天狗岳 登山ルート「渋ノ湯を始・終点にして東天狗岳と西天狗岳をめぐる1泊2日の山旅」

都心からアクセスも良く、登山者のレベルに合わせて楽しめるのが八ヶ岳です。日帰りでも一泊でも楽しめますが、一泊すると行動できる範囲が広がります。今回は、渋ノ湯を起点として黒百合平で一泊、東・西天狗の山頂をめぐる周回ルートを紹介します。

渋の湯→黒百合平→天狗岳→ニュウ→白駒池→高見石→渋の湯
[歩行時間]10時間15分
[技術]★★☆☆☆
[体力]★★☆☆☆
[レベル]中級

天狗岳 登山ルートへのアクセス

電車:新宿駅からJR中央本線の特急で茅野駅へ。ここから渋ノ湯までアルピコバスを利用します。乗車時間はおよそ1時間ですが、1日の本数が少ないため、事前にチェックしておきましょう。

車:周回コースのため、マイカー登山向きのコースでもあります。中央自動車道の諏訪ICから国道152号線、299号線を走行すれば渋ノ湯に到着。終点に渋御殿湯の有料駐車場1日1,000円、収容台数30台があります。宿のフロントで受付を済ませて、指定の場所に駐車するシステム。

ルートプランと所要時間目安

歩行時間:10時間15分
歩行距離:15km
登山口:渋ノ湯
下山口:渋ノ湯
高低差:800m

南八ヶ岳と北八ヶ岳の境界線にそびえる天狗岳。南八ヶ岳の特徴を持つ岩稜の山でもあり、深い樹林帯に包まれた北八ヶ岳独特の雰囲気を持つ山でもあります。山頂は東と西に分かれていますが、どちらも展望に優れているため、景色が目的の登山者が圧倒的多数です。また、天狗岳登山の最前線基地になる黒百合平には人気の小屋が建ち、テントサイトが広がっています。さらに高山植物が観賞できるエリアでもあります。できればここに1泊して八ヶ岳の豊かな自然を存分に楽しんでみたいもの。

渋ノ湯

↓2時間30分

黒百合平

↓1時間50分

西天狗

↓1時間10分

中山峠

↓2時間15分

白駒池

↓1時間

高見石分岐

↓1時間30分

渋ノ湯

天狗岳 登山ルートの詳細ガイド

人気のある黒百合平を目指す

渋ノ湯から黒百合平を目指すルートは厳冬期でも多くの登山者が歩いています。黒百合平に建つ黒百合ヒュッテが通年営業で、ここを拠点にして冬山体験ができるからです。夏にはテントサイトが大変にぎわいますよ。

渋ノ湯の登山補導所に登山届を提出して出発しましょう。トイレを済ませておくことも大切。

渋ノ湯登山口の奥蓼科補導所。ここに登山届を提出してから出発します。

すぐに樹林帯を歩くようになります。日当たりはありませんがその分、林床のコケがきれいな道。北八ヶ岳の特徴のひとつにコケがあります。水分を含み、まるで絨毯のような林床が広がる森もあります。

賽ノ河原方面からの道が合流してきます。合流点に黒百合平の道標が立てられています。この先で急勾配の道に。しかも、木の根が露出したりぬかるみも多くなるので、ゲイターを装着して歩きましょう。雨上がりなら、レインウエアを着ると無難です。

唐沢分岐に着いたら、少し休憩しましょう。小さな広場です。水分の補給をしたら出発。この分岐をすぎると勾配は少しゆるんでくるようです。ただし、ぬかるみが多いので、注意が必要です。

30分ほどで唐沢方面への分岐に到着。コケと岩に覆われたところです。ここも直進します。木道や木の橋などを歩く箇所もありますが、基本的に沢沿いの道なので、濡れていることが多いです。上空が開けてきます。岩塊の道をわずかに急登すれば黒百合平に到着。目の前に建っているのが黒百合ヒュッテです。小屋の前がテントサイトになっています。

登山者のオアシス的存在の黒百合ヒュッテ。人気の山小屋です。

東・西天狗の山頂に登ってみよう

黒百合平は名称どおり、クロユリの群生が鑑賞できるところとしても知られた場所。年中無休で営業する黒百合ヒュッテ目当ての人も少なくありません。

今夜はここに宿泊します。到着した時刻が早ければ天狗岳をピストンしてきましょう。往復で3時間ほど。受付を済ませたら貴重品と水、行動食、雨具などを持って出発。ただし、天候が悪かったり、崩れそうなときは翌日の楽しみとして取っておきましょう。

黒百合平から天狗岳に登るコースは2本あります。直登ルートと中山峠からアタックするルートです。

黒百合平と中山峠は5分の距離なので、どちらからアプローチしてもOK。ここでは直登して、中山峠に下ることに。

黒百合平からいきなり斜面の道を登ります。急登ですが危険はありません。それほど苦労することなく、溶岩台地に乗ることができます。スリバチ池が見えてきます。その奥には池塘や潅木、草地が広がり、まるで箱庭のような景色を楽しめます。

溶岩台地を抜けて、岩礫の道をあえぎながら登ります。中山峠からの道が左から合流してきます。ここからザレた斜面を登りきれば東天狗の山頂です。

東面が切れ落ちた東天狗山頂。小広い台地という雰囲気のピークです。南側に見えているのは八ヶ岳の主峰、赤岳。その手前に硫黄岳の爆裂口も見えています。

東天狗山頂から見た西天狗。この稜線をたどって西天狗に向かいます。

 

