「唐松岳頂上山荘」北アルプスの山小屋完全ガイド
PEAKS 編集部
- 2018年03月06日
INDEX
登山者にとって快適な山歩きを楽しむための心強い味方、山小屋。館内施設や食事、成り立ちや売店メニューなど、山小屋の膨大な情報を集約しているので、山行計画に役立つこと間違いなし!
アルプスの稜線で贅沢なひとときを
ゴンドラを使って八方尾根を登り、さらに稜線へ登っていくこと約4時間、唐松岳頂上山荘へたどりつく。
ここは後立山連峰縦走路の一部で、白馬岳から不帰ノ嶮を通り、五竜岳へと抜ける難関の岩稜コースと、八方尾根を歩いて反対側の欅平へと下る唐松越えコースのふたつのトレイルが交差する十字路に小屋は建っている。
比較的短時間で北アルプスの稜線まで上がって絶景を楽しむことができるため、現在、長野県の中学校で行なわれている学校登山にもよく利用されている。
創業は1932年で当時は「唐松岳頂上小屋」という名だった。が、1959年に現在の名へ改名。さらに1963年には北アルプスで初めて、ヘリコプターによる空輸で資材を運んで増築したという歴史を持つ。
稜線の小屋なので水場の確保にいつも悩まされ、現在の支配人の中川恵市さんは自ら山を歩き、登山者のため、雨の日も風の日もその設備点検を行なっている。
ここに泊まれば、そんな山小屋の歴史や苦労について知ることができ、北アルプスの山小屋デビューにふさわしい宿なのだ。
ラウンジ・メレーズでひと休み
唐松岳頂上山荘には本館2階にラウンジ・メレーズがある。室内はとても広く、小さな喫茶店くらいの広さがあり、とてもキレイだ。6人がけのイスとテーブルが3セットにカウンター席が3席用意されていて、通常の喫茶室と同様に、コーヒーやケーキを注文することが可能だ。調度品は雰囲気があり、とても山の上にいるとは思えないような空間。
しかし、窓から外を眺めてみよう。そこに広がるのは、剱岳や立山などの、北アルプスの名峰が連なる一大パノラマ。生ビールやコーヒーをゆっくり味わいながら、北アルプス主稜線の山岳展望を眺められるのだ。
三段のお重に入ったメレーズ特製の限定夕食メニューが名物のひとつだったが、残念ながら現在は休止中。ぜひ再開を望みたいところだ。
壁に注目!
メレーズの壁に額に入って飾られている絵がこちら。どれも繊細な切り絵になっていて美しい。じつはこれらは支配人中川さんの奥様珠世さんの作品。山をモチーフにしながら、切り絵作家としてオリジナル商品を生み出しているそうだ。
雰囲気満点の空間
本館1階に食堂があるのだが、そことは机や椅子も異なり、ぐっと落ち着いた雰囲気のメレーズ。窓の外に眺められるのは剱岳や立山。それらを見ながら、一度はここでビールをゆっくり味わってみたい。
館内施設
サービスが行き届いた食堂
広々とした清潔な食堂。食事の後は、談話室として使用される。食堂の外に売店もあり、お酒やジュースが購入可能だ。
混雑時は時間差で
熱風を吹き出す装置であっという間に衣類を乾かすことができる乾燥室。混雑時はスタッフの指示に従い順番に使用する。
お天気はここで
受付横には大型テレビが設置され、明日の天気をチェックすることができる。
よく見てみると
コーヒーカップは「Mt.Karamatsu 2696m」と記載されたオリジナルカップだ。
水場のメンテも自分でやります
稜線上の小屋のため、水は数㎞先の雪渓や天水から調達。メンテナンスは中川さん自ら行なう。
食事
朝食
大きな鮭の切り身に、豆、卵焼き、切干大根の煮付け、味噌汁の朝食。忙しい朝にはぴったりのメニュー。
夕食
北アルプスの名物グルメのひとつだった、メレーズの限定夕食メニュー。残念ながら2017年シーズンから休止中。再開が望まれる。
お土産・売店
受付前、廊下、食堂と売店は計3箇所。水道の水が飲用できない代わりに、ペットボトルの水が安く売られている。
オリジナルの唐松岳登頂証明書(600円)も入手可能だ。
部屋
南館は個室棟で宿泊には別料金がかかる。写真の部屋は「205唐松岳」で眺望バツグンだ。
そのほか本館には大人数が宿泊できるかいこ部屋、北館には4畳分のベッドルームがある。団体のみ、予約が必要だ。
洗面所・トイレ
トイレは男女別。サンレットという自己完結型トイレシステムを採用している。洗面所の水は飲用不可。飲用水は売店で300円で購入できる。
テント場
テント場は、斜面に段差をつけて整地されている。トイレは小屋のものを利用可能。
DATA
設営数:25張
利用料:1,000円/人
水場:なし
トイレ:なし
地面:砂利
小屋からの時間:目の前
「唐松岳頂上山荘(からまつだけちょうじょうさんそう)」の基本情報
設備
テント場:あり
水場:なし
個室:あり
自炊室:なし
乾燥室:あり
お風呂:なし
生ビール:あり
営業期間
GW期間、6月中旬〜10月中旬
電話・電波
ドコモ:良好
au:通話困難な場合が多い
ソフトバンク:通話不可
公衆電話:なし
収容人数
350人
標高
2,620m
宿泊料金
1泊2食:9,000円
素泊まり:6,300円
お弁当:1,200円
連絡先
090-5204-7876
www.karamatsu.jp
※2018年2月現在の情報です。営業時間や定休日などは変更となる場合がございますので、お出かけ前にご確認ください。
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- PEAKS
- CREDIT :
- テキスト/渡辺幸雄 森山憲一 写真/宮田幸司 仁田慎吾 野口祐一 後藤武久 宮上晃一 渡辺幸雄 杉村 航 新井和也 井上大助 森山憲一 高橋庄太郎 岡野朋之 亀田正人 梶山 正 三宅 岳 内田 修 矢島慎一 加戸昭太郎 星野秀樹 西田省三 太田孝則 中村成勝 泥谷範幸 大森千歳 宇津木昌樹 山小屋提供
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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