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石鎚頂上山荘|シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記

石鎚山は、関東の登山者からすると身近とはいいがたい存在かもしれない。しかし、それは四国一、いや関西以西でもっとも高い標高を誇る。さらには石鎚神社の神体山とされ、篤く信仰されてきた“霊峰”だ。その山頂に位置し、石鎚神社に隣接する山小屋をご紹介しよう。

山小屋でありながら神社。山頂まで続く道は参道でもある。

西日本最高所の頂上を目指して石鎚山の登山道を歩いていたときから、普通の山とは異なる雰囲気を感じていた。

石鎚山の頂上は神社のある弥山ではなく、隣の天狗岳をさす。標高は1982m。険しく突き出た岩壁に西日本最高峰の威厳を感じる。

ここは修験道の霊山であり、現在も修行が行なわれている霊験あらたかな山だ。急峻な岩場には大きな鉄の鎖も架けられているし、修行の痕跡があちこちに見られる。さらに謎の文面が書かれたプレートも、山頂付近の鉄製階段の手すりに貼られていた。

「おのぼりさんで」
「おくだりさんで」
「互いに声をかけあいましょう」

なんだ、これ? 山でこんな文面を見たことがない。どういう意味なんだろう? と不思議に思ったが、石鎚頂上山荘に着いてスタッフと話をしているうちに、この山小屋の特異性がわかってきた。

正しくは石鎚神社頂上山荘という名前からもわかるように、ここは石鎚神社が運営している山小屋であり、石鎚神社は石鎚山を神体山とする社なのである。

一帯は国定公園ではあるけれど、登山道のほとんどは石鎚神社の私有地であり、階段の設置も岩場の整備もすべて石鎚神社が行なっている。いわば、山頂まで続く登山道は神社の参道でもあるのだ。

多くの登山者は神社のある弥山山頂をめざして石鎚山にやってくる。神々しさを感じるが、晴れた日は瀬戸内海まで見渡せる絶景も楽しめる。

で、不思議な文面の意味だが、通常の山では出会った登山者同士が「こんにちは」とあいさつを交わすところを、ここでは山を下る人が登ってくる方に「おのぼりさんで」と声をかけ、登っていく人は下ってくる方に「おくだりさんで」と声をかけあうとのことだ。

ここは山小屋でありながら神社であることを意識したが、午後5時に流れた館内放送を聞いてその思いが強くなった。隣接した神社で夕拝が行なわれるそうで、宿泊者はその儀式を自由に参拝できるのだ。

写真左から徳永武司さん(55)、石鎚神社の祢宜(神主をネギと呼ぶ)の曽我部英司さん(58)、そして管理人の人見義一さん(50)。祢宜さんが山小屋のスタッフだなんてかなりレアなケース。神様がいる山ならではの顔ぶれだ。神社に泊まったような感覚で、非日常的な体験ができる山小屋なのである。

人それぞれ宗教は違うので強制ではないが、そんな経験は普通の山小屋ではできない。祢宜(ねぎ)さんが執り行なう夕拝に参加したが、堅苦しいものではなかったし、祢宜さんの話も親しみやすかった。

祢宜さんはアウトドア好きでもあり、僕のことも知っていて、ほかの参列者に僕を紹介した。「今日は取材でアウトドアの作家の方も見えてます。バックパック斉藤さん……でしたっけ?」

うーん、惜しい……。でも僕を知っていることはたしかなようで、さらに親しみを感じた。

長ベンチと木のテーブルがセットされた食堂。蛍光灯の照明が灯る室内は明るく、山小屋を感じさせない。壁にはテレビが設置されていて天気予報をチェックすることもできる。

夕拝が終わったら、カレーライスの夕食。そのあたりは一般的な山小屋となんら変わらない。建物は快適だし、お酒もあって、廊下の本棚にはマンガもたくさん並んでいて、心地よくすごせる。

廊下には書棚があって、マンガの単行本がぎっしりと並んでいる。わが『PEAKS』は置いてなかったけど、姉妹誌の『ランドネ』は創刊号からずっと並んでいた。

スタッフの夕食が終わってからは、いつもの山小屋滞在と同じく、彼らと談笑を楽しんだ。

受付の前は食事に立ち寄った登山者が利用するスペースであるが、宿泊者の寛ぎの場でもある。石鎚山を長年撮り続けている写真家の福島勲さんの写真集も販売されている。

全国唯一の御神像拝戴。神様は本当にいる!