東天狗山頂から西天狗山頂にいってみましょう。馬の背のような稜線ですがザレています。鞍部まで傾斜のきつい道を下ります。鞍部から岩の多い道を登れば西天狗山頂に到着です。ハイマツとシャクナゲに囲まれた山頂は広く開放的。展望も東天狗と同様にいいのです。

広場のように広い西天狗。東天狗とはまったく違う様子に戸惑う人もいるそう。

西天狗から往路を東天狗に戻り、中山峠へ下ります。岩が多くガレたりザレたりした道です。急降下する箇所もある道なので、転倒に要注意。樹林帯まで下りてくればすぐに中山峠。

ここを左に5分歩けば、黒百合ヒュッテが建つ黒百合平に戻ることができます。翌日に登る場合も、余分な荷物をヒュッテに預けて、紹介コースを歩き、荷物をピックアップして、ニュウへ向かいます。

 

落ち着いた樹林帯を抜けてニュウへ

中山峠は樹木に囲まれ、展望を得ることはできません。ここからニュウを目指します。

ニュウとは稲子岳の北にある岩峰のことを指します。天狗岳や硫黄岳のほか白駒池や雨池などの展望がいい場所です。

中山峠から比較的落ち着いた樹林帯の道を進みます。立ち枯れた木々と林床のコケのバランスが美しいです。北八ヶ岳を代表する光景の広がるエリアです。ゆっくりと楽しみながら進みましょう。一本道で迷うことはありませんが、途中で高見石に抜ける登山道との分岐が。ここは道標に従い右へ、倒木の多い細い道に入ります。木の根が張り出した道。この樹林帯の終点がニュウです。巨岩で組まれたような頂点は狭く、その下の岩場が休憩ポイントになっています。

ニュウ直下の岩場。最高の休憩ポイントです。とくに風のあるときは絶好の避難場所に。

 

ニュウから白駒池を目指します。深い樹林帯の道を進みます。ゆるやかな下りから平坦な道に入ります。ミヤマクサゴケというコケで知られるニュウの森を抜けると、白駒荘への道標に出合います。

この道標に導かれるようにして、白駒湿原に入っていきます。木道が続くエリアです。ナナカマドやトウヒといった木々が茂っています。すぐに白駒池の湖畔に出ます。水辺で少し休憩しましょう。北欧のようなロケーションが広がるエリアです。

高見石から渋ノ湯に戻る

白駒池から高見石に向かいます。湖畔から道標に従って樹林帯に入ります。高見の森です。この森を代表するのが、コセイタカスギゴケ。林床に大きな群落を作っています。

湿り気の多い森のため、木道も土の道も濡れていることが多々あります。しかし、この湿気が貴重なコケを生育しているのです。我々は彼らの生活圏にお邪魔しているわけですから、我慢して歩きましょう。この森を抜ければ、高見石小屋に出ます。

多くのリピーターがいる高見石小屋。夜空の星を鑑賞することも可能。一度は宿泊したい憧れの山小屋です。

高見石小屋の前で休憩したら登山口へ

開けた台地に建つ高見石小屋。リスがご飯をねだりにくることで知られる山小屋でランプの宿としても有名です。ここでしばし休憩しましょう。

ここから渋ノ湯の道標に導かれるようにして歩きます。高見石分岐で賽ノ河原、渋ノ湯方面へ進路を取ります。樹林帯に延びる道です。

樹林帯を抜けると岩が堆積した斜面を下るように。岩に○印が付けられているのでそれに従います。岩の上を歩きますが、意外にスムーズに下ることができるはず。ここが賽ノ河原です。地蔵仏をすぎてしばらく行くと樹林帯に入り、次第に岩は少なくなります。沢沿いの道から登山道に入り、道標に従えば渋ノ湯に戻ることができます。

登山カレンダー(当該月の1日)

天狗岳 山データ

山名と標高:天狗岳(天狗岳)2,646m(西天狗)
登山適期:6月中旬〜10月中旬
営業小屋:黒百合ヒュッテ、白駒荘、高見石小屋
避難小屋:なし
テントサイト:黒百合ヒュッテ、高見石小屋
水場:小屋にて有料
トイレ:渋ノ湯、黒百合ヒュッテ、白駒山荘、高見石小屋
連絡先:茅野市観光まちづくり推進課TEL.0266-72-2101、アルピコ交通バスTEL.0266-72-2151

登山を楽しむ皆さんへ

首都圏からのアクセスがよく、多くの人たちが訪れています。とくに黒百合平や白駒池近辺は1年中、登山者がいます。山に登らなくても、山小屋で1日のんびりすごすのも活力に。黒百合平のテントサイトで1日をすごすのも楽しいでしょう。
時間があれば、天狗岳から赤岳方面へ縦走したり、本沢温泉に抜けて野天風呂に浸かるのも思い出になるはず。
歩行時間を10時間15分と設定しましたが、初級者だと15時間以上かかることもあります。

登山をするにあたって

ここに記載している所要時間はあくまでも目安です。自分の経験や体力と相談しながら、前日に麓で宿泊したり、山小屋に宿泊するなど、ゆとりある計画を立てましょう。また、天候や自分の体調によっては、中止することも検討してください。山はいつまでもそこで待っていてくれます。「家を出ることきから帰宅までが山登り」ということを忘れずに、存分に山を楽しんでくださいね。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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