「白馬鑓温泉小屋」北アルプスの山小屋完全ガイド
PEAKS 編集部
- 2018年03月06日
INDEX
登山者にとって快適な山歩きを楽しむための心強い味方、山小屋。館内施設や食事、成り立ちや売店メニューなど、山小屋の膨大な情報を集約しているので、山行計画に役立つこと間違いなし!
歩いてしか行けない秘湯へ
あなたがいくら温泉マニアでも、ここの湯に入らずして温泉を語ることなかれ。日本全国に温泉は星の数ほどあるが、なかでもここは秘湯中の秘湯。その秘湯を抱くように建つのがこの山小屋である。
最寄りの猿倉登山口からは片道4〜5時間ほど。大雪渓を通るルートからは、よほど脚に自信がある人でなければ稜線上で一泊することを計算しておいたほうが無難だろう。
ここまでの長い道のりは、この温泉をさらに特別なものにしてくれるスパイスとなる。疲れた体を湯船に沈め、露天風呂から眺める景色、とくに朝焼けのなかで入るお湯はなんともいえず気持ちが良い。
小屋のすぐ下と1時間ほど登った場所にあるお花畑も有名。さまざまな季節の花々が入り混じる幻想的な光景が広がっている。
500円で立ち寄り湯としても使えるが、せっかくここまで来たなら、ぜひ一泊していくことをおすすめしたい。山仲間に自慢したくなる経験ができることは保障付きだ。
さあ、冷えたビールとフレンドリーなスタッフがあなたを待っていますよ。
白馬鑓温泉小屋のおすすめベスト3
急な斜面にへばりつくように小屋が建てられたこの場所は、冬になると雪崩の巣となる。そのため、毎年小屋閉め後に解体されるというちょっと珍しい小屋だ。小屋の建築や解体のようすは食堂の写真で見ることができておもしろい。
冬季の除雪により雪がたまるため、日本三大雪渓のひとつ「白馬大雪渓」をはじめ、周辺にはいくつもの雪渓がある。そこからの雪解け水を引いているため、美味しい水も豊富にある。雪渓の上を歩くと、真夏でもひんやりとして気持ちが良いが、落石などに注意が必要。雪渓上では印のあるルートを選んで歩こう。
そして、この小屋の一番の魅力はやはり温泉だ。露天風呂のほかにも囲いが設けられた女性専用の湯船もある。時間帯によって露天風呂も女性専用の時間があるが、テント場からは見事に丸見えなので、恥ずかしがり屋かボディーに自信のない方は水着かタオルを持参でどうぞ。
最後に覚えておくと便利なポイントをひとつ。小屋周辺は温かいからかブヨがいて刺されるとかなり痒い。泊まるなら夏でも長袖長ズボンは持っていこう。そうすれば、あなたも鑓温泉上級者だ。
No.1 後立山随一の秘湯
水の確保に難儀するのが山小屋の常だが、ここは雪渓があるため水源に恵まれている。早めに到着し、風呂につかりながら一日の疲れを癒そう。
No.2 大雪渓を見ながら登ろう
鑓温泉へ向かうには、日本三大雪渓「白馬大雪渓」から回るルートもよく使われる。時期により、どこを通過すればいいか看板が出ているので、指示を守って通過しよう。
No.3 冬場は小屋をたたみます
小屋全体がプレハブのような外観の白馬鑓温泉。じつは冬場は雪崩の通り道となるため、小屋を解体し、たたんでいるのだ。ここは夏場にだけ現れる、幻の温泉宿なのです。
館内施設
手作り感たっぷりの受付
小屋に着いたら、まずは受付を済まそう。受付の下はガラス張りになっていて、お土産類が一面にディスプレイされている。
乾燥室はないけれど……
濡れた服は小屋の外で乾かすことができる。洗濯物も乾かしてあり「夏場なら一晩でからりと乾きます」(スタッフ談)とのこと。
食堂兼談話室
入ってすぐにある食堂兼談話室。書棚もあり、ここでゆっくり過ごし、寝る前にもうひとっ風呂浴びて就寝するお客さんが多い。
小屋まであと少し!
鑓温泉へ向かう途中にあらわれる温泉マーク。温泉印をたどって歩いていくなんて、いかにも秘湯らしくないですか?
食事
朝食
焼鮭、卵焼き、芋の甘煮、漬物、おくら、めかぶと充分なボリューム。味噌汁はワカメ、大根、白菜とやはり具だくさんでうれしい。
夕食
メニューの一例。鶏のソテーとカキフライ、ボリュームのあるサラダと、豆腐のあんかけ、デザート付き。味噌汁も具だくさんでおいしい。
お土産・売店
温泉といえば、やっぱりお酒。地元白馬の酒「大雪渓」や「白馬ワイン」が充実しているのがうれしい。温泉は、宿泊客以外に立ち寄り湯としても利用可能で1人500円。なんとも安い!
部屋
食堂や受付がある本館とは別に、宿泊棟があり(1号館)すべてかいこ部屋となっている。床にはゴザが敷いてある。部屋の階段は意外と急なので、上り降りには気をつけよう。
洗面所・トイレ
トイレは温泉近くにある外トイレを利用する。男女いっしょで簡易水洗式。
水場も外にあり、飲用可能。
テント場
小屋の目の前がテント場。地面はガレていてテントは張りにくいが、水場と温泉が近いのが◎。
DATA
設営数:10張
利用料:1,000円/人
水場:あり
トイレ:あり
小屋からの時間:すぐ
「白馬鑓温泉小屋(はくばやりおんせんごや)」の基本情報
設備
テント場:あり
水場:あり
個室:なし
自炊室:なし
乾燥室:なし
お風呂:あり
生ビール:なし
営業期間
7月15日〜9月30日
電話・電波
ドコモ:不安定
au:通話困難な場合が多い
ソフトバンク:通話不可
公衆電話:なし
収容人数
150人
標高
2,100m
宿泊料金
1泊2食:9,800円
素泊まり:6,800円
お弁当:1,100円
連絡先
0261-72-2002
https://www.hakuba-sanso.co.jp/yamagoya/yarionsengoya.html
※2018年2月現在の情報です。営業時間や定休日などは変更となる場合がございますので、お出かけ前にご確認ください。
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- CREDIT :
- テキスト/渡辺幸雄 森山憲一 写真/宮田幸司 仁田慎吾 野口祐一 後藤武久 宮上晃一 渡辺幸雄 杉村 航 新井和也 井上大助 森山憲一 高橋庄太郎 岡野朋之 亀田正人 梶山 正 三宅 岳 内田 修 矢島慎一 加戸昭太郎 星野秀樹 西田省三 太田孝則 中村成勝 泥谷範幸 大森千歳 宇津木昌樹 山小屋提供
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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