
「唐松岳頂上山荘」北アルプス山小屋入門に最適な宿。|北アルプス山小屋大全

PEAKS 編集部
- 2025年04月28日
INDEX
八方尾根から唐松岳は、北アルプス入門のコースとして一年を通じて人気が高い。その八方尾根を登りきった場所に唐松岳頂上山荘は建っている。唐松岳山頂までは片道15分。晴れた日に登れば、北アルプス主稜線の開放感を存分に味わえる立地だ。よく整備され登山者も多い八方尾根は初心者でも登りやすく、子ども連れの初山小屋登山の場としても人気が高い。
小屋創設は古く、1932年。当初は「唐松岳頂上小屋」という名称だったが、1959年に現在の名に改称。その後、増築を重ねて現在の大収容人数を誇る山小屋に至っている。建物は北館・本館・南館に分かれており、一段下がった場所にある北館は客室のみ、本館は客室のほか食堂や受付などがある中心施設、そして南館は個室棟となっている。山だけでなく小屋も初心者にやさしい、充実設備の山小屋だ。
\スタッフボイス/
展望のよさが自慢の山小屋です。小屋から正面には、剱・立山連峰を間近に眺めることができます。小屋から15分ほどの唐松岳山頂まで登れば、360度の大展望が広がります。
インフォメーション
テント場 | 個室 | 自炊室 | 乾燥室 | お風呂 | 生ビール |
◯ | ◯ | ー | ◯ | ー | ◯ |
ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天 | 公衆電話 |
◯ | △ | △ | △ | × |
■連絡先
090-5204-7876
http://karamatsu.jp
■営業時間
6月21日~10月14日
■収容人数
250人
■標高
2,620m
■宿泊料金
1泊2食:¥15,000(小学:¥10,000、幼児:¥2,000)
1泊夕食:¥14,000(小学:¥9,000、幼児:¥1,000)
1泊朝食:¥13,000(小学:¥8,000、幼児:¥1,000)
素泊まり:¥11,000(小学:¥6,000、幼児:¥1,000)
行動食 ¥1,500
※料金は北館ご利用の場合。本館・南館ご利用の場合は+1,000円。
■水
1ℓ¥300
館内施設
1.明るく広い受付と売店
入口を入ってすぐの空間。収容人数が多い小屋だけに多くの人が行き交う場所だが、広々としているのでよほど混雑しない限りはストレスは少ない。受付は写真右手になる。
2.居心地最高の食堂
広くてゆったりしており、窓からは剱・立山連峰が目の前に見える。談話室も兼ねており、セルフコーヒーや書棚なども。つい長居したくなってしまう空間だ。
3.90年近く山を守ってきた鐘
入口近くに設置された鐘。遭難減少を願って1936年に寄付されたもので、以来、90年近くにわたって唐松岳頂上山荘の象徴として登山者を見守り続けている。
4.ムード満点薪ストーブ
食堂には薪ストーブが設置されている。真夏の間は稼働することは多くないが、インテリアとしても雰囲気満点。食堂の居心地のよさにも一役買っている。
5.3箇所に分かれたトイレ
トイレと洗面台は、北館・本館・南館それぞれにある。いずれも洋式便器で清潔に保たれ、気持ちよく使うことができる。大規模小屋だけに個室の数も多め。
食事
【夕食】取材時の夕食のメインディッシュはハンバーグ。ボリュームたっぷりで、疲れた体に染み入る味だ。つけ合わせはサツマイモ、レンコン、椎茸、ニンジン、コンニャクの煮っ転がし。
【朝食】朝食メニューは山小屋朝食の定番、サケの塩焼きと卵焼きがメイン。ほか、キンピラゴボウと昆布巻き、煮豆、焼き海苔が付いてくる。夕食同様、味噌汁とご飯はお代わり自由だ。
部屋
本館の客室。2段式で、北館も基本的には同じような作りになっている。各スペースにコンセントがあるのがうれしい。(一枚目)。南館の個室。畳敷きの部屋となっており、家族などによい。利用には別途個室料金が必要。(二枚目)
お土産・売店
手ぬぐい、バッジ、お酒、ジュースなどのほか、スナック菓子やカレーメシ、菓子パンなども売っている。
テント場
■地面:土・砂
■テント設営数:50
■利用料金:1人:¥2,000+1張¥2,000
山荘の前の斜面にジグザグに道が切られており、テントスペースは道沿いに点在している。いちばん下まで行くとかなり下ることになるので、トイレ利用を考えるとできるだけ上のほうに張りたいところ。利用には事前予約が必要。
朝から晩まで、剱岳の雄姿が目の前に
唐松岳頂上山荘の大きな魅力が展望のよさだが、なかでもとりわけ目を引くのが剱岳だ。鋭く尖った剱岳の姿は、山荘のどこから見てもひときわ目立ち、存在感を放っている。山荘の前の広場にはベンチやテーブルが置かれ、休憩にちょうどいい場所になっている。天気のいい日にここでビールでも飲みながら剱・立山の雄姿を眺めていると、時のたつのも忘れてしまうだろう。
テント場も剱岳側に面した斜面に広がっており、テントから眺める景色も最高である。剱・立山は常に目の前に見えているため、山岳写真好きであれば、山荘に滞在中、さまざまな表情の剱岳を撮影することができる。とくに夕方はねらいどころで、剱・立山方面に沈んでいく夕景は絶好のシャッターチャンス。山荘の前から、中から、そして唐松岳山頂方面から、さまざまな角度と視点でねらってみたい。食堂の広い窓に剱・立山の大パノラマが広がるのも、唐松岳頂上山荘の大きな魅力となっている。

※この記事はPEAKS[2024年9月号 No.167]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
※最新の情報を直接ご確認の上ご計画ください。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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