Kadoya 角 敏明さん(神奈川/横須賀)|良い山道具選びは、良いお店選びから。
PEAKS 編集部
- 2019年11月24日
ヨコスカ、ドブ板ストリートの宝箱。
大好きなギアを眺めながら、酒が飲めたら最高だよね。
スカジャン、水兵、ダーツバー。GIカットのネイビーたちが闊歩し、スラングまみれの英語が飛び交う横須賀ドブ板ストリート。星屑がきらめき、胸騒ぎが躍る“日本一有名な裏通り”にその店はある。「83年にヨコスカの上町で最初の店を始めたんだけど、当初は飲食店だったんですよ」と店主の角敏明さんは言う。「その頃僕はヒッピーみたいな暮らしをしててね。山に入っているか、テン泊しながら渓流釣りをしてるかだった。だから店にも自分の好きなギアを並べて売ったりしてたんだけど、徐々にその比率が逆転していって、いつのまにか山道具屋になっちゃった」
そんな手作り感満載の店だが、ほかのどんな店よりもスペシャルなのは、店内にバーを併設していることだ。その名も「KadoyanoBAR(カドヤのバール)」。飲食への想いを絶ちがたく年に店舗の一部を改造してオープンさせた。当初はこちらも角さんが切り盛りしていたが、現在は店の常連客だった中谷真司さんがマスターを務める。
アウトドアショップとしてのKadoyaがオープンしたのは90年のこと。当初はA&Fが取り扱っていたキャンプ道具がメインだったが、他にも南カリフォルニアの伝説的なショップ『ADVENTURE16』やカナダのアウトドア生協『MOUNTAINEQUIPMENTCOOP』から直接ギアを買い付けるなど、大手ショップにはない独自のカラーを打ち出していた。「基本的には自分で使ってみて気に入った山道具だけを厳選して置いてます。僕は渓流釣りが大好きなんでそっち方面のモノは充実していると思いますね」
売れるから置くのではなく、好きだから売る。そうやってできあがった店内にはヨソにはない独自の宇宙があり、訪れるものの心を震わせる。天井からぶら下がっているウッドガンネルが美しいカナディアンカヌーは90年代のナバロ社のものだし、手作りの飾り棚の上にはウォーターシップのヴィンヤードヘブンのデッドストック(しかもMサイズ!)が鎮座していて、僕を狂喜させた。
「いまうちで一番の人気商品はこれです」
そういって見せてくれたのがレイ・トロールのTシャツだ。釣りとサカナをポップに描くアラスカの有名アーティストの作品。Eメールの使えない角さんが直接手紙をしたためて取り引きをしているという。そんな手作り感満載の店だが、ほかのどんな店よりもスペシャルなのは、店内にバーを併設していることだ。その名も「KadoyanoBAR(カドヤのバール)」。飲食への想いを絶ちがたく05年に店舗の一部を改造してオープンさせた。当初はこちらも角さんが切り盛りしていたが、現在は店の常連客だった中谷真司さんがマスターを務める。
バーはカウンター席だけのこぢんまりしたものだが、メニューは本格的。よなよなエールやレアなウイスキーが飲めるほか、横須賀野菜や走水の牡蠣などを使った地産地消の料理が愉しめる。中谷さんは管理栄養士でもあり自然そのままの滋味をじつに上手に調理するのだ。しかし当店最高のメニューはオーナーとマスター自ら山に分け入って採ってくるイワナや山菜だ。
「誠に勝手ながら明日と明後日は臨時休業とさせていただきます」
信越方面のシークレットに分け入るためにテンカラロッドと沢登り道具を用意するふたりの笑顔は、まるで少年のようだった。
大好きなアウトドアギアを愛でながらウイスキーのクラスを傾け、大自然の恵みを味わう……。男子ならば誰もが夢見る光景がここにはある。ドブ板通りに佇む12坪の宝箱。それがKadoyaとそのバーである。
Shop Data
- Kadoya
神奈川県横須賀市本町2-8
TEL.046-827-8957
[営業時間]月・木曜日:12:00〜18:00
金・土・日曜日:12:00〜19:00
[定休日]火曜日・水曜日(祝祭日の場合は営業)
[HP]http://dobuita-kadoya.com/
- Kadoya no BAR
神奈川県横須賀市本町2-8
TEL. 046-827-8957
[営業時間]月・木曜日:18:00〜22:00
金・土・日曜日:12:00〜22:00
[定休日]火曜日・水曜日(祝祭日の場合は営業)
[HP]http://dobuita-kadoya.com/bar.html/
SHARE
PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。