、中止することも検討を。山はいつまでもそこで待っていてくれる。「家を出るときから帰宅までが山登り」ということを忘れずに、存分に山を楽しもう。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。