バックパックのメンテナンス方法
PEAKS 編集部
- 2020年03月10日
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いいバックパックは、体にフィットして実際よりも荷物を軽く感じさせてくれる。簡単には変えられない登山の相棒だ。お気に入りと長く付き合うにはどうすればいいか、ミステリーランチを扱うA&Fカントリーの平戸店長に尋ねた。
劣化の原因は汚れと湿気。しまいっぱなしはNG
「バックパックに関しては、メンテナンスというほどの特別な手入れはありません。強いていえば、後片付けと保管の仕方ですね」
バックパックのメンテナンスについて尋ねると、平戸さんは開口一番こう答えた。一言で言えば、汚れを落として風通しのいい場所に保管する。やることはそれだけ。「バックパックにとって、もっとも致命的なダメージは生地が劣化してしまうこと。劣化を早める最大の原因が、汚れと湿気なんです」
生地の劣化とは、すなわちコーティングがダメになること。防水性を高めるためのポリウレタンのコーティングは湿気に弱く、長時間湿気にさらされると加水分解を起こしてしまう。コーティングが加水分解を起こした生地は、ベタベタして嫌な臭いを放つ。こうなると、もう修理できない。
「汚れたままにしておくのもよくありません。とくに土は、付いたままにしておくと生地の傷みが早まるのでしっかり落としてください。濡れていたら乾かして、保管は風通しがいい場所が理想です」
よくある間違いが、大切にするあまり衣装ケースなどにしまい込むこと。保管方法としては、じつは最悪だ。重ねて置いておくのもおすすめではない。「自宅の限られたスペースでは保管場所を選べないかもしれませんが、たとえば押入れにしまっているなら、山に行かなくても、たまには外に出してあげてください。それだけでもぜんぜん違います」
応急処置のテープは早めに剥がして修理
トラブルは応急処置でしのぐが、下山後は早めに修理しよう。応急処置の定番はテープを使うものだが、テープの糊が生地に移ると修理の邪魔になることは覚えておきたい。
ボトムがもっとも汚れやすい
移動や休憩の際はパックを地面に下ろす。もっとも汚れやすいボトムの生地は、つまりもっとも傷みやすい。多くのモデルがここに丈夫な生地を使っているのはそのため。
汗をたくさんかいたら背面パッドもケアする
背中と触れる背面は熱がこもりやすい。ウエアの背中に大きな地図を描いた汗は、そのまま背面パッドに染み込んでいる。汗に含まれる皮脂や雑菌は臭いの原因になる。
ポイント
①ドロ汚れなどは乾かしてからブラシで落とす
②汚れがひどい場所は水洗いや洗剤の使用も
③保管は風通しのいい場所に
必要な道具はコレ!
手順
①ブラシで汚れを落とす
山から帰ったら、まずはバックパックをしっかり乾燥させる。ブラシは適当なものを用意。100円ショップでも手に入る。繊維のすき間から汚れを掻き出すようなイメージ。
②固く絞った濡れタオルで拭く
ブラシで汚れを落としたら、固く絞った濡れタオルで拭き取る。土や砂の粒子は繊維のすき間に入ると取りにくくなるので、いきなり濡れタオルで拭くのはおすすめしない。
③大汗をかいたら水で流そう
大汗をかいたときは思い切って水洗い。シャワーなどを使って、流水を直接背面パッドに当てて洗い流す。水を吸ったパッドは乾きにくいので、乾燥は念入りに行なう。
【汚れがひどい場合】洗剤は部分使用で
山登りで使っているバックパックなら使用後の手入れに洗剤を使う必要はあまりないが、汚れがひどい場合はもちろん使ってもかまわない。アウトドアウエア用の洗剤は柔軟剤などの余計な成分が入っていないので安心だが、台所用の中性洗剤も使用可能だ。洗剤を使う場合は、成分が残らないよう、すすぎをしっかりと。
破損や劣化、リペアについて
もっとも壊れやすいのはファスナー
もっとも多いのが、コイルをファスナーテープに縫い付けている糸が切れてしまうケース。一方の生地に荷重がかかった状態でのファスナー開閉は、できるだけ避けたい。
コーティングの劣化は修理不能
加水分解は時間の経過にかかわらずに起こる。正しく保管すれば長持ちするが、保管状態が悪ければ、あまり使っていなくてもダメになる。長く付き合いたければ大切に。
直せばまだまだ使えるかも
壊れた場所や程度にもよるが、多くの場合は修理することで機能を回復できる。ほとんどのメーカーが修理を受け付けているので、諦めずにまずは購入店舗で相談してみよう。
【保管の方法】ファスナーなどは開いて、吊るして保管するのがベスト
写真のように、吊るして保管できれば理想的。ファスナーは開いて、ストラップは緩めておく。押し入れなどにしまいこむのは避けたいが、保管場所がそこしかない場合は、ときどき外に出してあげよう。湿気を吸いやすい新聞紙などを入れておくのもおすすめ。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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