頂上山荘の名にふさわしく、弥山頂上直下の岩場に沿って建てられている。平成15年にリニューアルした建物はきれいで、山頂の強風にも冬の積雪にもビクともしない頑丈な造りをしている。

「この建物は戦時中は爆撃機の監視小屋だったらしいですよ。ここは西日本で一番高い山で見晴らしがいいし、北側には軍事的に重要だった呉もありますから」

管理人の人見さんが小屋の歴史を説明してくれた。終戦後に払い下げとなり、地元の白石さんという方が管理をしていたが、その後は石鎚神社が引き取ったという。

受付では飲み物やカップ麺、お菓子以外に絵葉書、フクロウがついた耳かきや本水晶ブレスレットなども売られている。さすがは神社が運営する山小屋だ。通常の山小屋とはラインナップが少し異なる。

「昔は神仏混淆でしたから、石鎚山に登る人はナンマイダーと声を出していたんですよ。先頭の人がナンマイダーというと、最後尾の人もナンマイダーと返す。その声を聞いて先頭の人は後ろの隊列がどの程度ずれているか把握できた。

でもナンマイダーは南無阿弥陀仏でしょ。ここが石鎚神社になってから、仏教用語はおかしいということになって、ナンマイダーじゃなくて『高い山、尊い神!』という掛け声にするように指導したそうです。でも、全然広まらなかった」(笑)

2段式ベッドが並ぶ寝室。混雑時もゆったりと眠ることができる。木の壁に囲まれた室内は落ち着きがあり、やや小ぶりな布団も毛布も清潔で心地いい。

祢宜さんが愉快な話で笑わせてくれる。「10年前に12カ国19人の愛媛県在住の留学生たちが石鎚山に登りに来たんですよ。宗教が違うから、ナンマイダーはダメだって言っておいたのに引率した地元の人間はつい、ナンマイダーって掛け声を出しちゃった。

覚えやすい言葉なんでしょうね。ガンバレという意味だと思ったのか、キリスト教の留学生もイスラム教の留学生もみんなナンマイダーと声に出して歩くようになっちゃった。声に出すと気合が入るんだと、みんなが言ってました」

布団セットがきっちりと並ぶ大部屋も清潔で、棚が設置されていて使い勝手もいい。全館禁煙であること、ゴミは完全持ち帰り制であることが、壁の注意書きに書かれてある。

祢宜さんの話はどれも新鮮でおもしろかった。いい意味で堅苦しさがなく、でも神社の山小屋ならではの体験もあって、濃密な夜がすぎていった。翌日も、ここでしか味わえない貴重な体験をすることができた。

清潔なトイレは洋式便器と和式便器の両方がある。水洗式で快適に使えるが、水がない石鎚頂上山荘はすべて雨水で補っている。水を無駄に使わないように心がけたい。

夕拝に続き、朝拝も行なわれるのだが、ここでは御神像拝戴といって、神社に祀られている3体の御神像に直接触れることができる。日本全国には8万もの社があるそうだが、それができるのは唯一、この石鎚神社だけなのである。

10名以上かつ先達のいる団体で、初穂料は50名まで3万円。50名以上1名300円となっているが、宿泊者はその制約もない。頂上山荘に泊まれば、神様に直接手を触れることができるのだ。それだけでも泊まる価値がおおいにある山小屋といえるだろう。

御神像は撮影禁止なので、どのような神なのかは書けないが、御神像拝戴のご利益は本当にあった。頂上山荘の滞在を終えた僕は、その足で石鎚トレイルを3日間かけて歩いたのだが、ガスカートリッジのコンパクトストーブの自動着火装置が壊れてしまい、おまけにライターを忘れてくるという致命的ミスも犯してしまった。

バーナーを使うことができないと覚悟してトレイルを歩いていたら、なんとライターが道端に落ちていて、事なきを得たのである。ちっちゃいことではあるけれど、石鎚山に神様はいるんだと、ライターに助けられた僕は思っている。

メニュー

夕食

夕食はおかわり自由のチキンカレーライスだ。それだけでも満腹になるしおいしくいただけるが、魚フライとデザートのみつ豆もつく。みつ豆の甘さが疲れた体にありがたい。

朝食

朝食はオーソドックスな和食スタイル。昆布と小魚の佃煮、海苔、マカロニサラダなどが並ぶ。プチゼリーも付いているあたりがちょっぴりうれしい。
  • 石鎚チキンカレーライス、親子丼(香の物付)、中華丼、おでん7種盛 各¥830
  • クリームシチュー ¥720
  • シチュー&ライス、親子丼セット(味噌汁、香の物付)、おでん&ごはんセット 各¥950
  • 味噌汁   ¥210
  • ごはん   ¥310
  • ごはん、味噌汁セット(香の物付) ¥500
  • 缶ビール ¥580
  • ペットボトル飲料、ノンアルコールビール   各¥480
  • コーヒー ¥400
  • あつあつあめ湯   ¥300
  • 飲み水1ℓ ¥200
  • 飲み水500㏄ ¥100

アクセス

公共交通機関を利用する場合は、伊予西条駅から石鎚ロープウエイ前行きのバスがある。ロープウェイを利用して山頂成就駅から表参道成就コースを歩く。コースタイムは約3時間。車の場合は土小屋の駐車場から稜線上の登山道を歩くといい。こちらのコースタイムは2時間15分

料金

  • 1泊2食(大人) ¥8,700
  • 1泊2食(小学生) ¥5,100
  • 1泊夕食 ¥7,700
  • 1泊朝食  ¥6,700
  • 素泊まり ¥5,700
  • 収容人数 50人
  • 営業期間 5月初旬〜11月初旬

連絡先   TEL.0897-55-4168
http://ishizuchisan.jp/sansou/sub02-0.htm

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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